和室の砂壁土壁をリフォームする1番おすすめな方法

ボロ家を買ってセルフリフォームする場合、1番安く劇的に雰囲気を激変させられるのは、壁や天井のクロス貼り替え、および床のクッションフロア貼り替えです。

広い面積を一気に新品に変えられるわけですから、その費用対効果は抜群です。

洋室の壁であれば、今の壁紙を剥がして、新しいものを貼り替えるだけで、非常に簡単です。しかし、和室の砂壁や土壁や繊維壁や綿壁などはそうもいきません。

DIYerなどですと、和室の塗壁にも直接壁紙を貼ってしまっている人もいますが、仕上がりが悪くなる他、年数が経ってくると剥がれてきてしまう恐れがあります。

特に築年数が経っている場合は、壁紙が剥がれるのではなく、下地の砂壁ごとベロッと落下してしまうこともあります。

そのため、しっかりと下地処理をしてから貼り替えなくてはいけません。

この下地処理のやり方に色々と方法があるのですが、それぞれメリットデメリットがあるので、壁の状態や掛けられるコストなどで最適な手法を選ぶ必要があります。

本日は、手法ごとのメリットデメリットを解説したうえで、一番おすすめの手法を選んでいきます。

手法1 直貼り

1番楽なのは、一部のセルフリフォーマーが実施している、砂壁にそのまま貼ってしまう手法です。

前述の通り、砂壁の凹凸が壁紙の表面に出てしまって、仕上がりは綺麗ではありません。

しかし、激安物件を最低限のリフォームで、地域最安値で貸すような手法では、これでもいいのかもしれません。

ただ、デメリットはまだあり、時間経過と共に下地になる砂壁自体がボロボロと剥がれてきてしまうこともあります。

そこで、せめて砂壁押さえなどを染み込ませて、砂壁をしっかりと固めてから、直貼りをするのがおすすめです。

ちなみに、下地が悪ければ悪いほど、壁紙貼りは難しくなりますので、本来は素人DIYerほど下地をしっかり整えてから貼らないといけないんですけどね。

手法2 剥がし

次に楽だと思われているのが、砂壁の砂を全て剥がしてしまう方法です。

本当の昔の土壁などですと、竹筋を組んで、そこに土を塗りつけている土壁もあります。主に関西の方に多いらしいですね。

しかし、現代の砂壁や土壁は、普通の石膏ボードで壁が作られていて、そこに下地としてモルタルが塗りつけられ、その表面に2,3ミリの砂や土の仕上げ材が塗られたり吹き付けられているものです。

したがって、表面の数ミリの砂を剥がせば、比較的平らなモルタルの面が出てくるのです。

砂を全て剥がしてしまって、比較的平らで安定しているモルタル面に、壁紙を貼るのです。

これなら、砂壁のように劣化して剥がれてくる恐れも少ないのです。

しかし、この手法はデメリットも多く、私は全くおすすめしないですね。私は最悪の手法だと思っています。

まず、剥がすのがすごく大変なのです。まずは、砂壁全体に霧吹きなどで水をかけて湿らせます。こうすることで簡単に剥がれるようになります。砂が柔らかくなったら、スクレーパーで削り落とすだけです。

ただ、スクレーパーで大まかなところは落とせても、なかなか完全にフラットになるまで落とすのは困難です。仕上げにワイヤータワシなどで、全体的に満遍なく表面を削る必要があります。

その際に、結構粉塵が舞います。マスクをしているとはいえ、もうもうと粉塵が舞う中で作業をするのは嫌なものです。

本当かどうかわかりませんが、昔は施工性の良さや強度を考えて、砂壁などの仕上げ材にアスベストを混ぜて施工する職人もいたとかいなかったとか。あくまでネットの噂なので、本当かどうか定かではありませんが。

とにかく、剥がしは粉塵が出るのであまりおすすめできません。

そして、苦労して剥がしても、下地の状態は、砂壁の直貼りよりも悪いのが現実です。

しっかり剥がしたつもりでも、細かい砂の粒子が残っていて、壁紙糊の食いつきを阻害します。貼り付けたそばから剥がれてくるといったこともあります。

貼りにくさは、しっかり固めた砂壁に直貼りする場合を上回ります。

仕上がりも、砂壁直貼り同様に、下地の凸凹が出やすく、あまり良くありません。

粉塵は出る、貼りにくい、剥がれやすい、仕上がりは悪いと、いいことがありません。唯一この手法を取りうるとすれば、ペットを飼っていたなど、強い臭気が砂壁に染み込んでいる場合でしょうか。

