不動産投資が生命保険になる?融資で購入して団体信用生命保険に加入するなら実はなるんです

不動産投資が生命保険代わりになるって聞いたことがありますか?

節税になる、年金代わりになる、と並んで不動産投資の営業マンの3大キラーセールストークになっているのが、生命保険代わりになるという非常に心を引き付けられるメリットです。

すでに別記事で解説した通り、不動産投資は節税にはなりません。節税になるということは赤字経営になるということですから不動産投資をする意味がありません。

また、年金代わりにならないことはないですが、正しく黒字経営できている場合に限りますので、3大キラートークをしてくるような営業マンから買っても、赤字経営で結局のところ年金代わりにはならないでしょう。

では、3大キラートーク最後の砦である生命保険代わりになるというメリットはどうなのでしょうか。結論から言うと、これは本当なのです。一般的な生命保険の保証内容を全てカバーできるわけではありませんが、死亡保障などに関してはかなり有効です。

本日は、どうして不動産投資を行うことが生命保険代わりとなり得るのかということについて解説していきたいと思います。

融資で物件購入+団体信用生命保険で不動産投資が生命保険に

不動産投資を生命保険代わりにするスキームとしては、物件を必ず融資で購入する必要があります。ニコニコ現金一括のキャッシュ買いでは生命保険にはなりません。

投資用物件を購入するためのアパートローンに限らず、マイホームを購入するための住宅ローンにも、団体信用生命保険という制度があります。この団信を使うことで不動産投資を生命保険にすることができるのです。

団体信用生命保険は、ローンに組み込まれた特約や、ローンに関連付けされた保険契約で、ローン返済者が返済期間中に死亡してしまったり高度障害を負ってしまった場合などに、残債がゼロになり残りの返済をしなくても済む制度です。

マイホームのローン返済中に一家の大黒柱が死んでしまった場合、残された家族がローンを返済することは困難で、大黒柱を失ったばかりかマイホームまで奪われてしまうことを防ぎます。

大きな金融機関ですと、自身の傘下の団信会社や組合を持っていて、団信はそちらに加入して団信特約料を支払うことになります。毎年一定額を特約料として支払う場合や、金利のパーセンテージ上乗せという形で保険料を支払うケースもあります。

信用金庫などですと一般の生命保険会社の団信に加入することになります。こちらも一定の金利上乗せなどで保険料を支払うケースもありますが、金融機関側が保険料を負担してくれる場合もあります。もっとも最初からその分を乗せた金利になっているわけですが。

団信に加入させることは金融機関側にとっても重要で、万が一の返済者の死亡時にも保険が降りて残債を一気に返してもらえるため、ローンの必須条件にしている金融機関がほとんどです。

前述の通り、保険料を金融機関が負担しているケースもありますので、借りている側は碌に説明を聞いていない状態で、知らない内に団体信用生命保険に加入しているようなケースも有るのです。

一方の事業性融資であるアパートローンですが、こちらも団体信用生命保険があります。個人事業主はもちろんのこと、法人であっても代表者がローンの連帯保証人になっている場合は代表者に団体信用生命保険をかけることができます。※一定規模以下の法人に限る。

例えば1億円の物件をフルローンで買って、残債が残り8000万円の状態で死亡してしまった場合、団信がないと8000万円の債務と1億円の物件が遺族に残ります。

遺族が正しく賃貸経営ができるなら全てを引き継いでも問題ないのですが、キャッシュフローが碌に出ないようなギリギリの経営だった場合、引き継いだ途端に破綻してしまう恐れもあります。

そこで団信に加入していれば、死亡した時点でなんと残りの残債8000万円がチャラになるのです。遺族の手元には借入なしの1億円の物件が残り、イールドギャップ分ではなく実質利回り分の利益が毎月もたらされます。変な物件であったとしても、流石に残債がない状態なら赤字経営になることは無いでしょう。

毎月毎月家賃をもたらしてくれる不動産を遺族に残せるというのは、ある意味究極の生命保険と言えるでしょう。一括で現金がドカッと入ってくる一般の生命保険よりも余程家族のためになるかもしれません。

それでも一般の生命保険とは違うので併用がおすすめ

団体信用生命保険の話を聞くと、不動産投資をしているなら一般の生命保険は必要ないなと感じるかもしれませんが、そういうことでもないので注意が必要です。

一般の生命保険には死亡時や高度障害を負った際だけでなく、様々な保証が付帯している場合がありますが、団体信用生命保険はあくまで死亡時と高度障害を負った場合のみ適用されます。

