DIY大家のセルフリフォームに必要な資格!第二種電気工事士が現実的

あまり自己資金のない新米大家さんや、本業の会社員としての属性があまり良くはないサラリーマン大家さんの中には、ボロ戸建てでも買って自分でDIYで直して高利回りを目論んでいる方も多いのではないでしょうか。

DIYは非常に手間がかかり、もはや不労所得とは言えない完全な労働にはなりますが、確かにリフォーム代を大きく節約することが出来ます。

ただ、その修繕の分野は非常に広範囲に及びますので、各分野ごとの知識や技術が必要になります。これを習得するだけでも結構な手間なんですよね。

ところで、建築物は建築士が設計して、木造3階建て以上やS造やRCなどは構造計算した上で、建築確認の確認申請をして許可を得ないと建設できません。
電気工事も電気工事士の資格が無いと勝手に触ることは許されません。

このように住宅の建築や増改築には資格が必要になる分野が多岐に渡るのです。

それでは比較的小規模なリフォームの場合はどうなるのかというと、やはりいくつもの分野において資格が必要になります。

ただ、クロスの張り替えや木工事など、大部分のDIY大家がセルフリフォームする場所は資格が必要のないものも多いのです。

また、水道やガスなど資格の必要な分野においても、実務経験がないと取得できない資格が多く、素人のDIY大家が資格をとって自分で作業を行うのは結構困難です。

そこで本日は、素人のDIY大家さんが、自分の賃貸物件のセルフリフォームを行う際に必要になる資格と、その取得方法や難易度について、全体像を簡単に解説していきたいと思います。

表層リフォームに資格は必要ない

まずDIY大家さんが一番多くリフォームをする箇所と言えば表層リフォームでしょう。壁・天井のクロス張替えや、床のクッションフロアやフロアタイル張りです。

天井・壁・床はインテリアの中で最も多くの面積を占めますので、ここを張り替えると家の内部の印象が一変します。

技術的にも比較的簡単で、予算も安く印象を激的に改善できるため、第一に取り組むべきリフォーム箇所なのです。

この表層の張替えに関しましては、特に資格は必要ありませんので、技術さえ身につければ誰でも施工できます。

技術的なものに関しては、DVDや動画教材が昔から売られていますし、今では無料のYoutubeの動画でも十分に学ぶことが出来ます。

木工事は構造体に触らなければ素人でもOK

いわゆる大工工事が木部の修繕になります。リフォームにおいては、湿気などで傷んだ床板を交換したり、天井を張り替えたり、壁をブチ抜いて間取りを変更したり、新たに壁を作ったりですね。

これも特に公的な資格が必要なわけではありませんが、やや注意が必要です。構造体に手を付けてはいけません。

在来工法の木造住宅は、柱や梁を組み合わせることで箱型の構造体を構成しています。ここに壁に当たるボードを貼っていく訳ですが、建物を支える柱や梁に手を加えることはNGです。

仕切りであるボードを取り除いたり交換したりすることは殆どの場合問題がないのですが、建物を支える柱や梁は一切取り除いたりしてはいけません。

一見柱のように見えても、構造には関係ない物もあり、それらは取り除いたりすることが出来ますが、素人に見分けが付くのか微妙なので触らない方が良いでしょう。

あくまでもボードを交換したりする程度に留めておくほうが無難です。大工さんは柱や梁を新しいものに交換することも出来ますが、DIYerは触るのを避けたほうが良いです。

素人は、壁のボードの交換や、床板やフローリングの張替え、砂壁へのベニヤ貼り程度に留めておいたほうが良いですね。

間取りの変更もよほど慣れていないならやらないほうが良いでしょう。賃貸物件のリフォームはどこまでやるかではなく、どれだけやらないで済ますかが重要です。間取り変更などの大規模工事はできることならやらずに済ますのが吉です。

「第二種電気工事士」は唯一誰でも取得できるおすすめ資格

工事系の資格は、実務経験がないと取得できないものが多く、実質的に素人は閉め出されています。工務店などで年単位で下積みをしないと資格が取れません。

そんな中、唯一、完全な素人でも一から独学で取得できるのが、電気工事士です。第一種電気工事士と第二種電気工事士がありますが、一般の住居用建物であれば第二種で十分です。

大規模商業施設や工場などでない限り一種は必要ありません。将来プロの電気工事士として他者から仕事を受注する予定ならともかく、大家が自分の持ち物件をDIYでいじる程度なら二種で十分です。

しかもこの資格、非常に簡単です。学科と実技に分かれているのですが、学科は非常に容易な五〇問の選択式マーク問題を六割取ればOKという容易さで、高校生や高専の生徒もたくさん受験に来ていました。

