区分所有マンションは高利回りでも注意が必要!表面利回りから管理費・修繕積立金を引くと実質利回りは低い

先日、以前に戸建て物件の仲介をしてもらった不動産会社から電話があり、新たに物件が出たのでどうかという話をいただきました。

それが区分所有のマンションの投資物件だったのですが、最寄りの駅や駅からの距離、物件の床面積や価格などが、以前に買った戸建て物件と非常に似通っているものでした。

おまけに利回りまで非常に近く、条件が近いから私に勧めてきたんだなと思いましたが、以前買った戸建てよりも大幅に築年数が古く、かつ区分所有であった為お断りしました。

それにも増して問題だったのが、実質利回りの問題です。以前私が同じ業者を通じて買った戸建てと同じ15%程度の表面利回りの区分所有物件だったのですが、実質利回りはずいぶんと異なります。

不動産投資の投資利回りには、表面利回りと実質利回りがあり、両者は結構違ってくるものですが、とりわけ区分所有のマンションにおいては大きな違いになります。

本日は、区分所有物件への投資を行う場合は、表面利回りだけではなく実質利回りをしっかり見極めないと、思わぬ低利回り物件を掴まされるよというお話です。

表面利回りと実質利回りの違い

まずは表面利回りと実質利回りについて復習しておきましょう。一般的に投資情報サイトなどに掲載されている何%という利回りは表面利回りです。

これは年間家賃を購入金額で割って100を掛けた、実に単純かつ明快な利回りになります。

年間家賃÷物件購入価格×100=実質利回り

一方、年間家賃から必要経費を引いた実際に手にできる純利益を、物件取得価格及び取得関連費用で割って100を掛けた値が実質利回りです。

実際に必要なコストも計算に含めているため、より現実的な実際に近い値になります。

(年間家賃-年間経費)÷(物件購入価格+取得関連費用)×100=実質利回り

年間経費は、修繕にかかった費用や、賃貸管理会社の管理費、場合によっては固都税などを入れる人もいます。区分所有の場合はマンションの管理費と修繕積立金が入ってきてこれが大きいのです。

物件取得関連の費用は、不動産会社に支払う仲介手数料、登記の登録免許税と司法書士報酬、不動産取得税などを計上します。これが意外と大きく仲介手数料が3%+6万円、登録免許税が2%、不動産取得税が3%となります。売買価格ではなく評価額からの計算で減免措置もありますので、これほどは取られませんが、おそらく売買価格の7%超位はかかるのではないでしょうか。

区分所有は管理費と修繕積立金が大きな負担になる

不動産会社の出す値は、少しでも有利に見せようと表面利回りで表記されますが、実際に手にできる利回りを表すのは実質利回りになります。

もちろん不動産投資家はそんなことは織り込み済みで計算して判断するので何の問題もないのですが、碌に勉強していない初心者はコロッと騙されてしまったりします。というより、騙しでも何でも無くて、勉強していない人が勝手に勘違いしただけなんですけどね。

1棟ものマンションやアパート、そして戸建賃貸物件でしたら、年間の必要経費というのはゆとりを持って見積もっても家賃の20%位ですが、区分所有マンションとなるとこの値を超える恐れが濃厚です。

例えばワンルームの区分所有を考えてみると、物件によってぜんぜん異なるのですが、管理費5000円修繕積立金8000円あたりがモデルケースではないでしょうか。合わせて月13000円も取られてしまいます。もっと安い物件もありますが、修繕積立金は築年数が経つと上がっていきます。

例えば東京都心のワンルームで家賃8万円取れるなら13000円÷80000円×100で家賃の16.25%なのでまだ大丈夫です。

しかし少し郊外で、家賃が4万円だったらどうでしょうか。
13000円÷40000円×100で家賃の32.5%です。これは危険水準です。賃貸管理会社の管理費やリフォーム費用の月割を考えると、家賃の4割超を経費として取られてしまいます。

