60年代70年代築の旧耐震の築古ボロ戸建ては高利回り?リフォーム費用入れた実質利回りは意外と低い

何か物件を買って不動産投資を始めようと思った時に、書籍などでよく勉強している投資初心者が真っ先に思いつくのが、手持ちの現金でボロ戸建てを買ってリフォームして貸し出す、ボロ戸建て投資ではないでしょうか。

何も勉強していない投資初心者は、かかってきた営業電話の話をまともに聞いてしまい、営業マンにいいように言いくるめられて低利回りの新築ワンルームマンションを買ってしまったりします。

しかし用心深く良く勉強している投資初心者は、そういった情報は心得ているため、営業マンの甘言に乗ったりはしないのです。

碌にキャッシュフローの出ない物件の30年ローンを抱えるなんてまっぴら御免だ、俺は賢いから高利回りの物件を現金で買うぞと、そこまでの発想はなかなか良いのですが、現実はそう甘くはないのです。

確かに碌でも無い低利回りのクソ物件を嵌め込まれてしまうよりは絶対に良い目線ですが、ボロ物件投資にはそれはそれで大きな苦労があるのです。

本日は、不動産投資初心者に人気のボロ物件投資の良し悪しについて語っていきたいと思います。一見超高利回りに見えても、結果として思ったほどでもないということになってしまうパターンって結構あるんです。

私の初めての投資は表面利回り20%のはずが結果として実質利回り14%に

私が投資用に初めて買った物件は、神奈川県相模原市の区分所有の物件でした。東京の主要ターミナルまで40分弱で到達でき、駅から10分以内と需要は十分です。

千葉・埼玉ですと東京から電車で30分以上離れるとやや将来性に不安がありますが、神奈川はこのくらいの立地でも賑わっています。

旧耐震の重量鉄骨構造のマンションの一室で、当然そのままでは貸せないほどボロボロでしたが、表面利回りで考えると限りなく20%に近いという条件が気に入りました。

これならいけると購入して、セルフリフォームを試みたのですが、そもそも埼玉の自宅から道のり70キロという距離があり、渋滞で行くだけで2時間超かかってしまうこともあり、早々に挫折しました。

そして購入した不動産屋さんに手配してもらい総合リフォーム会社にリフォームをお任せでやってもらいました。結局、購入価格が330万円の物件に170万ものリフォーム費用がかかってしまいました。

分離発注ではなく総合リフォーム会社に全ておまかせで、キッチン、洗面化粧台、風呂、洗濯機パンなどトイレ以外の水回りも全部リフォームが必要だったためこの値段になってしまいました。

お分かりだと思いますが、この時点で利回り激下がりなんですよね。家賃月5.5万円で想定していて、買値が330万円なので、利回りが20%位行ってほしいなという措定だったのですが、リフォームに金がかかって皮算用大崩壊です。

綺麗にリノベが実施されたことにより、家賃が6.4万になったのは良い意味での誤算でしたが、170万というリフォーム費用が嵩んだことがあり仕上がり500万円になってしまいました。

思ったより家賃が取れたのが幸いして、利回り的に15%くらいで留まりましたが、実際は月6.4万円の家賃から管積5000円が引かれますので、実質利回りは14%位になってしまいます。

やったぜ、はじめての物件で利回り20%近いものが買えた!と喜んでいたのですが、現実はこんなものです。セルフリフォームが成功していれば、利回り17,8%くらいになったかもしれませんが、現実は甘くありませんでした。

区分所有は管理費・修繕積立金にも注意が必要

上記の私の物件の例では、莫大なリフォーム費用がかかった割に、リノベにより家賃が上がったことと、管理費・修繕積立金が5000円と安かったことがあり、最終的に利回り14%と意外と健闘しました。

リフォーム費用はやっちまったなという感じですが、管積が安い物件であったことは幸いでした。まあこれはこれで問題があるのですが。

手間いらずで気軽な区分所有物件は、投資初心者にも人気ですが、毎月の管理費・修繕積立金(管積)が大きな負担となり、実質利回りを低下させます。

投資物件が載っている不動産ポータルサイトに掲載されている利回りって、あくまで表面利回りであり、実際にこの利回りで回ることはありませんからね。特に区分所有は注意で、管積で大きく実質利回りが低下します。

上の私の物件で言えば、自主管理物件なので実質的に修繕積立金の5000円だけで済んでいますが、同規模のマンションだと普通は管積あわせて15000円~ですからね。

例え15000円だったとしても、利回りは11%台まで下がってしまいます。20%という表面利回りに飛びついて買っても、取得費にリフォーム代が加算され仕上がりは高くなり、毎月の家賃からは管積が引かれて低くなり、実質利回りは半分強になってしまうのです。