市販のテキストを購入して一ヶ月くらい勉強すれば余裕で取得できました。心配な人でも2,3ヶ月勉強すれば十分でしょう。

実技試験も簡単なのですが、こちらは一つのミスで一発アウトというシビアな面も持ち合わせます。

また実技試験があるため、工具類一式と練習用の資材が必要になり、これが結構高いのです。安く集めたとしても4万円は下らないですね。教材合わせて5万は必要になると思います。

受験料も合わせると6万か。ちょっと手痛い出費ですが、資格は一生モノですし、リフォームとも非常に親和性の高い資格ですので、DIY大家には必須です。

都市ガスの簡単な工事は「簡易内管施工士」だがガス事業者に登録が必要

ガス機器は特に危険度が高いので、素人が勝手に工事を行ってはいけません。ガス関係の工事には必ず資格が必要になります。

しかも触れる場所によっていくつも資格があって、微妙に範囲が被っていたりするので難しいところです。しかも都市ガスとLPガスでまた資格が違うという。

この簡易内管施工士は都市ガスの資格の中でも最も多くの箇所に触れることができる資格で、マイコンメーターから下流の露出部分であれば工事ができます。

一般家庭の都市ガス工事ならかなりの部分が工事可能ですが、これ資格取得しただけじゃ施工できないのよね。

正確には簡易内管施工士が所属する会社で地域のガス事業者に登録店として登録しないと工事できないのです。

ということで実質素人のDIYerじゃ無理なんですよ。簡単なガス工事も出来る工務店でも作る覚悟がないと、取得しても意味がない資格なのです。

ちなみに、この資格が必要になるのは、ガス栓の移動も伴う工事の場合です。ガス機器の交換など既存のガス栓を動かすことなく接続するだけの場合は、下記の「ガス可とう管接続工事監督者」だけで十分です。

給湯器の交換など、ほとんどのリフォーム工事は、設置位置を移動しない限り、ガス栓も移動しないわけですから、ガス可とう管接続工事監督者で十分なのです。

素人が現実的に取得できるガス資格は「ガス可とう管接続工事監督者」

これは資格というか何というか、一日の講習を受けるだけで誰でも取得できるものなのです。

しかも、都市ガス工事において、DIYerが最も縁があるであろう箇所の資格です。既設のガス栓とガス機器を繋ぐガス可とう管の接続ができます。

ガス関連のリフォームと言えば、給湯器の交換が一番多いのではないでしょうか。給水管の接続と電気接続はまた別に資格が必要ですが、ガス管の接続についてはこの資格で十分なのです。

給湯器の設置場所まで移動するとなると、ガス栓の移動も必要になりますので、簡易内管施工士の取得及び登録店制度の登録が必要です。

既設のガス機器の交換で、かつ近くに既設のガス栓がある場合は、ガス可とう管接続工事監督者だけでガス工事関連は十分です。

プロパンガス関連は「液化石油ガス設備士」だが素人は取得できなくなりました

LPガス供給設備・消費設備の設置工事又は変更工事には液化石油ガス設備士の資格が必要になります。都市ガスとはまた別なのが煩わしい。

ただ、リフォームであれば、それほど使う機会がないのもまた事実です。これも都市ガス同様にガス栓の移動が伴わなければ、別資格の「ガス機器設置スペシャリスト」で対応できます。

ただ、液化石油ガス設備士もガス機器設置スペシャリストも、実務経験がないと資格取得が出来ないのです。これは困った・・・

厳密には液化石油ガス設備士は、誰でも受けることができるのですが、ねじ切りなど本格的な管工事の技術が無いと受かりません。座学は独学で出来ても、実技試験は困難です。

こちらの資格は、講習を受けてから試験という流れになるのですが、全くの初心者向けの第一講習から、経験者向けの第二講習、第三講習があります。

この第一講習なら基礎から教えてもらえるので、初心者でもいけたんです。以前までは・・・

今は誰でも受けられる一般財団法人 日本ガス機器検査協会の第一講習が開催されなくなってしまったのです。

パナソニックなどの機器メーカーは研修施設で第一講習を実施していますが、自社グループの社員や取引先の工務店の社員向けで、一般には開放されていません。

ということで、何のコネもない一般人の素人が第一講習を受講するのは困難なのです。すなわち、実質的に初学者の資格取得の道は閉ざされています。工務店などに就職して下積みを積むしかありません。

