不動産投資の失敗確率は低い?新築ワンルームマンションを電話営業から買ってもローン破産は珍しい理由
不動産投資の失敗事例としては実に様々なケースが挙げられます。ただ、ネットを探しても似たような事例ばかりで、思ったよりも具体的な経験談や詳しい話がないのも事実です。
それもそのはず、不動産投資で失敗する人は非常に少ないのです。実際アパートローンの破綻率は余裕の1桁台という話も聞きます。現金買いであれば失敗するほうがおかしいくらいで、失敗する人がいたら猛反省しなくてはいけないのかもしれません。
不動産投資も投資である以上は元本が保証されるわけではありませんし、銀行融資で購入している場合は破産のリスクすらあります。それでもミドルリスク・ミドルリターンの投資と言われているだけあって、失敗する確率は比較的低いのです。
ただし、勘違してはいけないのは、しっかり勉強して正しいやり方で投資を行った場合は極めて安全で失敗確率の低い投資というだけであって、悪徳業者の言いなりになって、低利回りの物件を高金利の融資を引いて購入したりすれば、一巻の終わりです。
また、近年のサラリーマン大家さんブームで、収益性の低い地方の高積算RC物件を相場よりも高く売りつけられたケースなど、悪質にはめ込まれた事例の破綻はこれから徐々に顕在化してくるものと思われます。
水面下で必死に足をバタバタさせてなんとかギリギリ踏みとどまっている大家さんが多いとしても、破綻という目に見える形での失敗が多くないのは、なんわかんわで不動産投資が失敗していたとしてもなんとか踏みとどまれる仕組みになっていることもあります。
不動産投資は投資時点でほぼ結果が見えてきますので、事前に綿密なシミュレーションを重ねればリスクを避けられます。逆に投資時点でほぼ結果が見えてしまっているとも言えます。
投資した時点で明らかに失敗している投資でも、不思議と時間が解決してくれるのが不動産投資の面白いところで、長年資金を拘束されて結局トントンだったということはあっても、破綻まではなかなか至らないものです。
というより悪徳業者もしっかり計算して、ギリギリ生かさず殺さずにできるような設計で販売価格を設定しているのでしょう。悪徳業者にはめ込まれても、なかなか破綻までは珍しいのです。ただし、30年間の機会損失を生み、あなたの一生から投資という手段を奪ってしまうことになりますが・・・
悪名高い新築ワンルーム投資しても案外平気だったケース
悪名高いやってはいけない不動産投資の手法として知られているのが、新築ワンルーム投資です。すなわち、新築のワンルームマンションの一部屋を区分所有して賃貸に出す手法で、多くの場合は無知なサラリーマンが手を出します。
サラリーマンといっても経験を積んだサラリーマン大家ではなく、不動産投資などさほど興味もなかったサラリーマンのもとに、ある日突然知らない電話番号から電話がかかってきて、不動産投資の勧誘をされるというあれです。
あんな電話から買うわけ無いと思いきや、結構買ってしまう人が多いんですね。アポを取って営業マンに会ってしまったらもうおしまいです。将来の年金不安とか、保険になるとか、節税になるとか、言葉巧みに勧誘されて気がついたら判子を押しています。あるいは半分監禁されて、脅されて契約させられるケースもあるそうです。
新築のワンルームマンションにはこれでもかと業者の利益が乗せられていますので、実際の価値よりも大幅に高いのです。割高なんて言葉が生易しいくらいの利益が乗せられています。
その為、買った時点でもう失敗が確定しているのです。初期投資額が異常に高いわけですから利回りは異常に低いのです。収益性が低すぎて話になりません。
この絶対失敗することが分かっている投資に手を出したのが私の高校時代の友人の兄で、今から10年近く前のリーマンショック直後に、2300万円くらいの新築ワンルームマンションを4部屋も都内に購入してしまったのです。諸経費入れれば1億円という大型投資です。
この話を昔聞いた時は、お前の兄貴の人生終わったなとバカにしていましたが、10年近く経った今全く破綻している様子はありません。それどころか神タイミングでの投資だったこともあり、そこそこ利益が出ている可能性すらあります。
1億投資したわけですが、おそらくもう4割くらいは返済を終えていると思います。しかも、手元にはまだ築10年の区分所有物件が4件あるわけで、これを全部売るとおそらく6000万くらいにはなるのではないでしょうか。
この10年間で都内の物件価格が高騰したことと、兄貴の属性が良く低金利で借り入れができたことが幸いしました。新築から10年間というのは物件の価値が最も減損する時期ですので、通常はもっと価値が落ちるはずですが、リーマンショック後の一番低迷している時期に買って、アベノミクス後に一番高騰してから少し下げ始めた今だからこそ、思ったよりも物件価値が下落していなかったのです。
買値が高いので利回りにすれば5%という感じなのでしょうけど、10年経てば40%近くは回収できていてもおかしくありません。実際の収益は入ってくる家賃収入から金利を引いたイールドギャップ分ですので、高属性で低金利で借りれたことも大きいのだと思います。スルガ銀行から4.5%という鬼金利で借りていたら、ほぼ儲けが出ておらず終わっていたはずです。
これで属性が低く、スルガ銀行やノンバンク系で高金利で買っていたら、最悪毎月持ち出しなんていう状態になりかねません。そもそも利回りが低すぎる=物件取得価格が高すぎるのです。ここ数年は中古物件でも都心なら利回り5%なんて話がザラでしたので、狂気の沙汰です。
この兄貴は新築のワンルームマンションを電話営業から買ってしまうという最悪の失敗を犯してしまいましたが、購入した時期が良かったことと、本人が高属性でそこそこ低金利で融資を引けたことが幸いしました。
