火災保険で修理できる?雨漏り原因と修理費用について

皆さんは自宅が雨漏りになったことってありますか?

余程のあばら家に住んでいない限り、あまり大規模な雨漏りを経験したことがない方がほとんどではないでしょうか。

しかし、不動産投資をやっていると、物件によっては相当築古のボロ物件であることもありますので、雨漏りに当たることも珍しくはありません。

家の造りや使い方、メンテナンス状況にもよりますが、概ね築40年あたりを超えてくると、雨漏りが発生する家が増えてくる気がします。

一口に雨漏りと言っても、その原因や規模は様々で、修理に恐ろしく費用がかかる致命的なものから、実は素人作業で10分で修繕できてしまうものまであります。

屋根をまるごと葺き替える必要のある致命的な雨漏りでしたら、自宅用に中古住宅として購入するのがNGなのはもちろんのこと、投資用物件として購入することも奨励されません。

ボロ戸建てなどを購入する投資法は、とにかく安く買って、適度に修繕をして、相場よりもやや安く貸すのがポイントですが、下手すりゃ屋根の修理費用が購入金額以上に掛かる恐れすらあります。

本日は、ボロ物件や築古物件には避けて通れない雨漏りの原因や種類、その修理や費用について解説していきたいと思います。

ほとんどの雨漏りは雨樋が詰まっているだけ

投資用物件を買おうと思って内見に出向いて、2階の天井に雨染みを見つけて、雨漏り物件かと落胆する事ってちょくちょくありませんか?

不動産投資における物件選定で最も大事なのは立地で、建物に関してはボロくても修繕できるため二の次三の次です。

ただし、物件の致命的な問題についてはその限りではなく、建物の傾きシロアリ雨漏りの3大瑕疵については、購入を見送ったほうが良いとされています。

その理由は明白で、この3大瑕疵は修復に多大なコストが発生するからです。程度がひどいと数百万円単位で修理費用がかかります。

しかし、雨漏りに関しては、場合によっては全くコストが掛からない場合もあるのです。費用がかからないというより、元々壊れてすらいない場合です。

私の経験上、雨漏り物件の過半数が別に壊れてすらいないものです。

物件が壊れていないのになぜ雨漏りが発生するのかと言えば、雨水の排水システムに破損を伴わないトラブルが起こっているからです。

すなわち、排水システムが詰まっているのです。

屋根に降り注いだ雨は、屋根の勾配に沿って流れ、軒先に付いた軒樋に集約され、軒樋に1箇所~付いた集水器に集められ、そこから縦樋と呼ばれる排水管で地面まで流されます。

この一連の雨樋(あまどい)のシステムのおかげで、屋根の軒先全体から雨水が断続的にボタボタ垂れること無く、安全にまとまった箇所の竪樋から地面に排水できるのです。

しかし、長年メンテナンスすること無く雨樋を使い続けると、ゴミや落ち葉やドロなどが溜まってしまい、雨樋が詰まってしまうことがあります。

特に、集水器には竪樋に異物を流さないためのゴミ避けのクシが付いていますが、ここに落ち葉やゴミなどが吸い付いてしまうと、水が流れなくなってしまいます。

こうして竪樋に水が排水できなくなると、軒樋に水が溜まってしまい、構造によっては水が逆流して建物の中まで浸透してしまうことがあります。

単純に軒先に軒樋が取り付けられている構造ならまだ良いのですが、中には屋根や建物の構造と一体化しているものもあります。

特に屋根そのものが樋の役目も果たす陸屋根などは最悪で、クシにゴミが詰まって排水できなくなると、屋根全体に水が溜まってプールのようになってしまいます。

まずは、雨漏りが起こっている付近の屋根を調べてみて、近くに雨樋が通っていないか確認してみましょう。

雨漏り箇所の付近の屋根に排水システムの流域がある場合は、その排水先の経路をたどり、どこか下流で詰まっている箇所がないか調べてみましょう。

主に集水器などについているゴミ避けのクシが詰まりを起こしているケースがほとんどです。この詰まっているゴミや落ち葉や泥を取り除いてやれば、逆流して雨漏りが起こることはなくなります。

