砂壁・土壁・繊維壁をDIYセルフリフォームする方法とは!ペンキ塗りor壁紙貼り
和室リフォームを行う際に、最も多くの面積を占めるのが壁の部分のリフォームです。
壁のリフォームは築古の中古物件のリフォームの肝となる部分で、インテリアの面積の中で最も大きな部分ですので、壁をキレイにするだけで全体の印象が激変します。
通常の洋室リフォームの場合は、既に貼られている既存の壁紙を剥がして、パテで下地を平らに整えて、新しい壁紙を貼るだけですので、割と簡単に済みます。
プロのクロス職人に頼んでも、多くの場合メーター1000円しないくらいで貼ってもらえますので、家全部張り替えても意外と高くありません。
ところが和室リフォームとなるとそう簡単ではないのです。なぜなら和室の壁は真壁になっていて、柱の間の部分は壁紙ではなく左官仕事が施されているからです。
石膏ボードの上に、モルタルを塗りつけて下地を作り、砂やら土やら繊維やらが塗りつけてあるのです。いわゆるザラザラ・ジョリジョリした昔の和室の壁という感じですね。手で擦るとポロポロ落ちてくるあれです。
これが築古となると汚れていたり、ぼろぼろ剥がれ落ちたりして非常に汚い。とてもそのままでは貸家にすることが出来ません。
じゃあ、いつもどおり壁紙を張り替えればいいのではという発想になりますが、残念ながらこのザラザラの塗り壁には直接クロスを貼ることが出来ません。
厳密には強制的に貼ってしまえば貼れないことはないのですが、薄いクロスですと下の凸凹が浮き出てしまいますし、厚手のものでも経年劣化してくると下地の凹凸が浮き出てきます。食い付きが悪くベロっと剥がれる恐れもあります。
砂壁などの塗り壁は、しっかりと下地処理を行った上でクロス貼りを行う必要がります。そのため、ひと手間余分にかかるので、洋室のリフォームよりも時間がかかります。
職人に頼む場合は、以降で説明するベニヤ貼りの方法が取られることが多いのですが、一般的な洋室のクロス張替えに比べて3倍位のコストがかかることが一般的です。
比較的値段がこなれていて、安く職人にお願いすることが出来る洋室のクロス張替えに比べると、和室のクロス張りは大幅に高いので、DIYでセルフリノベを考える人も多いのです。
そこで本日は、DIY大家さんがセルフで和室の砂壁等にクロスを貼る際に、よくとられる工法について簡単に解説していきたいと思います。
具体的な方法についてはユーチューブなんかを見るとハウツーの動画がゴロゴロありますよ。
ペンキを塗る方法は高い家賃が取れない安い物件向き
和室の砂壁などを最も簡単にリフォームする手法は、砂壁に直接ペンキを塗ってしまうことです。ペンキは万能で、どんな汚い箇所でも塗ってしまえばそこそこ綺麗に誤魔化せます。
しかし、私はペンキはなるべく使わないことを奨励しています。マスキングや養生を行ったり、シーラーを下塗りした上に何度塗りかをする必要があるため、非常に手間がかかります。
面のリフォームは、壁紙やシートなどを貼って汚いものを隠すリフォームが基本です。これが一番きれいに仕上がって、次のリフォーム時にも楽に再リフォームできるのです。
簡単にできるからとDIY初心者が壁紙の貼り換えではなく、古い汚い壁紙にペンキを塗ってリフォームすることがありますが、当然張替えほどキレイな仕上がりになりませんし、壁紙に浸透して固くなったり下地に浸透して強固に固着したりして、次のリフォーム時に綺麗に剥がせなくなってしまいます。
砂壁などの場合も、当然壁紙を上から張って隠すよりもキレイに仕上がりませんし、砂壁に塗料がグングン吸い込まれて下地までエライことになります。その次のリフォームでは上にベニヤを貼る以外の方法は取れなくなるでしょう。
何よりも仕上がりが美しくないため、中・高価格帯の物件には向かない手法です。これは一戸建てであれば5万円しないような下層向け物件に向いた簡易的なリフォームです。
逆に100万円とかでボロ戸建てを激安で買って、ほとんどリフォームにお金をかけないで、相場よりも安く貸す場合には十分かもしれません。
何もしないで、黒ずんだきったない和室の壁のまま賃貸募集をするよりは、ペンキだけでも塗ってあるほうが幾分マシでしょう。
砂壁を剥がして壁紙は粉塵が出るのでおすすめできない
塗り壁の王道のリフォームはやはり上にクロスを貼って隠してしまうことです。
とはいえ前述の通り、砂壁や土壁など凸凹した面に直接クロスを貼ることは困難ですので、下地を平らに整える必要があります。
この和室の壁を平に均す方法はいくつかありますが、代表的な手法は3つあります。すなわち、①剥がす、②固める、③ベニヤを貼るです。
まず第一の方法の剥がすですが、その名の通り塗り壁に塗ってある砂や土や繊維を含む仕上げ材をごっそり剥がしてしまいます。
ガチで昔の土壁ですと、竹筋を組んでそこに土を塗り込んで壁が作られているらしいのですが、今時いくら築古でもそんな江戸時代みたいな家は早々お目にかかれないでしょう。