あと15年くらい我慢すれば計算上は全額回収して、手元に築25年の区分所有が4つ残るという快挙を達成できるかもしれません。新築ワンルームを買わされてしまい、25年でトントン以上になったというのはかなり優秀な方でしょう。
低属性の人が高金利で買ってしまった場合でも破綻をしない訳
友人の兄貴は非常に運が良かったですが、属性が悪く碌に借りれない人がノンバンクなどで金利4%とかで借りて買ってしまったら悲惨そのものです。
物件の利回り5%で、融資を受けた金利が4%では、イールドギャップが1%です。諸経費を考えれば完全な赤字レベルです。
これではキャッシュフローが出ないどころか、元本の返済すら出来ません。毎月毎月自分の手元からお金が減っていく計算になります。
それでも破綻する人が少ない訳は、自分のサラリーマンの給料から赤字分を補填している人が多いからなのです。というかそれを見込んで金融機関も貸しているわけです。
こんな物件買っても絶対に赤字だなと思っても、本人のサラリーマンとしての給料で補填できることを見込んで貸付を行っているわけです。これがここ10年ほどのサラリーマン大家勃興の大きな理由だったのです。かぼちゃの馬車問題以降の融資引き締めで、これからはサラリーマン大家には冬の時代になりますが・・・
ということで、ワンルームを一つ騙されて買ってしまったくらいでは、なかなか破綻までは至りません。不動産賃貸業として事実上破綻していても、本業であるサラリーマンの給料で補填して表面上破綻を防ぐことが出来るからです。
破綻してしまうのは、1軒目の投資で毎月持ち出しになるので、2軒目を購入してそのキャッシュフローで1軒目の持ち出しの補填を目論んだ場合です。アホなので案の定また騙されて、更に月々の持ち出しが増えるという・・・
不動産賃貸業としてはじめから事業破綻していて、それをサラリーマンとしての給料で損失補填しているだけですから、給料で補填できなくなった時点でおしまいです。
いま表面上はアパートローンなどの不動産投資のローンで破綻する人はごく一部ですが、水面下で必死にバタ足をしている大家さんは多く、もう少し時間が経ったら破綻が表面化するような事態もあるかもしれません。
まとめ
ということで、一般的には不動産投資で失敗する確率は非常に低いと言われていますが、実際は表面化していないだけで水面下では必死にもがいているサラリーマン大家さんも多いよという話です。
イールドギャップが限りなくゼロに近くなってしまうような上で挙げた例は投資として完全に破綻していますが、しっかりイールドギャップが取れていてもそこから諸経費やローン返済分を引いてなお黒字にならなければキャッシュフローが出ているとは言えません。キャッシュフローがマイナスならば、サラリーマンの給料から持ち出しです。
また、現況毎月キャッシュフローがしっかり出ていて黒字になっていても、実は成功していると確定しているわけではないということに注意が必要です。
返済期間を30年など長く設定して、毎月の返済額を抑えれば比較的容易にキャッシュフローは出ますが、返済が延びれば延びるほど返し終わった際に残る物件はボロくなり、碌な価値が残存していなかったりします。
一応毎月僅かなキャッシュフローが出ているから成功だと思っていても、30年後にほぼ価値の無いような築古の物件が残っていては、投資のリターンは30年間毎月僅かに受け取っていたキャッシュフロー分のみということになってしまい、30年間の総投資利回りが恐ろしく低かったという事態になりかねません。
つまりは、毎月入ってくる家賃から諸経費や返済分を除いて黒字になっていることが大前提で、持ち出しになっているのは問題外なのです。悪徳営業マンはこれを税金対策などと言って誤魔化してきますが、そもそも赤字になっているから給与所得と相殺されて税金が安くなる訳で、赤字になっている時点で損なのです。
そして、給料からの持ち出し無く不動産賃貸業単体で黒字になっている、つまりキャッシュフローが出ている状態でも、最終的にローンを返し終えて収支計算をしないと本当に儲かっていたのか分からないよということです。
現時点で明らかに儲かっていると確信できるのは、毎月大きなキャッシュフローが出ている場合だけです。それには利回りが高い物件を取得すること、融資の金利はなるべく低く抑える事が重要です。利回りから金利を引いたイールドギャップが高いことが重要なのです。
イールドギャップは最低8%位は必要だという人もいれば、6%くらいでいいという人もいるようですが、私は13%位ないと融資を引いて投資する気が起きません。贅沢かな・・・
細かい収支計算表を作ってローン返済時までのシミュレーションをすることが大事ですが、私から言わせればそもそもシミュレーションをしないと分からないような時点で問題外です。
細かい計算などしなくても、おおまかなイメージだけで明らかに儲かるなというレベルの収益力を持った物件しか購入するべきではありません。私は東京郊外で利回り15%くらいを想定して物件を購入しますし、借り入れの金利も1%前後で借りています。これならなかなか破綻しにくいのです。
水面下でなんとか足をジタバタさせて表面上は破綻を免れているサラリーマン大家や、一見キャッシュフローが僅かでも出ているようで実は全然儲かっていない大家なども合わせての失敗の少なさというのが現実なのです。
不動産投資も投資なのだということをしっかり頭に入れて、リスクを考えてから投資を行う必要があります。とにかく勉強が必要です。勉強せずに新築ワンルームの営業に飛びついてしまうようでは救いようがありません。
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