本当に驚くほどこのケースは多発していて、私の所有物件で雨漏りと言えばほぼ全てがこのケースでした。

特に、内見時に不動産屋さんが、以前は雨漏りがあったけど現在は止まっているようです、と言うケースは多くの場合はこれです。

屋根が根本的に壊れているのに、勝手に雨漏りが止まることなどありませんからね。何らかの原因で詰まりが解消されたのでしょう。

あるいは、想定外のゲリラ豪雨で排水キャパを一時的に超えて、溢れて雨染みを作ったものの、普段は雨漏りなどはしないというケースです。

ウレタン防水やコーキング箇所などの劣化

次に多いのが、ウレタン防水やコーキングなどの、10年~程度で劣化が始まってしまうジョイント部分からの浸水です。

瓦やスレートやガルバリウム合板などの屋根材は、30年以上問題なく使えるケースがほとんどですので、滅多なことでは劣化しません。

壁面も同じで、サイディングにしろモルタル塗り仕上げにしろ、滅多なことで劣化して水が浸透するようなことはありません。

また劣化したところで、屋根材の下には防水シートが敷かれていますし、壁の内側にも防水層が設けられていますので、水が浸透してくることはありません。

問題は、屋根材や壁材の接合部です。屋根ですと水は上から下に流れるので、毛細管現象もありますが基本的に接合部から浸水することはあまりありません。

壁ですとサイディング材の接合部にはコーキングが施してあり、この部分はサイディング材の寿命よりも遥かに短いですので、定期的にメンテナンスが必要です。

また、屋根でもきれいな三角形の合掌型ではなく、複雑な形状をしていると、接合部に防水のためのコーキングが必要になることもあります。

いずれにしろコーキング部分は、年月とともに劣化が進みますので、15年20年と経つと打ち直しなどの措置が必要になるケースもあります。

また、陸屋根や、モルタル塗り仕上げの壁ですと、防水塗装が施されていますが、こちらも劣化しますので、定期的な塗り直しが必要になります。

代表的な防水塗装ですとウレタン防水材の塗装などがありますが、こちらも15年程度で塗り直しが必要になります。

屋根そのものが傷んでいる場合は葺き替えが必要

一番厄介なのが、瓦やスレートといった屋根材が割れるなどして破損していたり、亜鉛メッキ合板などの板金屋根が錆びて腐食している場合など、屋根そのものが傷んでいる場合です。

もうこうなったら、屋根そのものを葺き替えるしかありません。屋根そのものを葺き替えると膨大な費用がかかります。

これは業者によっても全然違うと思いますが、賃貸住宅として需要の多い60平米台くらいの家ですと、50万円~はかかるケースが多いようです。

100平米を超えるくらいのマイホームですと、100万円以上かかるケースがほとんどでしょう。

現状の屋根の傷み具合、屋根の形状や、足場の組みやすさや、資材搬入のための道路付けなど、様々な条件で大幅に値段は異なります。

また、防水シートの交換はもちろんセットで行うとして、その下地の野地板や垂木まで水が浸透して腐っていたりすれば、そのあたりの小屋組みまで修復が必要になるかも知れません。

せっかく直すなら、安くて高性能なガルバリウム合板の縦葺きなどが良いでしょう。地震に弱い重い本瓦などは今時ありえません。

ガルバリウム合板でも工場で形成された製品は高いので、現場で板金職人が施工するガルバリウムの瓦棒葺きが良いでしょう。いかにもトタン屋根という感じの風貌でダサいですが、貸家なのでオッケー。屋根まで見て借りる人はいません。

いずれにしても屋根そのものを葺き替える場合は、数十万円~の投資になりますので、表面利回りは高いボロでも、仕上がりの実質利回りがエラいことになるかも知れませんよ。

屋根自体を大規模に修繕する必要があるくらいのボロ物件には、なるべく手を出さないほうが懸命でしょう。

築40年以上の築古ですとジワジワ染みる系の雨漏りが起こるかも

屋根材や防水シートそのものが傷んでいなくても、築年数が経った屋根からはジワジワ染みる系の雨漏りが起こることがあります。

2階の天井に目立つ雨染みはないものの、なんだか天井板がぶよぶよしている気がする、天井がカビてる、なんていうことが築古にはよくあるのです。

築40年台後半から50年以上くらいのボロ屋に起こりがちなのですが、特定箇所からドバっと漏れるわけではないのですが、全体からじわじわ染み出すように雨漏りが起こるのです。

これは、瓦やスレートなどの屋根材を野地板に固定する際に打ち込む釘が原因です。この釘は防水シートを貫通してその下の野地板に打ち込まれます。

屋根材は、下の段にかぶせるように上段へ上段へと重ねられていきますので、接合部から水が浸透することは基本はないのですが、毛細管現象があるのでいくらかは吸い上げられてしまいます。