ガス機器設置スペシャリスト

都市ガス及びプロパンガスのガス機器の設置を行える資格です。ガス栓から下流の工事が行えます。

都市ガス工事においては、ガス可とう管接続工事監督者と出来る工事は同じ感じなのですが、給湯器の排煙筒の工事とかも出来るのです。

まあ今時は本体に付いた排煙口から排気ガスがでる給湯器がほとんどですからあまり要らないですね。都市ガスに関してはガス可とう管接続工事監督者で十分でしょう。

ただプロパンガスの機器とガス栓を繋ぐにはこの資格が必要になります。プロパンガス版のガス可とう管接続工事監督者と考えると分かりやすいですね。

ただ、この資格も受験するためには実務経験が必要になりますので、素人のDIYerが取得するのはなかなか難しいですね。

実務経験があれば誰でも受講できますとなっていますので、もしかしたらガス可とう管接続工事監督者を持っていて、給湯器とか交換したことある人なら受けられるのかしら。

上水道や給水管は「給水装置工事主任技術者」

上水道関連の資格ですね。水道メーターから下流側の給水管であっても無資格者が勝手に工事することはできません。この給水装置工事主任技術者が必要になります。

ちなみにこちらは監督者資格になりますので、施工者本人が有資格者でなくても監督者のもとで施工することは出来ます。でも一人親方であるDIYerにとってはどちらにしろ同じことですよね。

単水栓の交換など非常に限られた部分は素人でも勝手に施工してもよいのですが、混合水栓でももうダメですので、全く実用的ではありません。

混合水栓の交換すら出来ないのでしたら、風呂はもちろんのこと、キッチンや洗面化粧台の交換すら素人は出来ないことになります。

まあ無資格でやってしまっているセルフリフォーマーは非常に多いですが。厳密に守ると水道関連のリフォームは何一ついじれないことになってしまいます。

水道の場合は万が一素人に変な接続工事をされて、本管に汚水が逆流したら大惨事ですので厳しいのは当然ですが、メーターにも逆流防止弁は付いているはずですので大丈夫だとは思うのですがね。

下水道や排水管は「下水道排水設備工事責任技術者」

上で紹介した給水装置工事主任技術者の下水バージョンがこちらと考えれば差し支えないかと思います。下水につながる排水管の工事にも資格が必要なんですね。

しかし、こちらも排水設備工事等の設計又は施工に関し1年以上の実務経験が必要なんですなあ。全くの素人が資格取得するのは実質不可能です。

結局、水道関連の工事は水道屋に頼むしかないのです。厳密にはセルフリフォーマーが触ってはいけない領域です。勝手にやっているDIY大家多そうだけど。

まとめ

以上、DIY大家がセルフリノベに当たって、必要になりそうな代表的な資格について大まかに説明してきましたが、いかがだったでしょうか。

ほとんどの資格は、実務経験もない素人がサッと取れるものではないことがお分かりいただけたかと思います。

ただ悲観することはなく、一番激的な効果がある表層リフォームに資格は要りませんし、木部の大工工事にも資格は必要ありません。構造体いじったらだめだけど。

つまり、電気、水道、ガスといったライフライン意外は、資格がなくても問題なくリフォームが出来るのです。ただ、建物の構造体を触ってはいけませんよ。あくまでもリフォームは表面です。

そして、電気工事については、第二種電気工事士は誰でも受験できるのが非常に嬉しいです。せっかく開放されているのですから、DIY大家なら必須ですよ。

ガス関連工事については、都市ガスのガス可とう管接続は、誰でも取得できるガス可とう管接続工事監督者で出来るので、こちらも取得必須です。

逆にガス可とう管接続以外の工事はまず無理ですので、業者に頼むしかありません。しかし、リフォームに伴うガス工事の殆どがガス可とう管接続工事なので全く問題なし。

プロパンに関しては素人ができることは全くありませんが、プロパン業者は競争が激しいので、乗り換えをチラつかせれば、無料でガス機器の支給や設置をやってくれる場合があります。利用できるものは最大限利用していきましょう。

水道関連については、素人は全く手が出せません。キッチンや洗面化粧台の混合栓の交換すら認められていません。水道屋に頼むしか無いです。

キッチンや洗面化粧台など機器本体の交換設置は自分でやっておいて、最後給排水管の接続だけ水道事業者の指定業者にやってもらうのが一般的です。

ということで結論としては、DIY大家は第二種電気工事士とガス可とう管接続工事監督者だけ取っておけということになります。

これだけでかなりの部分のリフォーム工事ができますし、逆に言えばこれ以外を実務経験のない素人が取得するのは不可能です。

この記事が役に立ったら「いいね」をポチッとな!

セルフリフォーム・DIYカテゴリの人気記事

まだデータがありません。

コメントを残す