手法3 ベニヤ貼り

1番確実で堅い方法は、砂壁の面にベニヤを貼って下地を作る方法です。おそらくプロの現場でも1番使われている方法でしょう。

砂壁面を薄ベニヤで全て覆い隠してしまうため、この先砂壁が崩れてくる恐れもありませんし、下地が完全に平らで安定した面になるため、糊の食いつきも抜群によく非常に貼りやすく、剥がれにくい素晴らしい下地になります。

今貼りやすいだけではなく、今後何回も貼り替える際にも、下地がフラットで安定しているというのは多きなアドバンテージです。

しかも、下地がフラットなので、仕上がりも抜群に綺麗です。

メリットしかないベニヤ貼りですが、コストの高さ施工の手間がかかる点はデメリットです。

ベニヤは薄いものでも結構いい値段がしますので、全面に貼ると結構なコストになります。

また、各面のサイズを測ってベニヤをぴったりのサイズに切ってから貼らないといけないため、結構な手間がかかります。

コストと手間を惜しまなければ最も奨励される手法でしょう。

手法4 総パテ

少しコストを抑えたもう一つの奨励手法が、総パテです。こちらもプロの現場でも使われている手法ですね。 砂壁の全面をパテで埋めてしまう方法です。

普通にボードに壁紙を貼る際も、ジョイント部にはパテを打ちますが、その要領で砂壁全面にパテを打って平らにしてしまうのです。

全面をパテで固めるので、砂壁が崩れてくる可能性を少なくできますし、全面がフラットになるため仕上がりも良いです。

糊の食いつきはベニヤほどではありませんが、砂壁直貼りや剥がした場合に比べれば格段に下地が良いので、貼りやすく剥がれにくいのです。

コスト面でも、そのまま貼ったり剥がしたりする手法よりはかかりますが、ベニヤに比べると随分と低コストで済みます。

施工の手間ですが、ベニヤとどっこいどっこいですね。単に全面にパテ打ちするだけなら、ベニヤよりも遥かに早いです。しかし、より確実で仕上がり良く施工するためには、まず砂壁を薬剤で固めたり、パテ打ちの後にペーパーをかけて平らにしたり、糊の食いつきを良くするために壁紙を貼る前にシーラーを散布したりと、意外と工程が多くて時間がかかります。

コストを抑えたいならこの手法が1番ですね。仕上がりも悪くなく、おすすめの手法です。

手法ごとのメリットデメリット

以上4種類の手法を紹介致しましたが、どの手法を選べば良いのでしょうか?

コストは以下の通りです。
ベニヤ>総パテ>直貼り=剥がし

下地処理の手間は以下の通りです。
ベニヤ=総パテ>剥がし>直貼り

壁紙の貼りやすさは以下の通りです。
ベニヤ>総パテ>直貼り>剥がし

仕上がりの美しさは以下の通りとなります。
ベニヤ>総パテ>直貼り=剥がし

貼った後の堅牢性は以下の通りです。
ベニヤ>総パテ>直貼り=剥がし

いかがでしょうか。剥がしが手間ばかりかかって、仕上がりも汚ければ、剥がれやすく劣化しやすい、最悪の手法であることがお分かりいただけますか。

悪臭が染み付いている場合を除けば、剥がしの手法を取る意味は皆無です。

仕上がりも劣化のしにくさも、ベニヤ貼りが1番優れていますが、手間とコストがかかります。

長く保有する予定の物件ですと、この先何度も入退去があり、壁紙の貼り替えも何度もありますので、最初に下地をしっかりと整えておくのがおすすめです。ベニヤ貼りは第一選択肢でしょう。

仕上がりはしっかりしたいものの、ベニヤはお金がかかりすぎるというなら、総パテです。

仕上がりの綺麗さや剥がれにくさなどの堅牢性は、ベニヤに一歩及びませんが、他の手法よりは遥かに良いので、第二の選択肢でしょう。

総パテは、綺麗に堅牢に仕上げたいけど、コストはかけたくないという場合に、第一選択肢となります。

仕上がりはどうでもいい、とにかく安く手間なく仕上げたいというなら、直貼りになります。

とにかく手間がかからないのが特徴ですが、下地が悪い分貼るのが難しいので、慣れていないと壁紙を貼る工程だけでえらい時間がかかるかもしれません。

また、時間が経つと剥がれてくる可能性もあるので、注意が必要です。

間違っても高い家賃を取るような物件に使うべき手法ではありません。100万円で買ったボロ戸建てを、20万円の予算でリフォームするような、究極のボロ戸建て投資などで使われる手法です。

まあ、通常はベニヤ貼りか総パテで施工するのがスタンダードです。コストかけても良いならベニヤ、できるだけコストを抑えたいなら総パテを選びましょう。間違っても剥がしなんてしないように。

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