賃貸用の一戸建てに庭は必要?若い世代にはマイナスの可能性もあり
最近は融資が絞られて、新米サラリーマン大家さんが新規参入するのが難しくなりつつある、2020年の不動産投資市場ですが、いかがお過ごしでしょうか?
融資が出ないのであれば、キャッシュで戸建て賃貸を考えている人も多いでしょう。最近はやりのボロ戸建て投資なら、200万円くらいで買える物件も少なくはないですからね。
戸建て投資を考える際に、考えなくてはいけないのが庭の存在です。
一戸建てというと庭があって当たり前という意識の人も多いとは思いますが、都市部では意外と庭なし物件も少なくありません。
尖った投資家は100万円以下で地方ボロ戸建て投資も良いのですが、多くの人はリスクをあまりとらずに、ある程度の都市近郊で投資を検討していると思います。
そうなってくると、土地値が高いため、必然的に1戸あたりの敷地は狭くなり、庭無し物件というのも珍しくはありません。
庭がなく、隣の家と軒を並べるようなギリギリに建っている物件ですと、入居付けにどうなのかなと思う人も多いとは思いますが、それほど問題にはなりません。
もちろん、ある程度は敷地に余裕がある物件の方が望ましいのは当然なのですが、所有者たる大家にとっては大きい敷地というのは意外とデメリットの方が大きいものです。
そこで本日は、敷地の大小が大家に与えるメリット・デメリット、庭のあるなしが賃貸物件としての戸建てにどう影響を与えるのかについて考えていきたいと思います。
無駄な庭で建蔽率や容積率を余らせた不動産は投資効率が悪い
入居付けに不利有利というのは若干あるにせよ、投資効率だけを考えれば、大家にとっては無駄なくギチギチに建った物件の方が投資効率が良いのは当然です。
土地には建蔽率と容積率というものがあり、所有する敷地の面積の何割の床面積の建物を建てられるのかということが決まっています。
せっかくなら土地のポテンシャルをフルに使った建物が良いのは言うまでもありません。
都市部の土地は高価ですから、容積率の半分も使っていない戸建てがあったとすると、家の大きさの割に買値が割高になりかねません。
使っていない分の土地も合わせて買わなくてはいけないためです。
もちろん将来建て替えを行おうとする分には、大きなアパートなどが建てられるかもしれないため、悪いことばかりではありません。
しかし、現在の建物に見合う以上の広さの土地を買うことになるため、どうしても単純な利回り、投資効率は落ちます。
ただ、超築古のボロ戸建てで、かつ微妙な立地の物件の場合は、大幅に土地値を割り込む価格で買える場合もあり、その場合はこの限りではありません。
戸建てには関係ありませんが、都心のマンションの区分所有なんかですと、容積率が大幅に余っていても売買価格にあまり反映されずに、大幅にお得に購入できます。
容積率が余ったマンションは、建て替えの際に大幅に有利になります。まあ、このあたりは本日の議題とは関係ないのでこのくらいで。
庭があることで家賃が高くなったり入居付けが早くなるというわけでもない
これは地域にもよりけりですが、賃貸物件に庭は必須のものではありません。
もちろん、庭がある戸建ての方が広々とした敷地で快適ですので、同じ条件で同じ家賃であれば庭付きの方が選ばれるでしょう。
しかし、すべての人が庭を欲しがっているわけではありませんし、一度でも広い庭付きの戸建てに暮らしたことがある人は、その手入れの手間からかえって嫌がることも珍しくありません。
特に若い世帯においては、庭の手入れを嫌がる傾向が強く、かえって庭なしの物件の方が評価が高い場合すらあります。
庭があって大きなマイナスになることは無いとは思いますが、あまりに広すぎる庭や、樹木の多い庭の家は、マイナス要因になることもあり得ます。
余計な樹木は伐採したり、コンクリートなどで固めて雑草が生えてこなくなるようにするなど、入居者の手間を軽減する改装が必要になるかもしれません。
土の庭にしても、少なくとも芝生が敷かれていて、大きな樹木は一本も無い方が望ましいです。
木や竹が伸びまくり手入れが面倒
庭いじりをしたことのないマンション育ちの方ですと、一戸建ての庭に強くあこがれている人も多いのですが、現実は非常に面倒なものです。
庭の土の栄養状態などにも依るのですが、きちんと手入れをしていないと、春から夏にかけて雑草が伸び放題になり、大変なことになります。
これは本当に土壌や地域によって全然異なるのですが、ひどい土地になると、新緑の季節から夏ごろにかけては、1か月放置するだけでジャングル化する土地もあります。
割と田舎というか、山など大自然が近い土地ですと、種子や胞子が飛んでくるのか、あまりにも様々な種類の草木が覆い茂ります。
ツタが伸びる植物などが樹木に絡まりだすと、いよいよジャングル感が隠せなくなり、敷地からはみ出して隣地など近所から苦情が来ることもあります。
竹もまた恐ろしく、ただでさえ成長速度が半端ではないうえに、地上に出ている部分を切っても、本体は地下にあるため永遠に伸びてきます。
竹のパワーは恐ろしく、コンクリートのクラックから僅かに太陽光が差し込むだけで、ガンガン成長してコンクリートを突き破って伸びてくることもあります。
人体にも有害なのではないかとアメリカで問題になっているものの今でも日本のホームセンターで普通に売られているような強力な除草剤を、ドリルで穴をあけて注入するくらいしないと死滅しません。
