大手不動産会社が両手取りを狙った物件の囲い込み?中古マンション売却時の対策とは

不動産の囲い込みという言葉を聞いたことがありますか?

不動産業界では頻繁に耳にする言葉で、一般にはニュースなどで何年かに一度問題になったりする程度の言葉です。

しかし、不動産の売却などを考えている方には、非常に重要な概念になりますので、必ず知っておく必要があります。

この囲い込みのの被害に会えば、売却の機会を逸することになり、ヘタをすると数百万単位で安く売却する羽目になるかも知れません。

不動産業界の闇である、両手取りを狙った物権の囲い込みの存在を必ず知っておいて、対策を立ててから売却の委託を行うべきです。

三井のリハウスが物件の囲い込みをしていたことが発覚

数年前に、三井のリハウスでおなじみの大手不動産会社である三井不動産リアルティが、物件の囲い込みを行っていたというニュースがありました。

大手不動産仲介各社による宅地建物取引業法違反とみられる行為の数々が記録されたデータが、業界の一部で出回り始めている。
diamond.jp

正確には三井のリハウスだけが囲い込みを行っていたわけではなく、業界の不正リストが出回ったことで、どこの業者も大なり小なり物件の囲い込みを行っていることが発覚したわけです。

その中でもとりわけ囲い込み率が高かったのが三井のリハウスであり、なんと5件に1件の割合で囲い込みを行っていたというではありませんか。

上記記事によれば三井のリハウスの年間取扱件数は4万件を超えるそうですので、その20%ともなれば膨大な数の物件が囲い込みをされていたことになります。

実はこれ驚くべき数値ではなく、不動産業界においてはある意味当たり前というか、日常の風景として見慣れたものなのです。

今回は大手で大規模に行われていることが発覚したため大問題となりましたが、地場の中小の業者でも当然のように行われています。

当たり前のように行われていることだからこそ、売買の仲介を依頼する物件の売り手側は最大限の注意を払う必要があるのです。

まずは、仲介手数料の両手取りと、囲い込みというものについて、しっかりと知っておく必要があります。

売買における仲介手数料の両手取りとは

不動産の囲い込みとはどのようなものか、なぜ起こってしまうのかということを知るには、前提の知識として不動産の売買仲介の仲介手数料について知っておく必要があります。

物件の売り手と買い手を繋ぐ仲介会社には、売り手と買い手それぞれから仲介手数料が支払われます。

その仲介手数料の額ですが、法律で上限が定められています。

取引額200万円までの部分は5%、400万円までの部分は4%、それ以上の部分については3%の仲介手数料を取っても良いことになっています。

すなわち、分かりやすくまとめると、このようになります。

・売買額200万円までの物件の仲介の場合は売買額の5%
・売買額400万円までの物件の仲介の場合は売買額の4%+2万円
・売買額400万円超の物件の仲介の場合は売買額の3%+6万円

後ろに+2万円や+6万円と付くのは、その売買額のうち~200万円と200万円~400万円までの部分は、より高い割合の手数料が取れるので、その差額になります。

さて、この仲介手数料ですが、売り手と買い手の両サイドからこの3%+6万円を取ることができるのですが、売り手と買い手の両サイドのエージェントになれるとは限らないのです。

