一戸建て賃貸物件を現金で購入する不動産投資手法は最も安全?メリット・デメリットあるよ

不動産には実に様々な投資戦略がありますが、代表的な投資手法の一つとしてキャッシュによる戸建て投資が挙げられるでしょう。

これは最も安全で確実とされている投資手法で、細かいデメリットこそあるものの、非常にメリットが多く初心者にもおすすめの投資スキームです。

本日は最も気軽に手を出せる不動産投資スキームである戸建て投資についてメリット・デメリットを交えて解説していきます。

戸建て投資のメリット

初めにメリットですが、これは数えきれないくらいのメリットがあります。むしろ悪い所が無いんじゃないだろうかと思うくらいの、非常にうまみの強い投資手法なのです。

不動産投資の初心者が初めに取り組む投資というと、区分所有が挙げられることが多いかと思いますが、私から言わせると戸建て投資のほうが圧倒的におすすめです。

もちろんそれぞれ良し悪しはあり、本当の意味での初心者ですと、多少利回りは低くてもしっかりした会社に管理してもらっている区分のほうがより楽ではあります。

しかし、少し勉強をして戸建て投資から入っていれば、後々まで続けられる手法となりますのでおすすめです。規模拡大面での弱点があるため中級者以降の大家は1棟アパートや1棟マンション投資に移っていきますが、それでも戸建ては処分したりせずに持ち続ける場合が多いのです。

一方の区分はある程度までの規模に達すると売ってしまう大家が多いのです。この事実だけで、どちらの投資が良い投資なのかお分かりでしょう。私も戸建て投資が一番好きで、未だにメインは戸建てを狙っています。

単価が安く初心者が現金で始めやすい

戸建て投資がおすすめなのは、なんと言っても値段が安いことに尽きます。戸建てなんて言うと、昭和の時代では何千万という値段が当たり前で、一生に一度の買い物というイメージが濃厚でした。

かく言う私の両親(現在60代)も今から20年前に中古で戸建てのマイホームを購入しましたが、そのお値段7000万超という価格でした。これは少々高級すぎる立地ですが、一般的に考えても東京近郊なら5000万円くらいがマイホームの相場だったような気がします。

それがいつの間にか新築でも3000万円くらいの価格が当たり前になってきている昨今ですが、中古住宅の値段はもっとすごいことになっておりまして、立地の悪い小さな築古の物件ですと東京近郊でも300万円台とか普通にありますからね。

マイホームの場合、平均的には中古住宅でも1000万円台前半くらいの物件を狙うのが主流だと思いますが、投資用ともなれば激安格安の物件を購入してリノベを施して貸しに出すのが普通です。

1000万円超の戸建て物件なんて買っていては投資になりません。利回り5%とかになってもよいのでしたら高い家を買うのも結構ですが、10%から20%位の高利回りを狙うのでしたら300万円~600万円くらいの激安物件を狙わないと難しいのです。

もちろん東京23区内の駅近などの好条件物件であれば1000万円を超えていても高利回りで回る場合もありますが、東京郊外ではせいぜい500万円前後で買わないと利回りが低くなってしまいます。

ところで500万円で投資が行えるのでしたら、ローンを使わなくても現金で払えるよという方も結構いらっしゃるのではないでしょうか。平均預貯金額のデータを見ても30代くらいのそこそこのサラリーマンですと500万円くらいの蓄えがある人も多いようです。

不動産投資は融資で買うのが最大のうまみなのであまり自己資金で買うのは効率が良くないのですが、どうしても借金は嫌だという人もいらっしゃるでしょう。ローン使ってまで投資するのが嫌な人でも、戸建て投資なら自己資金ではじめられるのです。

ローンを使うにしても、今まで不動産投資の実績がなく、年収も300万円くらいしかない人が、1億円を借りて1棟マンションを買えるのかというと正直難しいのです。
しかし、500万円の戸建てを購入するということでしたら、日本政策金融公庫などであれば融資をしてもらえる可能性は十分あります。