ガンなどの厳しい疾病の場合なども、生きている限りは一切何も猶予されず、支払いが滞れば物件を失う可能性があります。

あくまでも死亡した場合に残債がゼロになるわけですので、病気で働けなくなろうが何の保証にもなりません。非情にも返済の義務は課されたままです。

そこで3大疾病保証付の団信なども選べるようになっていて、こちらの場合はガン・脳卒中・心筋梗塞で所定の状態になった場合にも残債がチャラになります。もっとワイドな保証付きの団信を提供している保険会社もあります。ただ、その分保険料も高くなります。

また、借り入れをする金融機関の採用している団信によって幅が異なりますので、あまり手厚い団信が選べない可能性もあります。

いずれにしろ、一般的な生命保険とはカバーできる範囲が異なり、かつ選択できる自由度が低いということは覚えておく必要があります。

融資+団信を使った不動産投資は生命保険代わりに確かになりますが、正確には生命保険代わりというよりも生命保険の足しになるというべきでしょう。

団信は一般の生命保険よりもお得なのか

ただでさえおいしい投資である不動産投資なのに、団信を掛ければ生命保険も強化できるなんてなんてオトクなんだろうと思ったあなた、まだ喜ぶのは早いですよ。

そもそも一般の生命保険と比べてお得なのかどうかという話です。団信といえどもしっかり保険料はかかってくるのです。例えば金利が団信をかけない場合よりも0.3%上がるなど分かりにくい形で保険料を収めているわけです。

実はこの保険料が意外と高かったりします。実際にそれがいくらの保険料に相当するのか計算してみないとお得かどうかは分かりません。保険料を金融機関が負担しているケースもありますが、そもそもそれ込みの前提で金利を設定していますからね。

特に団信は大体80歳位までの人なら加入できる上に、一般の生命保険の加入時よりも加入条件が緩いため、若ければ若いほど、健康なら健康であるほど、割高な保険料を払うことになります。

若く健康であれば、もっとずっと有利な条件で一般の生命保険に加入できる可能性もありますので、一概に団信がお得とは言えないのです。

とはいえ、死亡で一律に物件の残債がチャラになるメリットは大きく、残された遺族が融資を使った不動産投資に明るくなくても、安心して物件を引き継げますので加入は必須でしょう。

あくまでも一般の生命保険と組み合わせて使うことで、最大限の力を発揮するものになりますので、やはり生命保険代わりというよりは生命保険の補強という方がより正確でしょう。

そもそも賃貸物件を残せる時点で遺族の生活を支えるには最高なんだよなあ

ということで、融資で物件を購入して団体信用生命保険を掛けることで、不動産投資が生命保険になるよということを説明してきましたが、そもそも不動産投資自体が強力な遺族サポートツールなわけです。

例えばキャッシュで物件を買って団信が使えないとしても、物件を買った時点で将来残された家族をサポートする強力な武器を手に入れたも同然なのです。

しっかり賃貸経営できれば毎月毎月家賃が入ってくる不動産は最強です。働いて給料を家族に毎月もたらすあなたの分身と言っても過言ではありません。

不動産を家族に残すことができれば、それだけで家族のその後の生活は保証されるようなものです。死亡時の保険金が一括でドカッと入ってくるよりも、よほど家族の生活のためになると思いませんか。

死亡時の保険金を遺族が受け取る場合、保険料を誰が支払っていたかで相続税か所得税か贈与税がかかります。一番一般的なケースの被保険者が支払っていて家族が受け取る場合は、相続税になります。

相続税は控除もありますので余程高額でなければ支払う必要はありませんが、控除はどんどん縮小されてきていますので将来は分かりません。

不動産を残した場合は、同じように相続税がかかってきますが、都市部で立地の良い不動産は相続において実際の価値よりも過小に評価されますので、相続においても有利です。

キャッシュで買うにしても、融資で買って団信でチャラにするにしても、不動産を持っていることは残された家族にとって最高の贈り物なのです。

キャッシュがあってもあえて融資で購入して、残債のない不動産と現金を残せれば最強なので、やはり融資+団信で不動産投資を行うのが良いでしょう。

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