結構な築古物件を含め、高度成長期以降に作られた家の場合、石膏ボードで壁が作られて、その表面にモルタルなどを塗って下地を作り、そこに砂や土の仕上材を薄く塗って仕上げてある感じです。
砂壁を見ていると、一見結構分厚く塗られているのかなと感じますが、実は表面に1,2ミリ薄く塗られているだけなんですね。こいつを剥がしてやるとモルタル塗りなどの下地がすぐに見えてきます。
剥がし方は簡単で、霧吹きなどで満遍なく水を吹きかけると、水分を吸い込んで色が濃くなり柔らかくなります。あとは市販のスクレーパーなどで、表面に塗られたものをごっそり剥がすだけです。
濡らしてあれば簡単にスーッと削れます。全体をスクレーパーで粗方削り取ったら、サンダーポリッシャーやオービタルサンダーなどで削って平らにします。
あとはまだ凸凹している部分をパテで修正するなどして下地を整え、クロスを貼ります。
この手法の最大の弱点は、とにかく粉塵が大量に出ることで、強力なマスクをして作業しないと塵肺になります。また後の清掃が非常に大変で、間違ってもあまりおすすめできる手法ではありません。
一番手軽なので、DIY初心者が初めにやりがちな方法ですが、まあ止めておいたほうが良いでしょう。
この手法を使うのは、ペットを室内で飼っていて激臭がしたり、激しい雨漏りで壁が濡れまくってすえた匂いがするなど、壁の仕上げ材が臭気を吸い込んでいるような場合に、臭源ごと削り取る必要がある際くらいですかね。
砂壁をパテで固めつつ均して壁紙貼り
塗り壁の下地を整える手法その2が、砂壁などの面を全面的にパテで塗り固めてしまう方法です。
クロスを貼る前に下地を整えるあのパテを使って、砂壁の面全体にパテがけをしてしまいます。
パテがけの上手い人なら、下地を平らに仕上げることが来ますし、パテで全体を抑えるのでポロポロと砂や土の仕上げ材が落ちてくる恐れも軽減されます。
パテで表面を面で抑えているだけですので、念を入れるならパテがけの前に砂壁全面にシーラーを染み込ませて、奥からガッチリ固めておくとより強固に保持できます。
塗装の下塗りにも使える万能のシーラー
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削り取ったりしないため粉塵が出ないのが最も良い点ですね。ただしパテがけ技術が及んでいない人が施工すると、完全に平らにならずに最後にサンダーで均すことになります。結局そうなると粉塵が出るんですよね。
ベニヤを貼る&クロス貼りがプロが一番使う方法
塗り壁の下地を整える手法その3が、塗り壁の面を薄いベニヤで覆ってしまう手法です。これはプロの職人が一番一般的に採用している手法で、一番理にかなっています。
壁のサイズにベニヤをカットして、塗り壁の全面にベニヤを貼ってしまいます。ベニヤで完全に覆ってしまうので、下の砂壁などは一切見えなくなり、新しく真っ平らな木材の下地が出来るので、最も美しくクロス張りが出来ます。
当然ですよね。新しく新品の下地が出来上がるわけですから。とにかく下地がキレイに整うため、今回だけでなく次のクロス張替えの際にも大変助かります。
工程においても、慣れれば剥がしたりパテで固めたりするよりも楽なはずです。唯一の問題はコストで、結構ベニヤが高いため、材料費だけで他の2手法よりも大幅なコスト高です。
そのため、プロの職人に和室リフォームを頼んだ場合、通常の洋室のクロス張り替えと比べて3倍位の単価をとられます。
例えば洋室はメーター1000円で施工してくれる職人の場合、和室の砂壁にベニヤを貼ってからクロスを貼る場合はメーター3000円かかるようなイメージです。
あくまで目安で、もっとずっと安く施工してくれる職人もいるかも知れません。お抱えの大工さんがいる場合は、ベニヤ貼りだけ大工さんにやってもらって、クロスは通常料金でクロス職人に発注することも可能です。
まあ面倒で分かりにくいので、一括でやってもらったほうが良いとは思いますが。
ちなみにベニヤを塗り壁に貼る方法ですが、ボンドを全面に塗って張り付けて、フィニッシュネイルやタッカーを打ち込むのが一般的なようです。接着剤を併用せずにネイルやタッカーで固定するだけの職人もいるそう。
そしてそれぞれの役割についても、ボンドなどの接着剤がメインでフィニッシュネイルなどは接着剤が乾くまでのおさえ用と考える職人もいれば、接着剤は気休めでフィニッシュネイルがメインだと打ち込みまくる職人もいるそう。
そして接着剤についても、一般的な木工ボンドはベニヤが反るから問題外と考える職人もいれば、木工用ボンドで全く問題ないと考える人もいるようです。
個人的な経験で言えば、確かに木工用ボンドをベニヤ全面に塗って貼り付けると反ってしまいがちですね。私はフィニッシュネイルを併用するので、強制的に壁にピッチリ打ち込んでしまいますが。