利回りが高い

不動産投資のブームが続いている中、物件を欲しい人はいくらでも居ますが、高利回りが出る美味しい物件は供給が少なく相変わらずの取り合いになっています。

不動産屋と太いパイプがあって良物件の情報をいち早く流してもらえる立場の人ならともかく、初心者はネットの不動産情報サイトで検索して探す他にありません。

しかし、ネットに出てくる物件はただでさえ残り物である訳で、その中に微かな美味しい物件が紛れていても、猛烈な競争であなたが入手できる可能性は極めて少ないのです。

これは簡単な話で、ネットの不動産情報サイトでは、投資用物件にはおおよその予想利回りが表示されているからです。少しでも周りの物件よりも利回りが高いお宝物件が掲載されると、すぐにライバルが群がり秒速で買い付けが入ってしまいます。単純に利回りで比較されてしまうので、美味しい物件はあっという間に買われてしまうのです。

また、単純に周辺の物件の利回りから逆算して物件価格を決められてしまうため、値付けを誤った美味しい物件が生まれにくいのです。楽待や健美家でソートすれば分かりますが、東京近郊のそこそこの条件の物件であれば、おおよそ10%前後の表面利回りに収束します。少しでも利回りが高い12%とか13%の物件が掲載されるとすぐに売れてしまいます。

そのため、売りたいなら12%から13%の利回りになるように逆算して売値を付ければ良いわけで、わざわざ15%で回るように安値で売ってしまう必要はないのです。

一方、一戸建てを売る人というのは投資家ではなくマイホームとして使っていた個人が多いのです。そもそも、売り先として投資家を想定しておらず、実需向けに売りに出しているため利回り逆算ではなく積算価格で値付けをしている場合が多いのです。

多くの物件が築22年を超えた築古物件になりますので、上モノ価格はほぼゼロ計算で土地値近くになります。築20年前後ですと流石に土地値ではないですが、築40年あたりになるとほぼ土地値か土地値以下になります。上モノがボロボロだとかえって足手まといと見なされて土地値から解体費を引いた売値になるのです。

そういった訳で、築40年とかの築古物件は、土地値以下の300万円~600万円程度で入手できるわけです。そもそも積算ベースで値付けしているわけで、積算価格の割に収益が期待できる物件の場合、かなりの利回りが期待できるのです。300万円とかで入手できれば、ヘタをすれば利回り20%近く行くこともあります。

これは将来性もある東京近郊の場合で、地方のクソ田舎とかに行けばボロい戸建てが20万円や50万円などで入手できる場合もあり、利回り40%とか50%とか普通に出している知り合いも居ます。

本当に投資資金が1000万くらいなのに、家賃年収500万円とか得て悠々自適に大家ライフ送っている人もいるので凄い!
あまりに田舎の立地なので、少子化の将来どうなるかは未知数ですが・・・

維持運用コストが安い

誤解ないように言っておきたいのですが、維持コストは決して安いわけではありません。いや、むしろ高いです!

何故かと言うと、床面積に対して取れる家賃が相対的に少ないからです。同じ様な立地ですと、20平米のワンルームで3万円の家賃だとすると、60平米の一戸建てで7万円、100平米の大きな一戸建てで9万円くらいしか取れないのが普通です。

となると面積あたりの効率はワンルームなど単身者向けの賃貸物件が最強で、広ければ広いほど不利なのです。退去後のリフォームは面積に応じてコストが上がりますので、メンテ費用が多くてもそれに比例した家賃が取れないのが戸建て投資なのです。

そういった意味では、1棟木造アパートには効率では敵いません。しかし、維持コストが大きく修理費用もかさむRCマンションなどよりは割安です。固都税もRCや重量鉄骨造よりも割安です。

また最も維持コストが高いRCマンションの区分所有と比べれば、明らかに低コストです。区分所有の場合、毎月支払う全くの無駄金である管理費に加えて、修繕に使う修繕積立金も取られます。修繕に使うお金なのでこれは取られても仕方ありませんが、これを使って修繕を行う効率が悪いのです。

全ての区分所有者が投資目的ではなく住居用の人もいるので、基本は居住者ベースで修繕計画が立てられるので投資用物件としてはオーバースペックな修繕が行われます。投資目的の場合は、壊れたら最低限の修理をするというスタンスが基本になりますので、結果的に自分でコントロールできる戸建ての方がコストは少なくなります。