すなわち、売り手側のエージェントは不動産会社A社、買い手側のエージェントは不動産会社B社ということが起こり得るのです。

売り手側のエージェントとなる不動産会社を元付け、買い手側のエージェントになる不動産会社を客付けといいます。

元付けは、物件を預かり、物件についての調査を行い、募集資料を作って、レインズやネットの不動産情報サイトに物件を掲載して売り出します。

客付けは、物件を買いたいと来店した客に、自社の持ち物件や、レインズ掲載された物件などを案内して、物件を買ってもらう営業活動をします。

それぞれ苦労があるわけですが、もらえる仲介手数料は3%+6万円ということで、もの凄く美味しい商売でもなかなかないのです。

何しろ1000万円の中古マンションの売買仲介をしたとして、元付け・客付けそれぞれ36万円(税別)の仲介手数料しか受け取れないんですよ。

そこで両手取りという概念が出てくるわけです。つまりは自社で元付け客付け両方やってしまおうということです。

それなら、仲介手数料は6%+12万円を受け取ることができます。1000万円の小ぶりな物件を仲介したとしても、72万円の手数料ですので悪くありません。

そこで不動産会社は皆、両手取りを狙うのです。両手取りを狙うために、囲い込みというものが出てくるわけですね。

不動産の囲い込みとは

すでに解説した仲介手数料の両手取りを狙うためには、まず自社が元付けにならなくてはいけません。

物件を売りたいというお客さんを見つけて、売買の媒介契約を結び物件を預かります。

通常の流れですと、その物件の情報を広く多くの不動産業者が見られるように、レインズという宅建業者のみがアクセスできる不動産情報のポータルサイトにアップします。

売り手のお客さんとの媒介契約によって異なりますが、専任媒介を結んだ場合は、このレインズへの掲載は法的な義務となります。掲載しないことは違法行為です。

レインズに掲載すると、全国の不動産業者が物件情報にアクセスできますので、全国の不動産会社がお客さんを連れてきてくれる可能性が高まります。

すなわち売り手にとっては早く物件が売れる可能性が高まりメリットしか無いのです。

物件を預かっている元付け会社にとっても、早く売れれば回転が高まって商売上有利に感じますが、それだと客付け会社は他社になり両手取りになりませんよね。

自社で物件を買い取って転売するなら在庫を抱えることになりますが、あくまでも仲介の媒介契約であれば自社でリスクを抱えること無く、売れたら手数料を得るビジネスですので、売れるまで時間がかかってもデメリットはありません。

それなら、ササッと他社が客を連れてくるのではなく、時間を欠けても自社でお客さんを探してきたほうが、両手取りが出来るので手数料ビジネスとしては美味しいのです。

しかし、レインズに掲載するということは、どの業者も情報にアクセス出来るということですので、嫌と言っても他社がお客さんを連れてきてしまいます。

これを防ぐためのテクニックが物件の囲い込みなのです。自社だけで囲い込んでしまって、他社が入る余地を与えないようにします。

せっかく他社がお客さんを連れてきてくれる機会を意図的に破壊しているわけですから、売り手側からしたらたまったものではありません。

結果的に売却の機会の損失になり、ズルズルと長い期間売れずに、最終的に値引き販売を余儀なくされる可能性があります。

レインズに掲載しない

囲い込みを行うのに一番有効なのはレインズに掲載をしないことです。物件を他社の目に触れさせないことが一番有効です。

ただし、前述の通り、専任媒介契約を結んでいる場合は、レインズへの掲載が法的な義務となっています。

一般媒介契約であれば掲載は義務ではありませんが、一般媒介ですと売り手は1社ではなく複数社と一般媒介契約を結ぶことが考えられます。

こうなってしまうと、両手取りどころか片手取りすら出来ずに、物件調査など苦労をして、お金を出して不動産ポータルサイトなどに物件を掲載したのに、一円の仲介手数料も受け取れないという恐れがあります。

賃貸の仲介ならともかくとして、売買の仲介においては、一般媒介契約を結びたがる不動産会社は、むしろ少数派と言えるでしょう。

とおかく、RAINS掲載は多くのケースでは義務なのですが、中にはこれを行わない悪質な業者もいるそうです。ただし、掲載まで一切しないというのは稀です。

流石にこれは大手では無いと思います。明らかな法令違反ですからね。

レインズと一般ポータルとの時差作戦

専任媒介および専属専任媒介契約の場合は、レインズへの掲載が義務ですが、媒介契約締結後そく掲載を行わないといけない訳ではありません。

宅建業法により、専任媒介契約の場合は契約締結の翌日から7日以内、専属専任媒介の場合は契約締結の翌日から5日以内に、レインズへの掲載を行うように定めています。

すなわち専任媒介であれば、契約から1週間の猶予があるわけです。この猶予を利用して物件を囲い込むという手法があります。

レインズへの掲載をギリギリまで渋って、その間に自社で抱えている家を探しているお客さんに素早く案内したり、不動産投資家のお得意さんに電話攻勢をしたり、一般の不動産ポータルサイトに掲載したりと、1週間で売ってしまうことを目指します。

よほどの人気エリアでもない限り、実需すなわち自分で住むための家を探している人が1週間で購入を決めるのは珍しいですが、投資目的であればその限りではありません。

もし投資用に回せそうな物件であった場合、魅力ある値付けであれば、掲載即日売れるということは珍しいことではありません。

私もネットで見つけて買った物件は、掲載日に買付を入れたものばかりです。逆に翌日まで残っているような物件では、不動産投資家として目の付け所が甘いということです。

したがって、投資用になりそうな物件で、なおかつ相場よりもやや安めでの売却に売り手が納得した場合は、この手法で両手取りを狙うことは現実的です。

特に単価の低い物件でこの手法が取られることが多くなっています。単価が低いと利回りが出やすいですし、仲介会社としても手数料が低いので何としても両手取りをしたいのです。

