土地値以下の物件とは?一戸建ての不動産投資でお得なのは解体費分ディスカウントだから

不動産投資家は日々お得な物件情報がないか目を光らせているわけですが、お得な物件とはどのようなものなのでしょうか?

一般的には、物件価格に対して高い家賃が期待できる物件、すなわち高利回りの物件ということになります。

地方か首都圏か、駅近・駅遠など立地、築年数や物件の状態によっても随分変わりますので、厳密には同じような立地の同じような条件の物件の相場と比べて、利回りが高い物件がお得ということになります。

この利回りで考える考え方は、収益価格で考えてお得ということになります。一般的には不動産投資の世界では収益価格で物件価値を測るのが一般的で、利回り絶対主義に近いものがあります。

しかし、それと対になるくらい大事なのが積算価格という概念で、主に融資を考える際に非常に重要になります。この積算価格よりも安い値段で買える物件もまたお得であると言えるのです。

さて本日のお題ですが、土地値以下の物件の話ですね。不動産投資を勉強していると、土地値以下という物件が登場することもあるのではないでしょうか。とてもお得な物件ですので、しっかり理解しておきましょう。

積算価格とは

積算価格とは、土地・建物のそれぞれの現在価値の合計の価格です。

土地の値段には実に様々な指標があり、実勢価格、公示価格、相続税路線価、固定資産税評価額などがあります。

実勢価格が実際の取引相場、公示価格が実際の取引相場を国が調査して導き出した相場、路線価は相続税を算出する際の基礎になる価格評価、固定資産税評価額は毎年の固定資産税を算出する際の評価額で、実勢価格から順に低くなっていきます。

積算価格における土地値の評価は、路線価に近いと言われており、路線価前後を積算価格と考えていれば大外れはないでしょう。もちろん土地の形状や地形によって前後しますが。

一方の建物ですが、建築費から減価償却を行い残っている現在価値から求めます。建築費は再調達価格などと呼ばれ、木造・軽鉄が15万円/㎡、重鉄が18万円/㎡、RCが20万円/㎡で計算されます。

つまりは、木造で60平米の家だとすると、15万円×60平米=900万円ということになります。さてこれは新品の価格ですから、中古の今現在の価格を計算する必要があります。

木造は法定耐用年数が22年ですので、例えば今現在で築15年の建物だとすると、900万円×(22年-15年)÷22年=約286万円となります。この数値が建物の現在価値になります。

こうして導き出された土地と建物の現在価値の合計が、その物件の積算価格となります。

銀行は融資の際に物件を担保に取りますが、融資額を満たす積算価格が物件に残っていることがある程度前提になります。返済が滞ったら競売で売って即回収できますからね。

大抵の場合は、売買金額よりも取得物件の積算価格が下回りますので、その差額分の埋め合わせとして頭金や共同担保を求めるのです。あとはエリートサラリーマンなど職業やステータス属性で埋め合わせるケースもあります。

土地値とは一般的に相続税路線価を指す

さて、よく言われる土地値とは、上で解説した積算価格の土地の価格になります。つまりは路線価くらいということになりますね。

路線価は、都市部など土地の値段が高い地域では実際の取引価格よりも低くなり、田舎など土地の価格が安いエリアでは実勢価格よりも高くなることもあります。

そもそも路線価よりも実勢価格が安いエリアなど、将来性皆無の誰も欲しがらない土地なので、不動産投資などナンセンスです。

この路線価で見ていれば、大体取引価格がこれよりも低くなることはありませんので、安心です。そう遠くない将来に売るとしても、この路線価くらいで売れると期待できます。※年々鬼速で土地値が下がっていく田舎や立地の悪いエリア除く。

したがって、一戸建てや一棟ものアパートなど土地付き物件を購入検討する際は、路線価を見ていれば大体の土地値の目安が分かるわけです。

建物は年々劣化してどんどん価値が下がっていきます。さすがに法定耐用年数よりはもっとずっと保ちますし、法定耐用年数に沿って価値が減少する積算価格ほどは実際の価値は落ちません。

しかし、年々確実に価値が落ちるのは100%間違いのないことです。しかし、土地は違います。当然ながら市況と相場によって上下はしますが、土地そのものが擦り減って劣化することはありません。”国破れて山河あり”というように、何があっても土地は100年後もその土地なのです。