結論としては、1棟アパートが一番コストは少なく効率が最強ですが、初心者が手を出しがちな区分所有と戸建て投資で比べれば、戸建ての方が運用コストが安いよということです。

管理に手間がかからない

これも地味に大きなメリットで、一度入居者が入ってしまうと本当にやることがありません。

戸建てに入居すると、何故か自分のマイホーム感が出てきて、自ら管理しようという気持ちが出てくるようなのです。ちょろっとした修復や庭の管理などなら住人が自ら行ってくれますし、アパートのように共用部分がないため定期的な清掃などの必要がありません。

私は小売とレンタル業を営んでいたことがありましたが、レンタル業は小売に比べるとクレーム率が圧倒的に高いのです。同じ製品でも買うのと借りるのでは大違いで、例えば使い方が分からなくても買った人は自らネットで調べようとしますが、レンタルした人は直ぐに電話をかけて聞こうとします。

戸建てを借りた人が自分の家であるかのように感じているというアンケートをどこかで見たことがありますが、おそらくその様な気持ちになることが、大家を頼ろうとしないメンタルに繋がるのではないかと思います。

まあ、どこか壊れたのを素人のDIYで直そうとして余計に悪化させたりする恐れがあるので、なるべくなら早めに連絡してほしいですが・・・

平均入居期間が長い

同じように戸建て物件の場合、自分の家という意識が芽生えるようで、その地に根を下ろして長い期間暮らしてくれる傾向にあります。

地域や物件規模によっても異なりますが、戸建ての場合は5年以上入居してくれるケースもザラです。ワンルームが平均2年から3年と言われている中で、10年以上という長期に渡って入居してくれる場合も珍しくありません。いやそれ自分で買えるやんという感じですが、大家としてはありがたい。

とにかくワンルームは当然として、ファミリータイプのマンションやアパートよりも明らかに入居期間が長い傾向にありますので、大家としては非常にメリットが大きいのです。

入居期間が長くて、かつ手間いらずなので、一度入居付けをするとトラブルなく家賃が振り込まれてくる状況を長く味わえます。

出口戦略が取りやすい

不動産投資において忘れてはいけないのが出口戦略です。月々のキャッシュフローや利回りばかりに目が行っている人も多いのですが、最終的に売り払って総合の損益を計算した時点で初めて投資の成功失敗が分かるのです。

そんな出口戦略、すなわち物件の売却ですが、1棟もののマンションやアパートですと非常に流動性が低いのです。例えば融資がジャブジャブの市況ですと、誰でもお金を借りて購入できるのですぐに売れます。しかし、融資が絞られてお金を借りられる人が減ってくると、価格の高額な1棟ものは途端に売りにくくなります。

その点、戸建てなら安心です。何しろ単価が低い、500万円程度であれば現金で購入できる人はゴロゴロいるので、融資が出ないような最悪の経済状況になっても、いつでも売却できるのです。

そして、1棟物と違って大きいのは、実需向けに売ることが出来るという点です。1棟マンションやアパートを買うのは100%投資家です。市況が悪い状況では購入のインセンティブが下がりがちですし、アパートローンが通りにくいので売れにくくなります。

一方の戸建ては、もちろん投資家も購入しますが、自分で住むために一般消費者が購入する実需も見込めるのです。実需は投資よりは景気の波に左右されず、借り入れもアパートローンなどの事業性融資ではなく住宅ローンになるため、融資が絞られている状況でも借りやすいのが特徴です。

まとめると、一戸建ては小粒でお値段が熟れていて、なおかつ自宅として購入したい人もいるため、投資家がシビアに判断するアパートやマンションと比べても売りやすいということです。

超築古でも積算価格が出やすく資産性が高い

例えばマンションの区分所有ですと、購入価格の殆どが上モノの価値となり、鉄筋コンクリートの塊を大金出して購入することになります。

万物は少しずつ劣化していくもので、頑丈なRC構造のマンションでも年々劣化が進み、会計上は47年で価値がゼロとなります。実際の価値は50年経っても何割かは残っており、家賃も取れれば、売却も出来ます。