客付け会社からの問い合わせをああ言えばこう言って受け流す

レインズに掲載してしまうと、やはりお客さんを抱えた客付け会社から問い合わせが入ってしまいます。

自社でたくさん預かった物件を抱えている大手不動産会社が、他社の預かっている物件にお客さんをわざわざ案内することは稀です。

しかs,自社で十分な数を預かれていない中小業者ですと、お客さんのニーズを満たすために他社の物件に案内したりします。

しかし、自社で預かった物件に他社から問い合わせがあっても、それを何とかして受け流す事を考える悪質な囲い込み業者があとを絶ちません。

電話で問い合わせがあっても、もう既に案内してほぼ決めているお客さんがいる、担当者が出社していないので後日連絡させていただきますなどと嘯き、他社に客付けをさせません。

こういったことは結構あるそうで、私が物件問い合わせで実需客が到底知り得ないような突っ込んだ話をすると、業者さん?と警戒した様子で聞いてくる業者は結構います。

他の業者が問い合わせをしてくるのを警戒している業者が結構いるということは、これすなわち囲い込みをしたいわけなんですね。

中古マンションなどを売却する時に損をしないための注意点

物件の売り手側にとっては百害あって一利なしの物件の囲い込みですが、これを防いで健全な価格で素早く物件売却するにはどうすればよいのでしょうか。

残念ながらこれを完全に防ぐのは難しいのです。上記の記事でも紹介されていますが、前述の三井のリハウスにおいては何と平均手数料率が5%を超えるそうです。

これがどいういうことか分かりますか?

片手取りであれば普通は3%強なんですよ。両手取りで6%強です。

つまりは、平均で5%超えということは、大半の取引で両手取りを実現しているということになります。

別に両手取りであれば、すべてが囲い込みであるということではありません。

大手不動産会社であれば、売り手買い手共に沢山の顧客を抱えているわけですし、自社内でマッチングすることは珍しいことではありません。

ただ、媒介契約を結んで物件を預けた不動産会社が、どのように買い手を見つけてくるのかはブラックボックスですので、囲い込みを行っているかどうか調べるのは容易ではありません。

一般の不動産ポータルサイトである不動産ジャパンは、レインズと連動していると言われていますので、こちらに自分の物件が載っているか確かめてみるのもいいでしょう。完全に連動しているかまでは分かりませんが。

とにかく、囲い込みがされているのかされていないのか外部からは分からない以上、物件に問い合わせが来ているのかどうかということを定期的に確認して、担当にプレッシャーを掛けなくてはいけません。

何ヶ月経っても全然問い合わせが入っていないという場合は、怪しいです。そもそも値付けが間違っている可能性もありますが。

また、妙に安値で買付が入ってどうでしょうかと言われた場合は、囲い込み客に安値で売られないように相場を見極めて回答しましょう。

素人が取引相場を知ることは難しいですが、不動産ポータルサイトで同じような立地やスペックス物件の売り出し価格を見て、それよりもやや安いくらいが相場のことが多いので、買付価格がかけ離れていないか確認しましょう。

不動産は一点物ですので、1,2割の価格の差はありえますが、同じような物件なのに3割も4割も値段が安く買付が入っているのでしたら怪しいと言えるでしょう。

そもそも、安値の買付が入ったり、売れないので売り出し価格を下げましょうなどという話が来るのは、長く売れない時です。

本当に売り出し価格が高いからちっとも売れないのか、あるいは業者が囲い込んで露出が少ないから反響がないのかを、見極める必要があります。

怪しい場合は、媒介契約を見直すなどのプレッシャーも必要でしょう。

とにかく、自分の物件がいくら位で売れるポテンシャルがあるのか、相場を把握していくことが非常に重要です。

業者は無知につけ込んできますので、囲い込みや両手取りのことも、物件の正しい相場も把握しているぞという姿勢を見せることが大切です。

まあ、過度に高圧的にプレッシャーをかけると、じゃあおたくのマンションなんて扱わないよと言われるのが落ちですから、あくまでさり気なくね!

ちなみに、物件の相場を確認するという意味では、一括査定サービスで査定をしてみることも有効です。
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