不動産競売で物件落札後の強制執行の流れと費用 占有者に不動産明け渡しを要求する方法

前回の記事で競売物件落札後の占有者との交渉などについて解説しましたが、今回は交渉がうまく進まない場合や連絡が取れない場合の最後の手段、不動産明け渡しの強制執行について、流れや必要な費用などを解説していきます。

競売手続きが全て終わり所有権移転も済み、引渡命令も決定しているのにもかかわらず、占有者と連絡が取れなかったり、占有解除及び動産処分の同意書と鍵を送り返してくれない場合、住んでいて出ていってくれない場合は、強制執行の申立を行います。

不動産明け渡しの強制執行とは、国が強制力を発動し、占有者の占有を解除するもので、競売においては引渡命令が確定していれば裁判などの手続きを踏まずに即申立を行うことが出来ます。

申し立てには、裁判所から送られてきた引渡命令の決定の書類、裁判所に収める強制執行の費用、印鑑などを持って管轄の地方裁判所支部の執行官室に行きます。

申立に必要な書類は執行官室で用意されていますので、指示通り記載して申し立てを行います。費用を納めて手続きが完了すると、当日または翌日あたりに担当する執行官から電話連絡があり強制執行の日取りを決めます。

その際に、当日物件の鍵を解錠する鍵屋や、室内の動産を運び出し保管する執行業者をどうするか相談します。自分の指定する業者を使うことも出来ますが、特に使っている業者がなければ執行官の用意する業者を使います。これはこれですごい利権ですが、特にぼったくり業者を充てがわれることもないので、安くやってくれる知り合いの業者がいないようであれば執行官に手配してもらったほうが楽でしょう。

事前の明渡しの催告などの必要な手続きは全て執行官が行うため、あとは約束した執行当日に現地に出向くだけです。約束の時間に、現地に執行官、鍵屋、運び出し業者の3者が集まっていて、強制執行が行われます。

執行官がインターホンを鳴らしたり、ドアを叩いたり、大声で呼びかけを行うなどして鍵の解除を要求します。それで占有者が出てこない場合は、鍵屋が鍵を強制的に解錠します。執行官が室内に入り執行を宣言します。

ここで内部に住んでいて荷物が大量にある場合は、荷物を業者が運び出す形になります。質の悪い輩やヤクザが占有して退去しない場合は警察が出動して強制排除するケースもあるとかないとか。

強制執行となってしまえば、どうやっても専有し続けるのは困難ですので、多くのケースでは大人しく明け渡すようですので心配はいりません。事前に家を破壊されるなど嫌がらせをされる方が恐ろしいです。水道管に砂を詰めたり、床下にシロアリをばらまかれたりなどと都市伝説がありますが・・・

何れにせよ、その場で荷物はすべて空っぽにされ占有者も排除されるので、確実に占有解除してあなたのもとに物件が渡ります。ほとんどのケースで当日執行が終わり、晴れて物件を確保することが出来ます。

既に所有権は移っているわけですから、これで物件の引渡しが完全に完了した形になります。

強制執行のパターンと費用について

強制執行は上記の標準的なパターンに加えて様々な執行パターンがあり、その費用はパターンによって大きく変わってきます。裁判所に収める執行費用は、建坪などによって変わるらしいのですが、今までの経験上1戸建てですと数万円から十数万円のようです。

実は強制執行の費用の大小は裁判所に支払う費用よりも、荷物運びだしの業者に支払うもののほうが圧倒的に多く、強制執行の行い方によって大幅に変わってきます。

①一番安いのが室内がほぼ空っぽのケースです。荷物を運び出す必要がないため業者が運び出して一定期間保管するコストが掛かりません。ただ、運び出し業者は執行の立会人も兼ねているので当日必ず立ち会います。その出張費として何万円か日当を支払う必要があります。私が直近で支払った立ち会い日当は25000円でした。もちろん業者によって異なると思いますが、執行官が手配する業者なら業者によってあまりに大きく違うことはないと思います。

②荷物はある程度あるものの、どう見てもほとんど無価値なものばかりの場合は、運び出しを行わずに建物内で一定期間保管して強制執行を行うケースもあります。

私が自社倉庫を競売で取得した時はこのケースでした。大型の什器などが複数残されていましたが、古いボロボロのものが多く殆ど価値の無いものばかりでした。価値がないものの大きなものばかりで、運び出しおよび保管を行った場合かなりの費用が発生することが予想されました。

しかし、執行官に配慮していただき、建物内で一定期間保管することで執行を行ってもらうことが出来ました。運び出し業者が残置された動産のリストを作り、差し押さえの印のようなものを動産類に貼り付けていき、最後に施錠して建物を封鎖してその日は完了となりました。