ただ、その価値は時間が経つほどに減っていき、投資金額を回収して出口を取る際には、もうほとんど価値が残っていないかもしれません。

その点、築年数がある程度行った戸建ては、購入価格の殆どが土地値なので、それ以上価値の減損がないのです。築10年と築20年の建物には価格の違いが生じますが、築40年と築50年の物件にはほとんど価格の違いがでません。

つまり築40年の物件を購入して、10年間賃貸に出して投資額を回収した後、築50年で出口を取るとすると、購入時とあまり変わらない値段で売れてしまったりします。

区分所有マンションでも、立地が良くこのくらいの築古になれば同じ様な傾向になりますが、戸建てよりは年々価格が下落していきます。

銀行評価はもっとシビアで、積算価格で見られますので、築47年をすぎれば価値はゼロです。実際の資産評価としては積算価格から何割か割り引かれますので、築40年を超えれば何の担保価値も持たいないでしょう。

その点、戸建てなら築50年だろうが60年だろうが、上モノの価値はどうせゼロなのですから、建っている土地の評価が全てです。建物と違って100年経っても200年経っても土地は劣化しませんので(擁壁のある崖地など除く)、築古でも土地の価値は残るのです。

実際は、土地値から上モノの解体費用を除いた価格が積算価格になり、そこからいくらか割り引かれて銀行の出す資産評価額となりますが、田舎の誰も要らない土地でもない限り価値がゼロになることはありません。

もちろん再建築が出来ない土地や、あまりに狭小で新たに建物を建てても仕方がない土地、新築で建てても需要が全く見込めない土地などは、無価値どころか持っていることでマイナスになりかねません。だからこそ、戸建て投資をする際には、価値ある立地にこだわる必要があるのです。

デメリットについて

さて散々メリットばかりを語ってきましたがデメリットもない訳ではありません。と言っても有り余るメリットに比べれば微々たるものですが。

最大のデメリットしては、やはり資産規模の拡大スピードが遅いとこうことです。関東近郊でいうと、標準的な家1軒で月額家賃7万円程度と想定すると、10件の戸建てを購入してリフォームして賃貸付けを行って、やっと月70万円の家賃収入を得ることが出来ます。

これだけあれば、専業大家としてなんとか大家生活を送ることが出来ますが、10軒の戸建てを仕上げるのには1,2年はかかるでしょう。

このくらいの規模であれば誰でも戸建てだけで到達可能ですが、例えば家賃収入月700万を目指すとどうでしょう。なんと1戸建て100軒を仕上げて客付けしないと到達できません。これは驚異的な労力です。

メガ大家というと家賃収入1億円あたりを想像しますが、実に1戸建て100軒強仕上げてやっと到達できるのが1億という領域なのです。果たして10年で到達できるでしょうか?かなり大変ですね。

メガ大家になる人は、ある時点から戸建て投資は行わなくなり、1棟アパートやマンションの投資に移行します。例えば家賃7万取れるファミリータイプの部屋が10室のマンションを購入すれば、1棟買うだけで家賃月収70万円に到達します。マンションを10棟買えばもう月収700万円でメガ大家に近づくのです。

戸建て100件とマンション10件では手間が違います。1物件を購入するためにはその何倍も物件の見学に出向く必要がありますし、契約や決済も1物件ごとに必要になります。そのため、1物件に10室まとまっていれば、労力が1/10で済むのです。

また、リフォームにおいても、戸建て100物件の場合は、累計100箇所の現場を管理する必要がありますが、10室のマンション10棟の場合は10箇所の現場の管理で済みます。1棟10室まとめてリフォームをお願いすればディスカウントも期待できます。

このように、投資の労力でいえば圧倒的に集合住宅の方が少なくて済むのです。戸建て投資は非常に素晴らしい投資でほとんどデメリットはありませんが、規模を拡大していくには少し大変なのです。

意地で数百軒の戸建てを保有しているメガ戸建て大家もいるという噂を聞きますが、普通は厳しいでしょう。ある程度の規模に達したら、狙わなくても自然と集合住宅の投資に切り替えることになるでしょう。

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