築古ボロ戸建てを再生して賃貸する不動産投資はリスク大!リフォームは大変で失敗、融資が厳しく、耐震性も劣る
不動産投資には様々な投資戦略があり、投資家の属性や性格などによって合う合わないは確実にあります。
代表的な投資スキームとして、築古ボロ戸建てを鬼のような指値で激安購入し、リフォームというかよりフルリノベーションのレベルで劇的にキレイにして、賃貸付けを行うという手法があります。
購入時の表面利回りで30%近くいってしまうケースも珍しくなく、リフォーム費用を加えても実質利回りで20%超えも十分に達成できるスキームです。
人によってはDIYでセルフリフォームして、リノベ費用を限界まで抑えて、驚きの実質利回りを叩き出している人もいます。手元資金がない投資家が超超高利回りを叩き出し、一気に莫大なキャッシュフローを生み出すには非常に効率の良い手法です。
その一方、他の不動産投資スキームと比べて、考えられないほどの手間とストレスが掛かることもまた事実で、もはや不労所得とはとても呼べないようなほど、自分の労働力投入が必要になります。
そのため、非常に人を選ぶ投資スキームであると言えます。本当にメリット・デメリットがハッキリしているので、今日ここで築古ボロ戸建て投資についてしっかり勉強して、自分が手を出してよいのかどうか考える必要があります。
ボロ戸建てのカリスマ大家の本を読んで憧れて、向いていない人が手を出すと地獄を見ますよ。不動産投資自体が嫌になって、二度と考えられないくらいのトラウマを植え付けられる可能性すらあるのです。
最大のメリットは表面利回りの高さ
人が築古のボロ戸建てに惹かれる理由は、単価が安いことによる参入のハードルの低さなど色々ありますが、なんといってもその利回りの高さが最大の魅力でしょう。
アベノミクス以降の好景気と、金融緩和による融資拡大、情報拡散によるサラリーマン大家さんの増加などで、ここ数年の不動産価格は高騰の一途を辿っています。
リーマンショック直後は利回り15%の物件はそこそこ見かけました。都心の物件でさえ利回り10%超えは全然ありましたからね。それが今や東京郊外で10%、都心で5,6%の時代ですよ。
おそらく2016年終わりから2017年前半が価格的にはピークで、2017年春以降の融資引き締めに始まり、2017年末のスルガ銀行・カボチャの馬車の問題、2018年に入ってからの各不正融資問題などに伴う融資引き締めで、これからはどんどん物件価格が下がることは確実です。
とはいえ2018年末の今、利回りはまだまだ低いのが現実です。そこで人々の目を引いてやまないのが築古のボロ戸建てというわけです。
東京都心のターミナル駅まで電車で30分で出られる駅から徒歩圏でも、500万円以下の値段でボロ家がゴロゴロ余っているのです。50平米以下の狭小ボロ戸建てなら300万円くらいの物件も時々見かけます。
私も今年競売で約300万円で65平米の旧耐震物件を入手しました。駅から約20分と少々駅から遠いのがネックですが、十二分に東京まで通勤圏の駅で、駅自体が地域の中核駅ですので需要は十分です。
利回りは表面で25%位です。リフォーム費用を入れると10%台後半で20%はやや切ってしまうかなという感じですが、同じような地域で新し目の物件であれば利回り10%少々であることを考えれば、2倍近い利回りで回ります。
この利回りの高さこそ、築古ボロ戸建ての最大の魅力なんです。利回り20%って夢の数値じゃないですか!本を出しているようなカリスマ大家は利回り30%だ40%だと嘯きますが、ああいうのは地方の陸の孤島の物件だったり、はなから高めの家賃設定で空室だらけで満室になった時を想定して利回りをひけらかしていますからね。
首都圏のまともな立地まともな物件で利回りを考えると、20%位が上限です。そもそも論として、税金を考えなければ20%でも5年で回収できるのに、なぜ売る必要があるんですか?相続で入手して自分で回せるノウハウがないにしても、もっと高い値段でも十分に売れるのです。
不動産投資でまともな立地で実質20%前後も回れば、ハッキリ言って神です。それ以上の利回りは必要ありません。将来性皆無のゴミ立地で利回り40%なんて言っても意味がありません。