築古の区分所有物件の表面利回りが高かったとしても、よく考えずに飛びついたら、結果として平凡な利回りの物件に仕上がってしまったということは、割とよくあることなのです。

ボロ戸建てなら安心なのか

管積で利回り低下してしまうというなら、戸建てなら良かろうという発想になるわけですが、これは方向性としては間違っていません。

実際に築古物件への投資というと、ボロ戸建てと呼ばれる旧耐震の築古の一戸建て物件が人気です。

築古ボロ物件にしても、築浅のまだキレイな物件にしても、やはり戸建ての方が区分所有よりも維持費がかからないのが良い点ですね。やはり管積で利回りが削られないのが良いです。

しかし、修繕積立金が貯められて、定期的に大規模修繕が入っている区分所有と比べて、築年数の割に建物が傷んでいるケースもあり得るので注意が必要です。

毎月取られる管積はうっとおしいものですが、払い損の管理費はともかくとして、修繕積立金は建物の補修に使われますので、ある意味オーナーの資産となります。

このお金で定期的に補修が行われるのが区分所有の良いところで、その分建物の状態が良い場合が多いのです。あまり修繕が行われていない場合、多額の積立が貯まっているケースもあります。

一方の戸建の場合は、何ら修繕が行われていないケースも多々あります。築40年位のかなりの築古を買っても、建ててから一度も修繕が施されていない物件も珍しくないですからね。

よく巷では、一戸建ても15年もすれば色々補修が必要になるなんて話がありますが、実際は全然そんな事はありません。築15年なんてピッカピカです。わずか15年でどこか傷んできたら明らかに欠陥住宅です。

ボロ物件に悩まされている私からすると、築20年までは新築です。築21年から新耐震までが築浅中古物件です。旧耐震になってようやく築古という認識ですね。

兎に角、欠陥住宅や安普請の手抜き工事でない限り、よほどのことがない限り戸建てに大規模修繕を施すことはありません。先日、私の実家も築40年近くになってようやく初のフルリフォームを行いました。

しかし表面上問題がないからといって、中身まで問題がないわけではなく、見えない部分に瑕疵が隠れている可能性はあります。見えないところで、あるいは見えていても見えていないふりをして騙し騙し住んでいると、痛みが進行して深刻なダメージに至ることもあります。

碌に手入れをされていないボロ戸建てを安く買って、いざリノベだと壁を剥がしてみたら柱までスタボロだったなんてことになったら一大事です。

適切なメンテンナンスを怠ったまま長年住み続けていた場合、見えないダメージが蓄積していて、改修を行おうと思った際に思わぬ高額な費用がかかることがありますので注意しましょう。

水回りのリフォームが必要なものは要注意

いずれにしろリフォーム費用を抑えることができれば、ボロ物件投資は成功する可能性が高まります。

この際、水回りに大きなリフォームが必要なものは注意が必要です。塗装や壁紙なんかの表層リフォームよりも、水回りを少しいじるほうがよほど金がかかります。

というのも壁や木部などが汚いと、パッと見で明らかに汚い印象を受けボロボロに見えがちですが、修繕費用は意外とかからないのです。汚い柱は塗装して、壁紙は張り替えれば新品同様の美しさを取り戻します。

水回りも丸ごと交換してしまえば新品同様になりますが、かかる費用が桁違いです。家全体の木部を塗装して壁紙を張り替える費用よりも、風呂を丸ごと交換する費用のほうが高いですからね。

築面積の小さな狭小戸建てなら、家全体の表層リフォームよりも、キッチン丸ごと交換する費用のほうが高いかもしれません。

風呂、キッチン、洗面化粧台、トイレと4点セットを全交換となれば、100万円超コースになってしまいます。その他の表層リフォームを入れれば150万越えは間違いないでしょう。

もちろんセルフリフォームをしたり、分離発注でリフォームを行えばもっとずっと安くなりますが、前述の通り実際にやるのは結構困難ですよ。

逆に水回りが全部クリーニング程度で済むレベルで、壁紙や塗装などの表層リフォームをすれば貸し出せるような場合は、全部おまかせでリフォームを行っても50万かからないケースもありえます。

壁紙など表層はどれだけ壊滅的に汚くても、張り替えてしまえば新品同様になるのでOKです。むしろ水回りが少しでも汚くて全取替になるほうがよほど痛いのです。

致命的な瑕疵(傾き・雨漏り・シロアリ)は買ったらダメ

水回りも金がかかりますが、それでも利回りこそ落ちれど直してしまえばしっかり貸せて、賃貸経営も成り立つでしょう。ボロ物件ということで元々ずいぶん安く買っているわけですから、多少リフォーム費用が嵩んでも大丈夫でしょう。

しかし、壊滅的な瑕疵がある物件は投資自体が破綻しかねないので、絶対に買ってはいけません。すなわち、建物や基礎が傾いている物件、シロアリ被害にあっている物件、激しい雨漏りが起こっている物件です。

