マンションの建て替えは不可能?区分所有は時限爆弾を抱えた壮大なババ抜き

マイホームなら一戸建てか、はたまたマンションか、という話は散々してきましたが、それぞれメリット・デメリットがあり、もう個々の好みに任せるしかありません。

しかし、投資用の収益物件については、私は明らかにマンションの区分所有はおすすめしていません。それよりも一戸建て、1棟アパート、1棟マンションです。

マンションにはマンションの良いところがあり、住む分には確かに快適な面も多いのです。だからこそ自分で住むマンションについては、大きなデメリットを飲んでも選ぶ価値はあると考えます。

しかし、投資用物件は自分が住むわけではなく、他人を住まわせるために買う物件ですので、それを所有することのメリット・デメリットをしっかりと厳しく見極めなくてはいけません。

その結果、区分所有マンションへの投資はありえないという結論が出たのですから、やはりマンションの区分所有は大きなデメリットがあるということなのです。

本日は、マンションの区分所有が抱える大きなデメリットである、いや場合によっては時限爆弾ですらありえる、大規模修繕や建て替え問題について考えていきたいと思います。

マンションの寿命は100年?終の棲家になるのか

マンションは多くの場合鉄筋コンクリート造(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)で非常に頑丈です。おまけに杭を支持層まで打ち込んでいるので、地盤がゆるい場所でも傾いたりすることはほぼありませんし、大地震の液状化にも強いのです。

したがって、特別な構造でなくても寿命は80年とも100年とも言われています。シャブコンなどではなく正しく打たれたコンクリートは、建築から50年後に一番硬くなるとも言われていて、寿命は意外と長いのです。

ただ、日本は地震も多く湿気が多い過酷な環境ですので、実際は50年60年で建て替えられるマンションも多いのは事実ではあります。

定期的に大規模修繕を行い、クラックを埋めるなどしていないと、水分が中の鉄筋を酸化させて強度を一気に落とします。正しく管理組合が機能していることが最低条件なのです。

修繕が正しく行われていないマンションは、あっという間に傷んで駄目になってしまいます。

とはいえ、通常は30代くらいで購入するマイホームですので、新築で購入すれば自分の家としては十分に終の棲家にはなりえます。100歳近くまで生きても大丈夫でしょう。

しかし、不動産は親から子へ、子から孫へと受け継がれていくという資産的な側面もありますので、なかなか難しいところです。

一戸建てでしたら土地が確保できているので比較的安価に建て替えが出来ますが、区分所有マンションとなると建て替えは極めて難しいため、子や孫の終の棲家にするのは困難かもしれません。

建て替えは出来るのか?今まで建て替えられた事例は200例余り

残念ながらせいぜい60年70年で建て替えが妥当という状態になってしまう日本のマンションですが、いざそうなった時に立て替えができるのかという問題もあります。

結論から言うと極めて困難というのが現実です。実は日本全国で今まで建て替えられたマンションはわずか二百数十例しかないのです。

今まで作られたマンションが100万棟単位である中でですよ。やばくないですか!ほぼ建て替えられた事例がないのです。

まあこれは、日本では本格的に鉄筋コンクリート造の高層住宅が供給され始めたのが戦後になってからで、まだ建て替え時期に達していない建物ばかりだということも大きいのは確かです。

ただ、実際に建て替えを考えているケースでも、まともにまとまることは極めて稀なようで、非常に苦戦しているのが現状だそうです。

それもそのはずで、建て替えには当然ながら莫大な費用がかかります。もちろんお金が天から降ってくるはずもなく、その莫大な費用は所有者各戸が所有面積に応じて按分負担するのです。

これが高いのです。最低でも新築購入時の半額以上は覚悟しないといけません。新築で買った値段には5割から3割位のディベロッパーの販管費や利益が乗っているので、原価は半分以下でしょうけど、建て替えにも同じくらいコストがかかるのです。

もちろん土地の代金はかかりませんが、そもそも論として高層のマンションにおいて各戸の土地持ち分なんて微々たるものです。土地代よりも上モノの建築費が原価の多くを占めるのです。