東京まで30分以内で出られる将来性のある立地で、利回り20%を叩き出せる可能性があるのが、築古のボロ戸建てなのです。1棟マンションや1棟アパートはもちろん、新し目の戸建てでも、同等の立地だと10%強がいいところですので、ボロ戸建ての利回りは群を抜いています。
リフォーム費用かけ過ぎで実質利回りが激低になるデメリットも
表面利回りでいえば25%や30%にも達することもあるボロ戸建てですが、肝心なのが実質利回りであることは言うまでもありません。
実質利回りというのをどこに置くのかは人によって定義が異なり難しいのですが、購入金額に購入に伴いかかる費用とリフォーム代を加えたものを分母に、年間家賃から固都税や修繕費や管理手数料を引いたものを分子に、割り算をした値というのが一般的でしょうか。
入手費用が安く、入ってくる家賃が高いほど、利回りが上がるわけですが、この入手費用には物件価格やその取得費用だけでなくリフォームしてキレイにする費用が入っていることを忘れてはいけません。
いくら物件自体を激安で入手したとしても、あまりにズタボロでリフォーム費用が嵩んでしまっては、元も子もありません。極端に汚い傷んでいる物件を買ってしまうと、物件自体の価格よりもリノベーションのコストのほうが高くなってしまうこともあります。
たとえばこの前、私の物件と同じような立地でなんと200万円の狭小戸建てが出ていましたが、恐ろしくボロボロで私は見送りました。当然土地値以下ですので即売れていましたが、リフォームには相当なコストがかかることが予想されます。
内外装全交換レベルのリフォームが必要ですので、総合リフォーム会社に依頼すれば良心的でも300万円、下手をすれば500万円くらい請求されてもおかしくありません。
築古のボロ戸建て投資をする人はリフォーム技術に長けている人が多く、DIYで自分でセルフリフォームをしたり、職人に直接分離発注したりするので、大幅に安くおそらく100万円台で直せます。
しかし素人が手を出して総合リフォーム会社任せでは、購入金額以上のリノベコストがかかり、思ったよりも仕上がり価格が上がってしまいます。200万円で入手したつもりがリノベで300万掛かって、トータルで仕上がり500万円になってしまったらボロを買った意味がありません。
500万円強出せるのであれば、滅多に出ませんが、ヘタすれば新耐震物件が購入できることもあります。これでは苦労してボロに投資する意味はありませんし、利回りも15%を切ってしまうでしょう。
10%台後半から20%超の超高利回りを目指せるからでこそのボロ戸建て投資ですので、リノベにお金をかけてショボい利回りになってしまっては本末転倒です。
ボロに手を出す場合は、必ずリノベ費用も計算して、利回りを導き出して投資判断を行わなくてはいけません。物件自体が安いからと、仕上がり価格を計算しないで買ってしまうと、思わぬリノベコストが掛かり絶望することになります。
DIYのセルフリフォームは精神的・肉体的に負担が重い修羅の道
既に述べたように、ボロ戸建て投資においてはリフォーム費用をいかに安く済ませるかがキモです。時には物件自体の金額よりもリノベ費用のほうが高いくらいですので、リフォーム費用をいかに安く済ませるかがこの投資スキームの鍵なのです。
何から何までおまかせの総合リフォーム会社に依頼していては、おそらく金額が合わないと思います。継続的に案件を投げられるようなメガ大家であれば、かなり安く依頼できるかもしれませんが、一見さんの初心者大家ではボッタクられるのがオチです。
それでは分離発注してコストを押さえればいいではないかと言うかもしれませんが、分離発注するということは自分が棟梁になって工程管理や指示をこなさなければいけないということです。
そのためには、物件をリフォームする際には、どんな職人にどんな工事をどんな順序で依頼すればよいのかを、総合的に分かっている必要があります。
細かい技術まで知る必要はありませんが、各職人がどんな工程をこなせるのか、どのくらいの時間が掛かってどのくらいのコストがかかるのか、資材・部材の入手コストはどのくらいかなど、大まかな内容はすべて把握していないとできません。
