家の床の傾きの許容範囲は角度が何度まで?健康に影響はあるの?アプリや水平器で調べる方法

中古住宅など新築ではない建物を買おうと思った時に、絶対に買ってはいけない瑕疵として知られているのが、傾き・シロアリ・雨漏りです。

壁紙やクッションフロアが汚かったり、水回りが少々壊れているくらいでは、リフォームをすればキレイになりますので、それほど心配がありません。よほど汚れていない限り100万円以内でリフォームが済むことがほとんどでしょう。

その一方、雨漏りが酷く屋根をまるごと葺き替えることになったり、シロアリによって柱という柱がスカスカになっていたり、家が大きく傾いていてジャッキアップや地盤改良が必要になったりすれば、数百万単位の出費も覚悟しなくてはいけません。

だからこそ、傾いている家を買ったりしては絶対にいけないのです。他の部分がどんなに気に入っても絶対に手を出してはいけません。

完全に水平な家というのはありませんが、傾きには明確な許容範囲がありますので、これを上回る物件を購入することはナンセンスです。

本日は、家の床の傾きの家族の健康や家自体への影響や、傾きの許容範囲、そして購入前の計測方法などについて解説していきたいと思います。

建物の傾きの許容範囲と健康被害

本当は完全に真っ直ぐに立っている建物が理想ですが、完全に水平というのはなかなか現実的に難しいのです。地面だって坂や傾斜があちこちにあって、完全に水平なところはなかなかないでしょう。

家ももちろん正確に水平を取るように建てられますが、出来上がった時に完全に水平というのはなかなか難しいのが現実です。人体が検知できないレベルでは、どの家もどちらかに極僅かに傾いているのです。

新築で3/1000までの勾配が許容範囲

この極僅かな傾きには明確な基準があり、新築で3/1000以下の勾配までが許容範囲です。これは、床1000ミリつまりは1メートルにつき、3ミリ片側が持ち上がっているまでであれば問題なしということです。

なかなか分かりにくいのですが、角度に直すと0.17度になるそうです。1度を大幅に下回る極僅かな傾きということになります。

この程度であれば新築でも建物の瑕疵はなしと判断されます。当然の事ながら健康への影響も全く心配ありません。

中古住宅で6/1000までの勾配が許容範囲

新築時にまっすぐ建てられていても時間が経過すると家も疲労を重ね歪んでくるのが現実です。柱が僅かにたわんだりすると、その差で歪みが生じたりするのは普通です。旧耐震の超築古ボロ物件ともなれば、歪みがない家のほうが希少です。

また地盤が悪い地域ですと、基礎部分から不同沈下を起こして家が傾いてしまうこともありえます。大地震で液状化になってしまうのはその極端な例ですが、一見傾いていない家でも極僅かには沈んでいる可能性もあります。

そういったわけで中古住宅に関しては新築よりも緩い中古で6/1000以下の勾配という基準が定められています。

建てたばかりの新築のような厳しい基準ではありませんが、健康被害がでないように安全マージンを取って定められている基準ですので、敏感な人を除いてこの範囲内であれば十分問題ありません。

角度に直すと0.34度になるそうです。中古住宅とはいえこちらも非常に厳しい基準であることが分かります。それほど傾きというのは健康に影響を与えるのです。

10/1000を超えると健康被害が出る人も

中古住宅の傾斜の許容範囲は6/1000ですが、この範囲を超えると段々と人間は傾斜を感知するようになります。人によって感じ方は異なり、新築基準範囲内でも感知する人もいれば、中古の基準範囲を少々オーバーしたくらいでも気づかない人もいます。

しかし、10/1000つまりは0.6度弱ともなれば、もはや傾きに気が付かない人はいないでしょう。どんなに鈍感な人でも何か違和感を覚えるはずです。

違和感で済めばよいのですが、人によっては倦怠感やめまいなどを覚える人もいるようです。傾斜が体に及ぼす影響は、頭痛、吐き気、めまい、食欲不振、睡眠障害など実に様々です。

家にいる時は常に、どちらかに向かって体が引っ張られているわけですから、体に様々な影響が出てくるのは当然です。深刻な体調不良が続き不思議に思っていたところ、実は家が傾いていたというケースもあるそうです。

15/1000つまりは0.9度弱くらいになると、立っていると明確に下がっている方向に身体が引っ張られる感覚があります。もはやまともに住めるレベルではありません。早急に地盤改良やジャッキアップなどの修理が必要です。

1度あたりを超えると、震災時には大規模半壊として認められる可能性が高まりますし、地震保険でも全損扱いになる可能性は濃厚です。つまり建物は1度も傾けばとても人が住める状態ではないのです。

住宅として正常な許容範囲内なのは0.34度まで、0.5度を超えると誰でも傾きを感じ健康被害を生じるケースもあり、1度を超えれば全壊扱いということを覚えておきましょう。

