市街化区域と市街化調整区域と非線引き区域の違い

不動産を探していると、市街化調整区域という言葉を度々目にします。

市街化調整区域とはどのような地域なのでしょうか?

簡単に言うと建物を建てられない地域になり、土地としての価値が非常に低くなります。

一方、これと対になる地域として、市街化区域があります。こちらは建物を建てられる地域になります。

このように、大きく分けて建てられる地域と建てられない地域に分かれるわけです。

これを知っておかないと大変なことになります。何も知らずに再建築も出来ない価値のない土地を買ってしまったら一大事です。

本日は、市街化区域市街化調整区域、そしてどちらにも当たらない非線引き区域について、その違いを解説していきたいと思います。

市街化区域と市街化調整区域の違い

都市計画法は、無秩序な開発で市街地が無制限に広がらないように、建物を建てて開発していく地域と、建物は建てずに田畑や原野として開発しない地域を定めています。

なぜなら、例えばある自治体の全面積に等しく住宅地が開発されて、密度の低いスカスカな街が形成されたらどうなるでしょうか?

家と隣の家の距離が300メートルですといった感じで、低密度にスカスカの開発を行うと、インフラの維持コストが膨大になります。

道路も延々敷設しなければいけませんし、電気・水道・ガスなどの社会インフラの整備と維持も膨大な距離となります。

それよりも、街の中心地を決めて、隣近所ぎっちり住宅を建築したほうが、インフラの整備維持コストを下げることが出来ます。

あまった周辺の土地は開発をしないで田畑などに当てます。

大都市圏では主に鉄道の駅周辺が開発できる市街化区域になっており、たとえば駅から徒歩30分以上など不便な土地は開発できない市街化調整区域になっていたりします。

非線引き区域とは

土地は大きく分けて、開発できる市街化区域と、開発できない市街化調整区域に分けられることは、既に解説しました。

実はこのどちらにも当たらない地域というのもありまして、非線引き地域といって、主にローカルなエリアにあります。

そもそも、市街化区域と市街化調整区域に指定される時点で、開発を行おうとする者がいるくらいには開発需要がある地域ということになります。

放っておくと無秩序に開発されてしまう恐れがあるからこそ、両区域に指定して開発を制限しているのです。

そもそも誰も開発したがらないようなローカルエリアであれば、特にこういった線引は必要がないのです。

都市計画法 第七条では、「計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域との区域区分を定めることができる。」と定めています。

つまり、必要がなければ定める必要はないのです。ただ、絶対に定める必要のある地域の条件もその後に記述されています。

簡単に言えば、発展している都市部では定める必要があるよということですね。

繰り返しますが、盛んに開発されるような地域では、無秩序にスカスカな市街地が形成されないように線引をして区域区分を定めるということです。

一方のローカルエリアで開発意欲の沸かないような地域は、特にわざわざ線引して区域区分を定めずに、非線引き区域として放置しているわけです。

市街化調整区域内の既存宅地と再建築の可能性

非常に不便な土地に多い市街化調整区域は、最初から開発ができないルールになっているので、端から再建築不可なのです。

では、なぜ今建っている物件があるんだという話になりますが、実はほんの数年前までは開発許可を得ることにより建築できていた時代もあったのです。

ここでは、市街化調整区域内であっても建築ができる場合を解説していきます。

開発許可

私が住んでいるような東京近郊のベッドタウンの市町村によくあったのですが、本人が住む住宅を新築するのであれば、申請すればほぼフリーパスで開発できていた時代が2010年頃まであったのです。

人口が増えるのであれば、その分自治体は活気づき、税収も上がるのでメリットしかありません。

今世紀に入っても人口がガンガン増えていた東京近郊のベッドタウンでは、駅周りの便利な土地では飽き足らず、本来は開発を抑制しなければいけない市街化調整区域にも住宅が建って人口が増加するのを是としていました。

しかし、2010年代に入って少子高齢化に伴う空き家の増加で、将来はコンパクトシティ化に向かうのが確実な情勢の中、こうした地域への建築許可はパッタリと降りなくなりました。

いずれにしても、人口減少でコンパクトシティ化は避けられません。地方などですと、現在は市街化区域の地域でさえ、将来は見捨てられる地域に指定される可能性があります。

ましてや現在すでに市街化調整区域である地域など話になりません。

この開発許可もある種の既得権になり、将来再建築をしたいと思った際に、再び建築の許可が降りる可能性は通常よりは高いでしょう。

ただ、今開発許可をもらって建っていても、将来確実に再び建築できるかどうかの保証はありません。

できたとしても、同一規模・同一目的の建物であることは絶対として、建築主自らが居住することを目的とする場合に限ることが多いのです。

つまり、貸家として物件を所有していて、老朽化したから新築に建て替えたいと思っても、貸家としては開発許可が降りない可能性があるのです。

再び開発許可が降りるかどうかは、その地域の建築審査会の判断次第で、決まった基準があるわけではありませんので実にあいまいです。

既存宅地

既存宅地という概念があり、市街化調整区域に関する都市計画決定(線引き)される以前から建物が建っていた土地になります。

法改正で線引が行われる前から建物があった土地は、既得権として再建築できるという制度になります。

これはある意味当然で、昔から家を建てて住んでいるのに、ある日突然に法律で線引することになったからもう建てられないよ、なんて言われたら資産を国に破壊されたも同然ですからね。

ただ、こちらも色々と書類を用意して手続きがあるので、最初から建てられる地域のようにすんなりとは行きません。

まとめ

以上、市街化区域と市街化調整区域の線引きと、それ以外の地域の非線引き区域について解説してきました。

まとめると、開発が盛んに行われる地域では、開発を行える市街化区域と、開発を抑制する市街化調整区域に線引を行うということです。

市街化調整区域では建築ができないことがほとんどですので、このエリアに物件を購入する際は注意が必要です。

今は問題なく家が建っていても、将来建て替えられない可能性もあります。

また、今ですら不便で人気のないエリアですので、人口が減少する将来は誰も開発したがらない捨てられた地域になる可能性があります。

つまり、マイホームにしろ投資物件にしろ、市街化調整区域の物件の購入はあまりおすすめできないのです。

この2種類の地域に分類すらしてもらえない、誰も開発したがらない田舎の土地は、非線引き区域となります。

このようなエリアは、法律で区切らなくても、そもそも開発したがる人もいないので放置されているのです。

当然ながら、そんな市街化調整区域にすらしてもらえないようなローカルエリアに不動産を買うのは奨励できません。

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