これらの大問題は解決に莫大な費用がかかりますので、投資計画が根本から崩壊する恐れがあります。もちろん意外と簡単に直るケースもありますが、わざわざリスクを内包した物件を選ぶことはないでしょう。

建物の傾き

一番やばいのが傾き物件で、これは修復に数百万かかります。レベル調整といって、家は傾いたままにして床を逆に傾けて水平を作り出す工事で済む場合でも数十万の費用がかかります。

地盤沈下で基礎から沈んでいる場合は、基礎ごとリフトアップで最低でも250万くらいからですね。1階の築面積がでかい家や、RCなど重い建物の場合はもっとずっとかかります。

基礎は健全で建物自体が傾いている場合は、逆方向から支えるように斜めに柱を入れる補修などを行うらしいのですが、これも馴染みの大工にやってもらえば数十万で出来るかもしれませんが、総合リフォーム会社に頼めば数百万コースです。

雨漏り

雨漏りも修復にはかなりの費用を要するケースがあります。実際は漏れている箇所をちょちょっと修復して20万くらいで済むケースも多いのですが、屋根全体が傷んでいて葺き替えなんてことになれば、最低でも50万円からでしょう。でかい家だと余裕で100万以上かかります。

大雨の日に小屋裏に入って、漏れている箇所を特定してコーキング材を注入するなどして、臨時の補修をしてごまかすことも出来ますが、根治させないと徐々に家が蝕まれてしまいます。

現代の木造住宅は70年保つとも80年保つとも言われていますが、これは水気や湿気からしっかり柱や梁をガードできてこその寿命です。漏れた雨水が柱に染み込んだり、溜まった湿気で柱が湿れば、大幅に寿命を縮めます。

ちなみに雨漏りと言っても原因は様々で、私の経験からいうと屋根材が割れたり防水シートが破れたりという本格的な破損は割りと稀です。コーキング劣化によるひび割れくらいはありますが。

非常に多いパターンが、雨樋などのキャパオーバーにより排水が間に合わなくて家の中に漏れてきてしまうパターンで、これは雨樋や排水口などに詰まった枯れ葉や土を取り除くだけで直ったりします。

シロアリ被害

シロアリも絶対に買ってはいけない家です。木造住宅の敵であるシロアリは、柱をスカスカにしてしまって家を完全に駄目にしてしまいます。

実際には家全体が侵されているケースは稀で、家の一部がシロアリに食われているケースがほとんどです。

したがって、駄目になった部分の柱だけ新しいものに交換すればOKなのでシロアリ物件は全然買ってOKという人もいますが、それって上級者の意見ですからね。

初心者が安易に手を出して良い物件ではありません。これも業者にお任せだといくら金がかかるのか知れたものではありません。

必ず購入前に、外回りをチェックして基礎部分に蟻道が見られないか、床下収納や点検口から床下に入って床下部分に蟻道が付いていないか確認しましょう。

まとめ

というわけでボロ物件を表面で超高利回りで買っても、リフォームしたりしてお金がかかるので、仕上がりの実質利回りでは意外と低かったりするよという話でした。

上記の私が初めて買った物件の例ですと、表面20%で買ったのに実質利回りが14%になってしまったという話ですが、これはまだ上手くいったほうだと思います。ヘタをすれば利回り半減もありえます。

ネットでボロ物件20%とか売り出されていても真に受けてはいけません。それってリフォーム費用とか全く考えていない表面利回りですからね。

セルフリフォームできるなら利回りの低下は少なく抑えられますが、総合リフォーム会社に全部お任せだと、へたすりゃ物件価格と同等のリフォーム費用がかかったりして、利回り即半減ですからね。

ちなみに私は近年は、新耐震物件しか買っていませんが、それでも割と利回り14%くらい行きますからね。築30年位の新耐震だと表層リフォームだけで済むので、家全部キレイにしても30万円とかなんですよね。

壁紙職人にお願いして表面を綺麗にしてもらうだけで直ぐ賃貸募集できるので手間いらずです。全然手間がかからないのに新耐震物件で14%ですから、私が初めて買った旧耐震のボロ物件がバカみたいです。

一見お得に見えるボロ物件が本当にお得なのか、よく計算してみることが必要です。仕上がりの価格で計算してみたら、意外と新しくてきれいな物件と利回りが変わらないかもしれませんよ。

特に自分でリフォームが出来ない初心者にとっては全くお得ではない確率が高いのです。逆にセルフリフォームが出来るベテラン投資家なら、土地値以下の激安ボロを最大限活用して非常に高い実質利回りを実現できます。

安いボロ戸建ては、初心者がキャッシュで買って不動産投資を始めるには最適であるとも言われていますが、実はそうでもないかもしれないということを考慮して投資しましょう。

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