しかも、建て替えには解体費がかかるので、高層で土地持ち分が少ないと解体費で土地分が相殺されてしまう可能性があります。簡単に言うと新築時と同じくらいのコストが掛かってしまうのです。

ディベロッパーの販管費と利益が取られないだけで、新築を取得するくらいのお金がかかるわけです。当然、数千万円です。ワンルームでも1000万を下回ることはあまりないでしょう。

これを皆がみんな出せますかという話です。みんな35年ローンを組んで新築を買ったんですよ。そんな莫大なお金の半額をもう一度出せますかという話です。しかも老後に・・・

出せる訳ありませんよね。だから新築時から所有しているリタイヤした老人たちは皆反対します。嫌だとかなんだとかではなく、現実問題お金が出せないんですよ。

中古で途中から買った若い世代や、投資用に買った投資家が建て替えを望んでも、多くの新築時から持っている老人が反対するので建て替えが進まないのです。

そもそもあと何年寿命があるか分からない状態で、マンションを新築にするために千万の負担をしたい訳がありませんよね。汚いけど住めないことはないから、住めるまで住み潰したいと考えるのが普通です。

管理組合の建て替え決議で同意を取るのは困難

そもそも建て替えのハードルが高いのは、区分所有法では所有者と決議権の4/5以上の合意で建て替えられると規定されているからです。

元々はもっと複雑でハードルが高かったものが、平成14年の区分所有法の改正でようやく4/5の同意でサクッと建て替えられるようになったのです。

しかし4/5というのはかなりハードルが高いのも事実です。全100戸の大型のマンションであれば、全戸同じ決議権を持っていると仮定しても、80戸以上の同意を取り付けないといけません。

これはハードルが高いですよ。前述の通り、集合住宅というのは実に様々な属性の人々が一緒に暮らしているのです。老若男女がバラバラなのはもちろん、経済状況も随分と違っているものです。

大まかには大体同じようなレベルの人間が、同じようなグレードや地域の物件を購入するものですが、中には本来もっと下のレベルが相応しい経済状況の人が無理をしてハイグレードの物件を買うこともあります。

また、買った時は高所得だったものの、途中で体を壊したりリストラに遭うケースだって特別なことではありません。なんとかローンは完済したものの、老後になって貯金すっからかんということだって十分にありえるのです。

老後に何千万円という建て替え費用を一括で支払えと言われて、さらっと出せる世帯はそう多くはありません。ローンだって組みにくいのです。果たして4/5以上の世帯が、建て替え費用の各戸数千万円を出すよと気軽に同意するでしょうか?

ちなみに、積み立てた修繕積立金を、再建築費用に当てればいいじゃないかと考える方もいるかも知れませんが、到底足りませんよ。

あれは新築時に建てたマンションのライフサイクル内の維持管理費用を見込んだもので、ライフサイクル終了した建物を建て替える費用なんて全く計算に入っていません。

そもそも、大規模修繕の費用すら足りなくなり、築年数が上がるほどに値上げせざるを得ない仕組みになっているのですから。

マンションに住むということは色々とお金がかかるのです。建て替えの費用までお金が回るオーナーは多くはありませんので、4/5の同意を取ることは相当な困難を極めます。

それ以上に多人数で一つのことを決めて同意するということが本当に難しいんですよね。何か追加で金を出すことの決議を行う管理組合総会なんて必ず大揉めになること必須です。

私は投資用としてある全6戸のミニマンションの1室を区分所有しているのですが、この6室ですら同意取るのが難しいですからね。そもそもいくら呼んでも総会に来ない人が必ずいる。

また、修繕積立金を滞納している人もいます。こんな人が建て替え費用なんて支払えるわけがないのです。

一等地で容積率が余っていると各戸負担が少なくても済むかも

建て替え費用の負担が少なく建て替えを行えるケースというのが中にはあり、実は建て替えに成功した物件のかなり多くが、こういったお得な物件であったとも言われています。

どういうことなのかというと、思った以上にマンションの敷地の土地の価値が高かったケースです。マンションの敷地の価値は高層であれば、各戸の持ち分なんて微々たるものです。