自分が職人でもない限り、なかなかこういった情報というのは勉強するのが大変なのが現実です。一度自分ですべての工程をこなしてみると理解が早いかもしれません。
幸い今時は、リフォームの工程ややり方などに関する動画がYoutubeなどにゴロゴロ転がっています。これらを見て勉強すれば、やっている内に結構分かるようになってきます。
しかし、それでも自分でセルフリノベを行うというのは非常に精神的肉体的に負担が大きいのが事実です。サラリーマン大家など本業がある人は挫折するのがオチです。
セルフリノベに手を出していいのは、時間に余裕がある専業大家または自営業で、コツコツつまらない作業をこなせる性格で、3K職場が気にならず、心の余裕がある器のでかい人です。本当に嫌になるほど大変なのです。
また、分離発注して職人使おうと思っているのでしたら、社会人として最低限度のコミュニケーション能力と、平均的ホワイトカラーのサラリーマンよりはやや荒っぽい傾向にある職人を統率していけるだけの器のある人が向いています。大人しくて常に人についていくタイプの人にはあまり向いていないと言えます。
言葉でDIYやセルフリノベなどというのは簡単ですが、実際にやるのは大違いで大変な困難を伴います。DIYや分離発注でコストを抑えるか、総合リフォーム会社にお任せで利回りが低くなってしまうかしか選択肢はありませんので、結局自分主体でリフォームが出来る人でないとボロ戸建ては向きません。
このあたりが初心者には築古のボロはおすすめしない理由なのです。最初の1軒目で激ボロを掴んでしまうと、途方に暮れ物件を放置してしまい、不動産投資自体を諦めてしまうことにもなりかねません。
融資が引きにくいので現金購入が基本
さて、築古の戸建てですとそもそもの値段が安いため、現金で一括購入するパターンが多いのですが、その300万円すら支払う余裕が無い方も多いのが現実です。ある程度の手元資金と年収があれば、そもそもボロ戸建てなんてやらずに、キレイな1棟物に行きがちですからね。
そうなると融資を使って物件を買いたいところですが、ボロ戸建ては融資が引きにくいのが現実です。そもそも築古物件には担保価値がないのです。
木造住宅の法定耐用年数は22年になりますので、築22年でもう会計上の建物の価値はゼロになってしまいます。残るのは土地の価値だけです。
したがって積算価値が出にくいのが現実です。不動産の担保価値は主に積算価格を使って導き出されるケースが多いため、木造の築古ですと担保価値が大きく下がってしまいます。ローンで購入希望なら大幅な土地値以下で買う必要があります。
法定耐用年数をオーバーして融資してくれる金融機関もありますが、ただでさえ融資が厳しくなってしまった今、超築古の物件しかも少額で融資をしてもらうのはなかなか厳しいのが現実です。
既に豊富な取引の実績があればまだ可能性もありますが、全くの新規でボロ物件買うからわずか300万を融資してくれでは、なかなか厳しいのではないでしょうか。
私が直近で法定耐用年数を2倍以上超えた超築古戸建てに融資を引いた際は、日本政策金融公庫で融資してもらい購入しました。公庫は耐用年数超えに比較的甘く、初心者も借りやすい金融機関として知られています。取引先の金融機関がなければ、まずドアを叩くのにおすすめです。それでも支店によりマチマチですけどね。
残存耐用年数が少ないので出口が取りにくいのがリスク
非常に労力を要して楽ではない代わりに非常に高利回りが期待できるのが築古のボロ戸建て投資の特徴で、自分の労力を惜しまないなら非常においしい投資であることは間違いありません。
ただ、その分リスクは大きなものになります。単純に物件自体が古いため残存耐用年数が短いのは大きな問題です。
木造住宅の法廷耐用年数は22年ですが、実際の築22年の家なんてピカピカでまだまだ使えます。木造住宅でも築50年位は部分部分直していけば余裕で使えます。1960年代築の木造住宅が現役なことを考えれば、築60年や場合によっては築70年でも使えないことはないでしょう。