こうして屋根材の下に入り込んだ水も、その下には防水シートがありますので、浸透すること無く防水シートを滑って下に落ちていきます。

しかし、屋根材を固定する釘は防水シートを貫通しているわけで、年月が経って劣化してくると釘が打ち込まれた部分から水が浸透してしまうようになります。

この水は釘を伝って野地板も貫通して、小屋内に侵入します。あとは屋根全体に空いた釘の穴からほんのチョビッとずつ、ピチャリポタリと天井板へと落ちるのです。

これが超緩やかな雨漏りとなります。特定箇所からドバっと漏れませんので、天井板の特定箇所に派手な雨シミを作りませんが、全体が湿って歪んだりカビが生えたりするのです。

もうこれは修理のしようがなく、屋根材も防水シートも野地板も全部引っ剥がして、全て施工し直さないと治りません。

しかし、築50年とか経った築古ボロ戸建てに、100万円以上かけて屋根を完全に新しくする工事を行ったところで、あと10年、引っ張って20年貸すのが限度でしょう。投資として割に合いません。

DIYで野地板の内側から鬼コーキングを施すとともに、天井板を防水性能の高い合板に張り替えるなどで誤魔化して、だましだまし運用する他ありません。

プロの屋根屋はそんな工事絶対にしてくれませんからね。プロのプライドが許しませんし、何かあったら責任取れませんからね。

パラペットに被せられた笠木がめくれていた

最後に例外ですが、こんな原因もあるよという話です。

RCや重量鉄骨造などの陸屋根の物件ですと、屋上の縁にパラペットという出っ張りがあることが多くあります。

これは転落防止や、屋根スラブと壁面の間の防水性能を高める効果があるためです。

このパラペットの上には笠木という蓋がついている構造のものもあり、この笠木が劣化してめくれてしまったり、笠木の接合部のコーキングが劣化して水が浸透してしまう事があります。

何を隠そう私の会社の倉庫が、このパラペットの笠木が取れて浸水を引き起こしていたのです。

デカイ倉庫にしては珍しく、木造で、亜鉛メッキ合板サイディング壁、亜鉛メッキ合板葺き屋根の倉庫なのですが、木造にも関わらずパラペットがあるという謎構造なのです。しかも陸屋根じゃないのに。

台風の暴風で、この亜鉛メッキ合板の笠木がめくれ上がってしまい、そこから雨が侵入していました。

何と笠木は釘で何本か打ち付けられているだけで、コーキングなども全く施されていませんでした。何という簡素な作り・・・

しっかりした陸屋根のマンションやビルでしたらこんなバカバカしい作りにはなっていないでしょうけど、それでもコーキングや防水塗装に劣化がないかどうかは、定期的に調べておく必要があります。

陸屋根は、小屋ありの三角屋根に比べて、ほとんど有って無いような勾配しかありませんので、水が溜まりやすいので防水塗装がしっかりしていることが重要です。

一戸建てでも陸屋根の家がありますが、明らかに屋根が痛みやすいのであまりおすすめできません。

特に階段型で1階の屋根が2階のバルコニーみたいになっている構造は、痛みやすいので良くないです。

雨漏りは火災保険で修理できるの?

雨漏りには火災保険が降りるのかどうかという疑問を持っている人が多いようですが、原則的には火災保険の対象にはなりません。

たとえ台風などの大雨で漏れたとしても水災などには当たりません。事故ではなく単なる経年劣化によるものだからです。もちろん例外もありますが。

ただ、台風にしても、その台風で屋根が壊れたために雨漏りが起こった場合などは対象になります。つまりは自然災害による破損です。

飛んできた他の家の屋根材や大型の構造物などが屋根にぶつかって、瓦が割れるなど屋根が破損してしまったら、それは保険の対象になります。ただし風災などが保証対象になっている火災保険契約のみ。

保険会社にもよりますが、大規模台風などで被害が広範囲に渡る場合は、全て写真でのやり取りになり実地調査までは行わないケースが多いので、上手いことやって元から劣化していた部分まで修復してしまう輩も多いとかなんとか。詐欺なので止めましょう。

また、雨漏りによって入居者さんの家財が破損してしまった場合の保証などについては、入居者さんが入居時に契約する住まいの総合保険などでカバーできる場合もありますので、調べてみましょう。

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