緑豊富な庭の何が困るかというと、客付の期間が繁忙期を越えて春から夏にずれ込んでしまうと、定期的に通って庭の手入れをしないと、内見に来た見込み客に悪い印象を与えてしまうのです。
ジャングル状態の庭を見たら、こんな物件借りるのやめようとなってしまうでしょう。単純に見た目が悪いですし、自分が入居後に庭の手入れに手がかかることを悟られてしまいます。
実際、入居後に庭の手入れに手がかかりすぎて退去を決意したり、面倒なので放置して荒れ放題になり、それが原因で家を傷めてしまうケースもあり得ます。
木が多いと落ち葉で集水器が詰まり雨漏り
自分が所有する夢のマイホームならともかく、借りて住んでいるだけの一戸建てですと、あまり家に愛着がわかない人も多いのが現実です。
前述の通り庭を放置する人も少なくないのです。
建物自体のメンテナンスを行ってくれる人も少なく、特に高い所にある雨どいなどは危険ですので、清掃してくれる入居者はほとんどいないでしょう。
緑豊かな家で困るのは、高い木があると、秋以降に落ち葉が雨どいに大量に詰まったりするのです。
これは物件自体に木が無くても、擁壁で一段高くなった隣の家の樹木から落ちてくるケースも多いのですが、非常に困りものです。
屋根に降った雨は、軒に向かって流れ、軒樋に流れ込み、それが集水器に集められ、集水器から縦樋で地上まで排出されます。
この集水器の部分には、クシと呼ばれる、異物を縦樋に流さないためのガードがあるのですが、ここに落ち葉や泥が詰まるのです。
ここが詰まってしまうと、縦樋に雨水が流れなくなってしまい、構造によっては建物内に雨水が浸透してきてしまいます。軒が長いとそうでもないですが。
実は雨漏りの原因の結構な割合が、この一連の雨樋の詰まりによる浸水で、壁際の雨漏りですとかなりの割合でこれが原因だったりします。
自分がオーナーでしたらすぐに詰まりを解消するだけで直りますが、賃貸の入居者ですと何となく長年放置してしまって、家が傷んでしまうこともあります。
自然は素晴らしいものですが、家にとっては百害あって一利なしです。
基礎周りに草が覆い茂ると白アリが繁殖しやすい
木造住宅にとって恐ろしいものの一つに、白アリがあります。
このシロアリは、基礎周りから侵入してくるパターンと、家の真下の布基礎の間から侵入してくる場合があります。
ただし、最近はベタ基礎の戸建てが増えてきましたし、布基礎でも防湿コンクリートパネルで全面が覆われていて、床下に土が見えていないことがほとんどですので、基礎周りだけ注意すれば良いでしょう。
白アリは太陽光や乾燥に弱いので、土の中を進み、木造住宅の木部に侵入する場合は、蟻道というバリアになるトンネルを形成します。
家の周りをぐるっと一周して、基礎がしっかり見えていれば蟻道が作られていないか確認しやすいですが、建物近くまで雑草などが荒れ放題になっていると、異変に気が付きにくいのです。
それだけではなく、雑草が覆い茂ることによって、基礎周りに日光が当たらずに湿った環境になり、白アリが生息するのに有利な条件を作ります。
基礎周りには一切の樹木がなく、太陽光がガンガン当たって乾燥している状態なのが望ましいです。
草ボウボウで、太陽光が全然当たらずに、基礎コンクリートが常にやや湿っているような状態は危険です。
別に庭に草木や樹木があったら絶対にダメというわけではありませんが、建物周りにはなるべく草木や樹木が無いことが重要です。
建物の付近は無機質で、太陽光がガンガン当たって、風通しがよく、カラカラに乾燥していないといけません。
とっととつぶして駐車場にしよう
土地の形や道路付けにもよりますが、一番好まれるのは庭をつぶして駐車場にしてしまうことです。
大して必要がなく、人によっては手入れの手間を嫌いかえってマイナス要因になる庭を、万人にとってプラスでしかない駐車場に変えるのです。
地方では駐車場の台数は確保されていればいるほど、どんどん物件の競争力は増します。本当にあればあっただけ良い!
駐車場無しでは話になりませんし、1台分では全く不足といえます。地方では最低2台の確保が望ましいですね。もちろん更に多ければより強い!
都市部や都市近郊においても、あればあった方が間違いなく良いですし、台数が多いほど良いのは同じことです。
無駄な庭などつぶしてしまって、駐車スペースを1台でも多く確保しましょう。
まとめ
まとめになりますが、賃貸用戸建てにおいては、庭を望む人ばかりではなく、人によっては手入れをしたくないが故に、庭があるとマイナスになる場合もあるということです。
あっても問題はありませんが、あまりに広かったり、樹木が多い家はマイナスの評価になる可能性がありますので注意しましょう。
あまりに広くて手におえなそうな庭でしたら、つぶして駐車場にしてしまうと、短所を長所に変えることができます。金かなりかかりますけどね。
緑豊かなことは素晴らしいことですが、落ち葉が雨どいを詰まらせて雨漏りを引き起こしたり、基礎付近の植物や落ち葉などがシロアリを招く可能性もあるので、実は家の庭にはあって良いものでもないのです。
広い庭があるということは、広い土地に対して相対的に小さな家ということになり、投資効率が悪いのが現実です。
土地が広いので買値は高いものの、家が小さいので取れる家賃は少なくなるからです。あと固定資産税も高いしね。
立地の悪い物件や超築古など、単純に土地値と売値に関係がないようなケースは別ですが、一般的には庭などなく敷地の持つ容積率のポテンシャル一杯に建てられた物件の方が投資効率が良いのです。
はっきり言って、賃貸用物件に庭は無用の長物です。