木工用ボンドで反るのはどうもボンドが乾くと水分が飛ぶからだそうで、アクリル接着剤・ウレタン接着剤などだと反らないそうです。
しかし、木工用ボンドに比べてクソ高いのです。ベニヤ全面に塗ったら相当なコストになってしまいます。
ベニヤ全面に塗らないで、ホットドッグのマスタード状に塗れば良いという職人もいるようですが、砂壁相手にその塗り方だと保持力が圧倒的に弱い気がするのですが気のせいでしょうか。
とにかくプロの職人でも言うことがバラバラで、何とも難しい世界なのです。個人的にはフィニッシュネイルを打ち込みまくるだけで十分な気もしています。
無理やり塗り壁に直接クロスを貼ってしまう
下地を整えてからクロスを貼るなんて面倒だという場合、おすすめはしませんが直接貼ってしまうという方法ができない訳ではありません。
ただし仕上がりの悪さや、壁紙が経年劣化した際に下地が浮き出てくるなどの、欠点は覚悟しなくてはいけません。
ペンキ塗りと同じように、比較的高い家賃が期待できない、ボロ戸建てを相場より安く貸す投資手法などに向いている施工です。
やり方としては、砂壁などの塗り壁を専用のシーラーで固めて、その上に専用の強力なクロス糊で貼っていくというシンプルなものです。
直接貼ると言っても、やはりその前に一手間固める工程が必要なんですね。これしないと経年劣化した際に、塗り壁ごとベロっと崩壊してしまいますからね。
壁紙おさえで砂壁などを固め
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強力壁紙のりでクロスを貼る
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胴縁を打って大壁にする方法が一番今風の部屋になる
個人のDIYでは、基本的に上で説明したベニヤ貼り手法が一番おすすめです。もちろんプロもこの手法を一番使っています。
プロが使う方法として、もう一つの工法を紹介しておきましょう。これは素人がDIYで施工するにはやや難易度が上がりますね。
その手法が、真壁を大壁に替えてしまう工法なのです。
真壁というのは、和室の壁の様な、柱や梁が表から見えている作りの壁です。こちらのほうが職人技が試される高級な壁なのだそうです。
一方、大壁というのは、今時の洋室といった感じの、壁全面がクロス仕上げになっているような、柱や梁が表から見えないタイプの壁です。
個人的には大壁のほうが今時の部屋という感じがして、賃貸物件には向いている気がします。
さて、壁が砂壁などになっているような和室の場合、間違いなく柱や梁の見えている真壁になっていますが、これを大壁に替えてしまう大規模なリノベがこの手法です。
やり方としては、新築時に普通の大壁を作る工法を同じような感じで、柱と柱の間を胴縁と呼ばれる角材を横に這わせることで、新しい壁となるボードを設置する下地を作ります。
床から天井まで、一定間隔ごとに胴縁を施工して、その上に石膏ボードなどで新しい壁を作っていきます。
今まで紹介してきた手法が砂壁部分だけを隠す方法だったのに対し、この工法は柱や梁まで全て、新しく作る大壁で隠してしまいます。
古い壁を全面的に隠してしまった新しい壁になるボードの上にクロスを貼れば、まるで最新の住宅のようなデザインのお部屋に生まれ変わります。
今までの壁の上に新しい壁を作るわけですから、ほんの少しだけ実際のお部屋の広さが狭くなりますが、気になるようなレベルではないでしょう。
この手法の最大のメリットは、古い壁が全て完全に隠れてしまうため、どれだけ壊滅的に汚くても完璧に隠せることです。
真壁の場合は、柱や梁も汚いと、ペンキ塗りなどの作業が必要になりますが、大壁ですと全て隠れるので塗装が必要なくなります。丸ごと全部隠すので、工程少なく新築同様のピカピカのお部屋に生まれ変わります。
まとめ
以上、ペンキ塗り、真壁のままクロスを貼る3手法、無理やり砂壁に直接クロスを貼ってしまう方法、大壁にリノベする手法と、合計6つの手法をご紹介いたしました。
結論としては、超ボロ戸建てを相場よりも安く貸し出す投資スキームを取る場合は、ペンキ塗りで安く済ましてもOKですが、その他の場合は極力ペンキは避けたいということになります。
ではどうするのかと言うと、塗り壁を隠して上からクロスを貼るということになります。
その際に下地を整える方法を3つ紹介しましたが、ベニヤを貼る方法が一番確実です。プロも一番使っている工法ですので、これが圧倒的におすすめです。
DIYガチ勢だったら胴縁を施工して大壁に作り変える手法でも良いかもしれませんが、ここまで来るとガチの大工仕事になりますので、素人には厳しい領域ですね。
この大壁に変える工法が施工できれば、柱の部分を含めてどれだけズタボロな和室でも、工程数少なく完璧に隠せますので購入物件の選択肢が広がります。
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