中古住宅を買う場合は、しっかり水平器で測って、0.34度までに収まっているか確認する必要があります。

床の傾斜を水平器やスマホアプリで計測する

床の傾きを調べる方法として、イメージする方が多いのはビー玉を置いて転がるか試したりする方法ではないでしょうか。確かに床が傾いていればビー玉は下がっている方向に向いて転がりだします。

ビー玉は簡単に調べる方法として参考にはなりますが、具体的な傾きの度合いを測ることが出来ませんし、床素材の抵抗などによっても転がりだしが変わります。

家という大きな買い物をするのでしたら、しっかりした水平器を買ってから物件見学に出向くのがおすすめです。何百万円、何千万円という買い物をするのに、数千円の水平器を購入することを惜しんでいてはいけません。

私がおすすめする水平器・傾斜計も参考にしてみてください。1万円以下で十分な性能のものが購入できます。

水平器は気泡管ではなくデジタルモデルを買おう

水平器もピンきりで、液体の満たされた筒に気泡が浮いていてメモリが振られている簡易的なものから、液晶画面にデジタルで表示されるものまであります。

安い気泡管の水平器なら1000円程度から購入できますが、やはりおすすめしたいのはデジタルの水平器です。数値で出るので非常に分かりやすいです。国内メーカーの製品でも、安いもので5000~10000万円の間くらいから買えます。

デジタルで値がかっちり出れば、あとは許容範囲内に収まっているかアチラコチラと計測してみれば良いので非常に分かりやすい。気泡管だと傾いていないか、少し傾いているか、大きく傾いているかしかわからないので不便です。目盛りが振ってあり大まかに角度が測れる高性能気泡管もありますが、デジタルのほうが明らかに分かりやすいのです。

また、水平器はある程度の長さがないと正確な計測ができません。建物の床は長年踏み抜かれて部分部分で小さくたわんでいたりするため、大きな範囲で測らないと小さなたわみを拾ってしまい、建物全体の傾きを計測できないのです。

したがって、最低でも50センチ以上などの本体の長さがある水平器でないと使い物になりません。安い20センチ30センチ位のモデルではなく50センチ以上のものを買いましょう。本当はもっとずっと長いほうがより良いのですが、素人が簡単に計測するにはあまり長すぎるのも使い勝手に劣ります。

床は床板自体のたわみもあるため、床だけでなく窓枠やドアの枠、柱や梁なども計測することが重要ですが、あまり長すぎる水平器ですと計測できない部分があります。本当は長いものと短いものを組み合わせて計測したいところですが、そこまでは出来ませんよね。

スマホの無料の水平器アプリは使い物にならない

最近ではスマホアプリとして水平器の無料アプリも出ていて、これを使って計測することも出来ますがハッキリ言って正確ではありません。

スマホの傾斜センサーでも問題ないのですが、そもそもスマホ本体が歪んでいる可能性があるのです。いつでもどこでもスマホを持ち歩く現代、スマホ本体に圧力がかかり小さな歪みが出ているのが普通です。本体を床に置いて計測するわけですから、本体が反っているなど歪んでいては正確な計測など出来ません。

またスマホの長さが短いことがまた問題です。前述の通り水平器はある程度の長さがないと正確な計測ができません。スマホの本体なんて長さ10センチ強がいいところですから、床の小さなたわみを拾って全く正確に測れません。

スマホで出せるのはあくまで参考値です。大切な家を買うのに、数千円の専用の水平器を惜しんではいけません。中古住宅を買うときにはデジタル水平器が必須です。

築古中古住宅で一定方向に沈んでいない場合

水平器で家のあちこちを計測していくと、少なからず傾きを計測しますが、前述の通り中古住宅であれば0.34度までであれば問題ありません。それ以上傾いている場合は詳細に確認する必要がありますが、単純に一定方向に家全体が傾いているケースではないこともあります。

築古の布基礎の家にありがちですが、敷地の様々な部分が不同沈下して、あちらが高くなったりこちらが低くなったりで、家の柱の場所によって高さがまちまちになっているケースです。

地盤自体が沈下している場合は、やはり地盤改良が必要です。敷地を計測して、沈んでいる部分のみを持ち上げて精密に微調整してくれますので、上がったり下がったりガチャガチャな状態でもキレイに直してくれます。

ただ、築古の木造住宅ですと、地盤自体には問題がなく、床板や梁がたわむことで傾きが起こるケースがほとんどです。築古木造住宅の2階の床なんかは、歪みや傾きがないほうが珍しいくらいです。

多くの築古ボロ戸建てで、太い構造上の柱と梁の部分を起点にして両サイドが沈んでいるようなケースが散見されます。こういったものは躯体そのものが歪んでいるわけではないので、床のレベル調整で誤魔化せばOKです。

こういったものであれば、ジャッキアップなど大規模な修復工事が必要ないため、比較的安く修理が済みます。とはいえ、実際に何が原因で床が傾いているか素人には分かりませんので、傾きハウスは購入しないほうが吉です。

床だけの計測ですと床板などがたわんでいるだけの可能性もありますので、太い柱や梁や、窓枠や建具の枠なども水平器で計測して、建物そのものがゆがんでいるのか否かを確認しましょう。

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