管積を引くと実質利回りが半減することもある

例えば月4万円の家賃を取れる小ぶりな戸建て物件を480万円で買ったとしましょう。4万円×12ヶ月=48万円の年間家賃収入です。

表面利回りでいけば、年額家賃48万円÷取得価格480万円×100=利回り10%となります。

実質利回りでいくと、(年額家賃48万円-運営経費9万円)÷(取得価格480万円+取得関連費用40万円)×100=利回り8.9%となります。

やはり表面利回りよりは実質利回りが低くなっていますが、まあ想定の範囲内という感じです。

一方、同じ月4万円の家賃を取れるワンルームマンションの区分所有物件を480万円で購入したとしましょう。やはり4万円×12ヶ月=48万円の年間家賃収入です。しかし管積が月に13000円かかります。年間156000円ですのでこれが痛い。他に管理会社への管理費や部屋のリフォーム費の月割もあるので、かなりの経費が予想されます。

表面利回りでいけば、年額家賃48万円÷取得価格480万円×100=利回り10%となります。これは同じですね。

実質利回りでいくと、(年額家賃48万円-運営経費23万円)÷(取得価格480万円+取得関連費用40万円)×100=利回り5.7%となります。

いかがでしょうか管積(管理費+修繕積立金)の月13000円が重く負担としてのしかかり、実際の利益に近い実質利回りが大幅に低下してしまっています。利回り10%の物件を買ったつもりが、なんと利回り5.7%のクソ物件に成り下がってしまっています。

これが区分所有物件の恐ろしいところで、取れる家賃と管積の比率を考えないと、とんでもなく実質利回りが下がってしまいます。

冒頭の私の紹介された物件の例で考えると、管積が15000円で想定家賃が5万円ほどでしたのでかなりの負担感でした。表面利回りで15%弱でしたので、東京に十分に通える立地としては一般的には魅力的な値ですが、実質利回りにすると10%前後まで下がってしまって至って平凡な物件になってしまいます。

この様に、区分所有物件を検討する際は、実質利回りの方を注視しないと、思っていたのとは全く違う失敗投資になりかねないのです。

将来修繕積立金が値上げになって悲惨なことに

それなら、区分所有物件への投資であれば、管積が低ければ低いほど良いのかという考えに至りますが、それがそうでもないのが難しいところです。

確かに管理費は低ければ低いほど良いです、管理費はマンション管理会社に支払う手数料ですので、毎月毎月取られるだけで取られ損です。管理の質は管理費の高い安いにあまり比例せず、高い金を取って巡回管理で碌に管理もしないケースもあれば、安いのに常駐管理のケースもあります。

極端に低いと全く管理が行われずにマンションの価値を毀損する可能性もありますが、一般的にはできるだけ低いほうが望ましいのです。

一方の修繕積立金は、実は低いほうが良いとは限りません。払い損の管理費と違って、修繕積立金は将来のマンション修繕のために積み立てているお金ですので、ある意味自分の資産を毎月積み立てているようなものです。

修繕積立金が安いということは、これまでにあまり溜まっていないということになり、中古での購入者にとってはお得感がありません。逆に高めであったとすると、それまでにしこたま積立が溜まっている可能性があり、大きな資産を受け取ることに等しいのです。

あまり積立が溜まっていないと、将来の大規模修繕の際にお金が足りずに、不足分を各戸で割って一時金を請求される可能性があります。そうならなくても、このまま行けば間違いなく足りないと分かった時点で、修繕積立金の大幅値上げに踏み切らざるを得ない事態になります。

つまりは修繕積立金については高いことが一概に悪いとは言い切れないのです。

管積が高い区分所有物件は一般的に嫌がられるため、表面利回りが高めで売りに出されます。ここで管理費が高いと何の意味もない実質利回りが低い物件になってしまうのですが、管理費が低くて修繕積立金が高い物件であれば安い割に積立が溜まっている優良物件である可能性があります。

もちろん修繕積立金が高くても、それまでに無駄な修繕を繰り返して大して貯まっていないケースもありますので、どのくらいの積立があるのか事前にマンションの管理組合に問い合わせる必要があります。

この記事が役に立ったら「いいね」をポチッとな!

区分所有カテゴリの人気記事

まだデータがありません。

コメントを残す