現実的には築50年位がまともな値段で貸せる上限だと思いますが、例えば築30年位のそこそこの中古住宅であればまだ20年は安泰ということになります。しかしいわゆる築古ボロ物件に分類される築45年などであれば、あと数年しかまともに貸すことが出来ません。
こうなると数年貸して出口を取るか、解体するまで騙し騙し使うかしかありませんが、正直あなたが最後にババを掴んだ、出口にされた人になることが濃厚です。
不動産投資で一番美味しいのは、十分に新築プレミアムが落ちた頃合いで中古で物件を入手して、何とか売れるギリギリで超築古を出口戦略で売り切った人です。
新築プレミアムを支払って新築を建てたり、最後ババを掴まされた人は美味しくありません。最後に超築古を掴んで朽ちるまで使う人は、最後に解体して更地で売るので問題ないように感じるかもしれませんが、解体費が掛かったり、そもそも立地が良くないと安値でも売れないためリスクです。
また解体して新築を建てるという方法もありますが、前述の通り新築には自社企画でもそれなりのプレミアムが乗りますのでおいしい投資ではありません。中古物件を買う投資のほうが利回りが高いのが現実です。したがって、まだ売れる内に出口戦略を取って売り払ってしまうほうが楽でおいしいのです。
しかし、超築古のボロを買うということは自分がババ掴みの出口さんになったとうことです。このあたりは見えにくいですが地味に大きなリスクであると言えます。
超築古ボロ戸建てを激安で入手して、激安リフォームをして客付けを行った後、すぐに投資家にオーナーチェンジ物件として売ってしまう人が多いのも納得です。
ババは早いところ手放して、キャピタルゲインを今この瞬間得るほうが賢いのです。
旧耐震基準なので大地震時の耐震性が最大のリスク
意外と気にしない人が多いリスクとして、築古物件は旧耐震基準で建てられているということがあります。旧耐震基準、新耐震基準という言葉を聞いたことがありますか?
詳しくは以下の記事を見ていただきたいのですが、建物は建てられた時代によって異なる強度で建てられているのです。大きな改正があった1981年6月以前が旧耐震基準、以降が新耐震基準と呼ばれ、耐震性に大きな差があります。
この違いが明確になったのが阪神大震災で、旧耐震建物の多くが倒壊した一方、新耐震の倒壊はかなり抑えられたとされます。新耐震でも倒壊した建物は数多くありますが、統計を取ると旧耐震とは雲泥の差だったそうです。
1981年5月または6月の時点で建築審査を通すかどうかで変わりますので、建築の期間を考えて1982年以降の竣工であれば新耐震基準と考えられています。1982年築であれば新耐震と考えて問題ないでしょう。1982年前半ですとダラダラ建築していて旧耐震という恐れもありますが。
1982年に建てられたとすると、今年2018年の時点で築36年です。築36年は十分築古ですが、まだ超築古のボロ戸建てとは言えません。値段はいい感じに落ちてきていますが、まだ首都圏で300万円400万円で買えるレベルまでは落ちてきていません。
500万円,600万円以下に落ちてくるのはやはり築40年を超えてからというのが現実です。今ボロ戸建てと呼ばれているのは築40年台の1970年代に建てられた木造物件です。1960年代の築50年超えもありますが、流石にずいぶん減ってきました。
旧耐震でも普通に住む場合は何の問題もありませんが、大地震が来れば倒壊の恐れが濃厚です。自分が住むのではないのだから問題ないと考えますか?
確かに物件が倒壊して圧死するのは店子であり大家ではありません。しかし、場合によっては損害賠償を求められる可能性もあることを知っていますか?
詳しくは上で掲載した耐震基準の記事を読んで欲しいのですが、場合によっては損害賠償を求められるケースも有るのです、実際に阪神大震災の時に判例があります。
旧耐震でも問題はないのですが、できれば倒壊しにくい頑丈な建物を貸すほうが気持ちがいいですよね。安さや高利回りと引き換えに、それなりのリスクも背負うのがボロ戸建て投資なんだということを肝に銘じておきましょう。初心者にはおすすめできない!
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