一定期間経過後に強制執行が完了して動産類は放棄したものとみなすというような文書が壁に貼り付けられ、実際にその日がきたら自動的に執行完了となりますとのことでした。

文書に掲示された一定期間完了の日を迎え、特に建物内の動産類に変化がなく、占有者が動いた様子もなかったため、はれて執行完了で占有解除となりました。費用が安く抑えられたのが大変助かりました。①同様に運び出し業者の日当+αくらいで済みました。

③そして一番負担が重いのがセオリー通り荷物を全て運び出して、一定期間業者の倉庫で保管して貰う方法です。

トラックと何人ものスタッフを手配するわけなので、莫大な費用がかかります。さらに占有者が荷物を引き取る猶予のため一定期間業者の倉庫で保管する必要があるため、保管費用もかかります。

建物のサイズと荷物の量によって全く異なりますが、少なくても数十万円の費用がかかることになるでしょう。占有者が住んでいて荷物がある場合は、引き渡し交渉がスムーズに進まず強制執行になり、最悪この運び出しパターンになることを想定して入札金額を決める必要があります。

ちなみに運び出して保管していた荷物を最終的に廃棄することになった場合、産業廃棄物処理費用も負担することになります。

以上を踏まえると、標準的な一戸建ての場合、裁判所に支払う執行費用が数万円~十数万円、鍵屋に支払う解錠費用が2,3万円(セキュリティーキーやディンプルキーなど難易度によってはずっと高くなる可能性あり)、運び出し業者に支払う料金が2万円程度から数十万円ということになります。

やはり、運び出しの必要があるかないかによって、大きく異なりますね。一番いいパターンですと総額15万円以下で済みますが、最悪100万円近くかかることもあるでしょう。

残置物のゴミ処理とコスト

強制執行まで行って、やっと占有を解除してあなたのもとに物件が渡っても、まだやるべきことがあります。それはゴミの処理です。ゴミ処理までやって初めて一般市場で物件を購入した時と同じ状態になります。

上記の強制執行を行った場合は、保管期間後に運び出し業者にゴミ処理までやってもらうのが一般的でしょう。安くはありませんがそうボッタクリ価格を提示されることもないはずです。

貴重品がなく荷物が少ないなど、運び出しの必要がなかったパターンでも、その中に貴重品があったなどと後から占有者に言いがかりをつけられないように、保管業者に一定期間の保管後に処理してもらうように依頼することも出来ます。まあ強制執行が完了しているので大丈夫だとは思いますが。

自分で処理する場合は、産業廃棄物処理業者に依頼することになります。残置物は家庭で使う品々ですが、あなたは不動産賃貸業のためにゴミ処理を行うわけですから産業ごみとなり、家庭ごみとして市町村に無料で引き取ってもらうことは出来ません。

事業ゴミを有料で引き取ってくれる市町村もありますが、多くが事業用一般廃棄物のみで産業廃棄物は自己責任で処理する必要があります。

産業廃棄物処理業者はピンきりで、なかなか価格比較を行うことも難しいので、価格を求めることは難しいのが現実です。サイズで測る業者と重さで測る業者があり、値段は実にピンきりです。

事業性一般ごみの自治体のクリーンセンター持ち込みですと、地方の安い街で1キロ10円台~都市近郊の高い街で1キロ40円台といった感じでしょうか。一般の産業廃棄物処理業者ですと、周辺自治体よりも高い値段になるはずです。

ただ、産業廃棄物処理業者の場合は分別不要で持って行ってくれる場合などがあり、処理の容易さを考えると少しくらい高くても早めに持って行ってもらう方が得策です。

費用は残置物の量によりますが、一般的な80平米くらいの戸建てに普通の量の生活雑貨や家具などが詰まっていれば、30万くらいは容易にかかるでしょう。荷物が多いような家だと青天井です。

倒産したデカイ会社事務所だと数百万掛かる恐れもありますので注意が必要です。工場で機械などが残されていると絶望的な金額になりかねませんが、金属は売ることが出来るため金属買取業者に持ち込めば輸送費を引いてもプラスになる可能性があります。

ちなみに機械のまま価値があり売りさばけるようなものが残されている可能性は皆無です。債権者が血眼になって回収して行った後ですので。
あと機械類は何らかの原因で汚染されている場合は、処理費用は莫大なものとなります。怪しい薬品や化学部質などどれだけ処理費用がかさむか想像もつきません。

競売カテゴリの人気記事

コメントを残す