だからこそ土地は価値があるものとして認識されてきたわけです。土地神話ですね。

建物なんていつかは価値がなくなりますが、土地は永遠なのでとても価値があるのです。したがって、この土地値は非常に大事なのです。上モノがボロボロでも、土地に価値があれば価値ある不動産ということになります。

路線価で大体のその土地の価格を求めてみて、販売価格と比べてみることは重要です。

例えば3000万円のアパートを買うとして、その土地の価値が路線価で1800万円だったとすると、半分以上は土地の価値だなとなるわけです。

賃貸経営に失敗しても、最悪土地値で土地を売ることが出来ると考えると、まあ1800万円は回収できるだろうということになります。クソ物件買ってしまっても3000万円の損ではなく1200万円の損で済むわけです。

どうですが、土地値をしっかり考えて不動産を購入する重要性が分かりましたか?もちろん好立地の土地に限りますよ。立地の悪い土地など、今後は無価値どころかマイナス資産の”負動産”になりますからね。

法定耐用年数を大きく越えた建物は解体費がかかるのでマイナス評価

さて土地値が分かったところで、世の中には土地値物件という凄いお宝物件があるのです。これはその名の通り、なんと販売価格が土地値そのものという物件です。

つまりは3000万円のアパートを買おうと思って路線価調べてみたら、なんと路線価3000万円だったという話です。そんな馬鹿な?というような話ですが、世の中結構こういう物件があります。

まあ実際にはアパートは少ないですけどね。主に一戸建てに多いですこのパターンは。アパートは土地面積に対してより多くの家賃を発生させますので、収益価から還元して販売価格を出す際に高額になるので、なかなか土地値物件はありません。

一戸建ての中古物件を調べてみると、主に築古ボロ物件を中心に結構土地値物件てあるものです。ボロ戸建て投資をしている大家なんか、買う物件買う物件土地値というのは当たり前です。

さて更に過激な物件として、土地値以下の物件という物があります。これも読んで字のごとく、なんと販売価格が土地値を下回っている物件です。

例えば500万円の戸建てを買おうと調べたら、なんと路線価が650万円もあったというケースもあり得ます。珍しいですが、旧耐震のボロ戸建てなどですと極稀に見つかります。

何じゃそりゃ、そんなに安く売るんだったら、いっそ土地として土地値で売ればいいじゃん、と思うかもしれませんが、そうもいかないのです。

土地値以下の物件の多くが、相当な築古で状態も悪いボロ物件です。物好きなボロ物件投資家にとっては大好物ですが、ほとんどの投資家や実需で探している人は嫌がります。

誰も欲しがらないボロ物件をさっさと売るには、建物を解体して更地にして土地として売る必要があります。この解体費がミソなんですね。

解体費掛けて更地にするくらいなら、その値段分引いて古家ありで売ってくれという投資家がいるわけです。まあこれがボロ物件愛好家なんですね。

わざわざ解体しなくても、そのコスト分引けば売れるのであれば、そのまま売ってしまったほうが楽なのです。こうして土地値から解体費用を引いた土地値以下のボロ戸建てが誕生するわけです。

ボロ戸建てとして売りに出すのと同時に。古家あり更地渡し土地としても売りに出しているケースもあります。これは古家があるけど希望があれば解体して更地で引き渡すよということです。こちらは解体費は引かない値段になります。

まとめ

以上が土地値以下の物件が登場する理由です。簡単にまとめると、築古ボロ物件の場合は建物の価値がゼロで土地値の積算価格にしかならないため、土地値で買える戸建てがあるということですね。

そして、手におえないようなボロ戸建の場合は、土地値から更に解体費が引かれるので、土地値以下で買える物件が存在するわけです。

土地値や土地値以下で買える物件というのは、概してボロボロの物件になりますので、気合の入ったボロ戸建て投資家でなければ手が出せるものではありません。

セルフリフォームや職人に分離発注が出来るような、リノベ知識に長けたボロ物件投資家でないと手におえないか、リフォーム費用がかかりすぎて仕上がりで高くなってしまうのでおすすめできません。

ボロッボロの建物を自分再生できる大家でしたら、土地値よりも安く建物付きで買えるのですから、これ以上のものはありません。

気合の入った上級大家なら、こうした土地値以下の物件を探してみるのも面白いでしょう。

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