大地震で物件が倒壊して店子が死亡した場合の大家の責任!不動産投資で損害賠償請求される羽目に
不動産投資は、しっかりと勉強をして正しい投資を行えば極めて安全な投資です。しっかりと知識を身に着け、キャッシュで買い進めていく限りまず損はありません。
レバレッジをかけて融資で物件を買う場合は少し注意が必要ですが、それでも悪徳業者にだまされない限り損失を出すことは極めて稀です。
資産としても現物に投資を行うため極めて確実性が高く、株式に投資したときのように会社が飛ぶこともなく、10年後も確かにそこに物件があります。インフレリスクにも備えることができる極めて優秀な投資が不動産投資です。
しかし、現物に投資するが故に、より安全性を担保するために損害保険が欠かせません。日本は非常に天災の多い国です。確実性の高い現物への投資でも、災害で建物がだめになってしまっては元も子もありません。火災保険や地震保険をかけておくことが必須です。
火災保険と地震保険に加入しておけば、かなり安全な投資となる不動産投資ですが、意外と見落としがちなのが入居してくれる店子さんの安全を守る義務です。
物件を貸してハイ終わりではなく、入居してくれる店子さんが安全に生活できるように、大家は物件を安全に保全する義務があります。ここを疎かにしていると、物件の瑕疵が原因で店子さんが損害を被ってしまい、大家が損害賠償請求される恐れもあるのです。
火災保険と地震保険で建物を守るだけではなく、入居してくれる店子さんの安全を守ってこそ、真の安全な不動産投資と言えるのです。
賃貸物件には施設賠償責任特約を付帯することが必須
2000年代のカリスマ大家の台頭で、ボロ戸建て投資など、リフォームをしないととても住めないような廃墟を格安で入手して、驚きの高利回りで回す投資スキームが大変ブームとなりました。
表面がボロボロなだけでしたらリフォームにより劇的にキレイにすることが出来ますので問題ありませんが、躯体など建物を支える構造部分に問題がある場合、入居者の安全に関わってくる恐れがあります。
そこまでボロボロでなくても、実は見えない瑕疵が潜んでいることもあり、新しくてきれいな建物でも実は床下がシロアリでズタボロになっていることもあり得ます。あるいは、耐震偽装の姉歯物件ではありませんが、そもそも建築自体が違法建築である可能性も捨てきれません。
不動産投資家は殆どの場合、中古で物件を入手しますから、物件の裏側がどうなっているかなど知る由もありません。しかし、理不尽ですが、それでも大家は物件を正しい状態で保全する義務があるのです。
しかし、現実的に、物件の隅々まで完璧に保全することは不可能です。ましてや中古で入手した物件の壁の裏まで把握することは事実上不可能です。
そんなリスクを緩和するのが施設賠償責任保険です。大家が提供する施設つまりは物件が原因で店子や付近を通りかかった人が怪我をした場合、その賠償責任を保証してくれる保険です。
通常は火災保険の特約として施設賠償責任特約という特約がありますので、こちらを付帯させます。大きな負担ではないため、賃貸にする物件には必ずこちらの特約を付帯させましょう。
これで、物件が原因の損害に対処することが出来ます。例えばアパートの外階段の鉄部が錆びて崩れ落ちて通行人が怪我をしたり、天井板が落下してきて住んでいる店子さんが怪我をした場合などに、保険で保証してもらえます。
死亡事故などを起こした場合、相当莫大な損害賠償責任を負う可能性もありますので、絶対に必要な特約なのです。これ付けていない大家さんが多いのは驚きです。
大地震で物件が倒壊して店子が圧死した場合の大家の責任
さて、施設賠償責任特約を付けてもまだ安心できません。最大のリスクは大地震などの大災害の際です。住宅の耐震性能にもよりますが、建物が崩壊してしまい入居者一家が押しつぶされて死んでしまった場合、その遺族から損害賠償を求められるケースも有るのです。
地震で物件が倒壊した場合、物件に構造的な瑕疵がなければ倒壊は自然災害が原因と見なされ、大家が店子の遺族に損害賠償をする必要はありません。しかし、物件が建築基準法に準拠して建てられていなかったり、途中で違法に改造されていたりすると、建物の不備と自然災害で原因を分け合うことになります。
例えば、自然災害が原因の50%、建物の不備が原因の50%の按分とすると、1億円の損害賠償を認められた場合に大家が5000万円の賠償義務を負います。
地震で店子が死んで損害賠償を求められたケースは多くはありませんが、阪神大震災では実際に建物の不備が認められて大家が億単位の賠償を負わされたケースもあります。
この建物の不備ですが、建築当時の建築基準法に準拠していれば問題ないとされています。つまり、1981年以前の旧耐震基準であっても、その建てられた時点の古い耐震基準を満たしていれば倒壊しても損害賠償を求められることはありません。耐震性に劣る古い家を借りた店子が悪いと見なされます。
しかし、古い中古住宅ともなればどこかしらに問題が隠されていても不思議ではありません。大家が意図していない違法改造が中古での購入以前にされている可能性もゼロではありません。古い家には大なり小なり何かしらの瑕疵があるものです。
金に目がくらんだ遺族に目をつけられて、損害賠償を求める裁判を起こされたのではたまりません。こうした大家が損害賠償を求められた裁判例はあまり多くは無いようで、余程大きな瑕疵がない限りは大丈夫だとは思いますが、こういう事例もあるのだということを頭の片隅においておく必要があります。
そういう可能性もあるのだとすると、あまりに築古のボロ物件に投資をすることはいかがなものかという気になってきます。築古ボロ戸建てなど古いボロ物件への投資はとにかく高利回りが期待できておいしい不動産投資ですが、こういったリスクがあることも考慮しなくてはいけません。
そろそろ新耐震基準のボロ物件も値段が落ちてきていますよ
物件がボロいことによって入居者が怪我をしたり死亡したりして損賠賠償を求められるリスクがある以上、やはりボロ物件に手を出すにしても限度というものがあります。
表層が汚いだけの物件でしたらリフォームして綺麗にすれば問題ありませんが、全体的に傾いていたり、柱がボロボロスカスカになっていたりと、躯体に問題がある場合は止めておいたほうが身のためです。
よくボロ戸建ての申し子のようなカリスマ大家が、田舎のあり得ないようなズタボロのあばら家を格安でリフォームして、利回り30%だ40%だと嘯いていますが、あれは自分をブランディングしてインフルエンサービジネスをするためのネタですので、真に受けないようにしましょう。
一見して強度に劣るようなズタボロあばら家は、いくら表面を綺麗にして誤魔化しても、所詮はあばら家なのです。安心して店子さんに貸し出せるようなものではありません。
おおよそ新耐震基準の建物であろう1982年からもう37年の年月が経ちました。一番古い新耐震基準の建物はもう築37年なのです。そろそろ値段も熟れてき始めていますので、新耐震基準の建物を狙ってみるのも良いでしょう。
逆に旧耐震基準の建物はもう築40年台に入ってきていますので、設計上の耐震性の不足を別にしても、そろそろ経年劣化が目立ってきます。建築時の耐震性もそうですが、経年劣化でも強度は緩やかに下っていきます。
あまりにも古い物件に投資をすると、単に強度的な心配があるだけではなく、先月はあっちが壊れたと思ったら今月はこっちが壊れたなどということにもなりかねません。買値は安くても維持費は高く付くのがボロ屋なのです。
維持費やリスクなどをトータルで考えて投資先の物件を選ぶ必要があります。安くて高利回りに仕上がるからといって、築古ボロ物件に飛びつく前に、一度リスクについても考えてみましょう。
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