しかし、実はそのポテンシャルを使い切っていないケースが意外とあるのです。具体的にいうと容積率が余っているケースです。

容積率が余っているということは、建て替える際に今よりも大きな建物を建てることが出来るということです。つまり容積率を使い切って、今よりも大きなマンションを建てて、大きくなった分に新しい部屋割りをして分譲するのです。

そうすると、新たに設けた部屋が新築マンションとして売れるので、結構なお金が入ってきます。この儲けを新築のための建築費用に当てるわけです。こうすることで既存の所有者の金銭的負担を軽減できるのです。

また似たようなやり方として、容積率が余っていなくても、建て替え後の部屋割りにおいて既存の部屋よりも各戸の面積を縮小して、出た余りの面積を新規分譲に回して資金を稼ぐという方法もあります。

自分の持分は小さくなってしまうのですが、支払わなくてはいけない各戸のコストを軽減できるので、経済的に難しい世帯が多いなら有効な手です。

この2つを組み合わせることによって、ほとんど手出し無く建て替えを実現したケースもあるとかないとか聞いたことがあります。

いずれにしろ、この手の手法を使うなら、高立地で土地値が高くマンション価格も高い地域である必要があります。

地方や田舎はもちろんのこと、東京近郊でもよほど駅近など高立地で価値あるマンションでないと余り力になりません。新たに分譲するところが高く売れないと、碌な足しにもなりませんからね。

建て替えられない廃墟のマンションが瀑増する未来

マンションの建て替えは、各戸が千万単位の費用負担をしなければいけないため、経済状況やライフステージが違うオーナー達の4/5の合意を取ることが難しいことはお分かりいただけましたか。

戦後、高度成長期になって大きく普及しだした日本のRC建造物の更新時期が来るのは、まだまだこれからです。今後、更新が必要なマンションが続々増えてきますが、正直今のままの制度では難しいでしょう。

今後問題が大きくなってくれば、法改正などでさらに建て替えやすい制度になることは間違いないとは思いますが、そもそも費用を負担できない世帯が多い中でどうすれば良いのかは極めて難しい問題です。

正直なところ私は、マンションの建て替えは、一等地を除いてほぼ不可能ではないかと考えています。だからこそ、投資用物件として区分所有は2戸しか所有していませんし、できれば近々処分してしまいたいと思っています。

前述の通り、私は自主管理の全6戸のミニマンションの内の1室を区分所有していますが、こんなに小さな物件でも各世帯の経済状況や協力姿勢に違いがありすぎて、集合住宅の区分所有の難しさを感じています。

これがでかいマンモスマンションともなれば、もはやカオスですよ。何もかもがまるで違う何百世帯が協力して、各戸千万単位の費用負担をして、新しく建て替えをするなんて異次元の話です。

個人的にはマンションは懲り懲りですし、これから区分所有物件を買いたいとも思いません。自分が一等地のマンションに住みたいと思っても、絶対に賃貸ですね。購入することはありえません。

東京都心などの一等地を除いて、築50年以上のマンションを1室区分所有しているとすると、今後どんどん売りにくくなると思いますよ。立地が悪く、築60年70年となってくると、タダに近い価格でも買い手がいない可能性があります。

新潟県湯沢町のリゾートマンションの買い手がいなくて、築30年以下なのに1室20万円とかで売りに出ているのは有名な話ですが、もはや買い手がいなくてタダでも手放したい人が多いために相場が崩壊しているんですよね。

田舎は話になりませんが、今後は割と東京に通える範囲の物件でも、駅近などの高立地でないもので築50年を超えるものは、処分に困るようになるかもしれません。

端から築年数が進むと修繕積立金が瀑増するような仕組みになっている上、築年数が進むとそこら中が壊れてきて修繕に費用がかさみます。

こんなに金がかかる上に、進んで住みたくもない築古のボロ物件を、一体誰が欲しがるというのでしょうか。高立地でもない築古の区分所有物件なんて、処分にも困る金食い虫になりかねません。

一度需給が崩れて誰も欲しがらない物件になれば、手放すことも出来ずに毎月管理費と修繕積立金を取られる負動産になりかねません。こうなったら如何に早く人に押し付けられるかのババ抜き勝負になります。

手放し時を見誤ると、とんでもないモンスターを抱えることになるかもしれませんよ。

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