不動産会社のデキる営業マンは給料の他に担当者ボーナスというキックバックを横領する?
不動産業界というのは結構ダーティーな世界です。
超大手の財閥系の不動産会社は超高学歴の人間が働いていますが、業界の殆どを占める地場の小さな不動産会社ですと、大卒のほうが少ないくらいの環境です。
当然ブラック企業も多く、低賃金長時間労働はもちろんのこと、コンプライアンス無視、パワハラ・セクハラ、恫喝や暴力なども普通にあるから恐ろしいです。
何でもありの業界ですが、一度足を踏み入れれば完全実力主義で、中卒だろうがなんだろうが結果さえ出せばどこまでも上り詰めることが出来ます。
不動産と言っても、その業務は多岐に渡り、新築を建売するディベロッパーから、中古住宅の仲介会社、賃貸管理及び客付け会社などなどあります。
仲介会社や賃貸管理会社が皆が思い描く一番一般的な不動産屋さんではないでしょうか。その業務の花形は営業マンで、宅建士をはじめとする事務方、賃貸管理部門などは通常は下っ端です。
宅建士を持っていると会社で一目置かれるんじゃないの?と思うかも知れませんが、宅建士を持っているだけの事務方の給料なんてショボいものです。もちろん宅建士を持ってなおかつ活躍している営業マンは稼いでいるでしょうけど。
不動産会社だけでなくどんな業界でもそうですが、なんと言っても売上を取ってくる営業マンが一番偉いのです。不動産会社においては、営業成績の良い営業マンは神で誰も逆らえません。
給料体系によっても全然違いますが、通常は基本給に加えて歩合が付きますので、デキる営業マンは年収1000万円超えなんて当然で、中には数千万円稼いでいる強者もゴロゴロいます。
そして、それだけでは満足できずに、会社から受け取る給料やボーナスに加えて、担当者ボーナスと呼ばれるキックバックを受け取っている営業マンもいるのです。
明らかに会社に対する背任行為ですが、普通にやっている営業マンいますからね。昔に比べると随分減ったそうですが、転売業者・三為業者などイケイケの新興の小さな業者では今でも普通にあったりします。
担当者ボーナスとは
通常、不動産の仲介で受け取れる手数料というのは宅建業法で決まっていて、取引額200万円以下で取引額の5%、取引額400万円以下で4%+2万円、400万円を超える取引額の場合は3%+6万円となっています。税別です。
これは売り手側のエージェントである元付け会社、買い手側のエージェントである客付け会社が、双方これだけ取れる事になっていて、1社で客付け元付け両方を担う場合、両手取りといって6%+12万円の仲介手数料を手にすることが出来るのです。
ここから担当した営業マンに歩合が支払われるわけですが、一般的な仲介会社ですとその歩合は微々たるものでしょうね。取引額の1%なんて到底もらえる訳ありませんよね。両手取りでも6%しか会社に入ってこないのですから。
それに対して転売業者・三為業者の場合、粗利をごっそり取れるので歩合も桁違いになります。売上の3割位が粗利で、完全歩合制ですとその3割位が歩合になるようなすごい会社もあるそうです。つまり売り上げの1割近くをもらえることになります。
1000万円の物件を売りつければ、100万円近く歩合が入ってくるのはすごいですね。もちろん完全歩合の場合は、一軒も売れなければどれだけ働いても年収ゼロですが。
しかし、世の中気前のいい会社ばかりではありませんから、大抵の会社の歩合なんてショボいのがオチです。トップ営業マンでも思うように稼げない給与体系の会社も多いのです。
そこで悪事に手を染める営業マンもいるのです。それが担当者ボーナスで、成績に応じて会社からボーナスを受け取るのではなく、あろうことかお客さんから金品を受け取るのです。
なんで会社に仲介手数料を支払うお客さんが、わざわざ営業担当者にも小遣い渡さなあかんのかという話ですが、これは小遣い払うから自分に有利になるように働いてやということなのです。
売主側が支払う場合と、買主側が支払う場合に分けて、どういうことなのか見ていきましょう。
売り主が営業マンに支払う場合
売り主が担当者ボーナスを支払う場合は、売れないクソ物件をなんとか売ってもらおうとする時か、あるいはなんとか相場以上の高値で売って欲しいと願うときでしょう。
そもそも良い物件であれば適切な相場で売りに出していれば、全然問題なく売れるものです。専任媒介でお願いしている業者がレインズに物件情報を乗せなかったりして、囲い込みをしている場合ならともかく、普通であれば適正な価格であれば売れます。
しかし、あまりにひどいクソ物件ですとなかなか売れないことがあります。これをなんとか売ってもらおうと、売ってくれたら取引額の3%やるでみたいな話を持ちかけるのです。
ただ、普通の仲介社会にこんな話を持ちかけても、なかなか取り合ってくれないでしょう。ましてや実需向けに販売する場合、いくら担当者にニンジンを与えても、クソ物件を売るのは困難です。
これが効くのはイケイケの投資用物件を取扱う会社でしょう。こういった会社はゴリ押し営業力で物件を売りますので、クソ物件でもインセンティブによっては何も知らない初心者や素人にはめ込めるのです。
豪腕のイケイケ営業マンに小遣い渡せば、クソ物件も何も知らない投資初心者に強引に売りつけてくれるかも知れません。
そんなことしなくても、こんなクソ物件売れませんよと言って会社がタダ同然の安値で買い取って、投資初心者にはめ込めば莫大なマージンが抜けるのではと思うかも知れませんが、会社と営業マンは利害対立しているのです。
そう、担当者ボーナスがあるからね。会社の利益よりも担当者ボーナス貰うほうが優先!
買い主が営業担当者に支払う場合
買い主が営業担当者に裏金払うなんておかしい、なぜならお金を出して買う側なのだから、と考える人もいるかも知れませんが、実はあるのです。
多分、担当者ボーナスを支払うのは、ほとんどが買い手側ではないでしょうか。
何を隠そう、私も過去に買い手側で担当者ボーナスを支払ったことあります。たったの10万円ですけどね。なかなか良い物件を転売業者から買う際に、10万円を営業マンの方から要求されました。
支払う必要のない金ですが、実際になかなか良い物件で、他の人に回されたら確かにすぐ売れてしまうでしょうから、10万だしと思って支払いました。敏腕営業マンでしたが、もはやボーナス払う人にしか売っていないのでしょうね。
一般的に何故買い手側が裏金を支払うのかと言うと、おいしい物件を自分に回してもらうためです。優良な投資用物件を欲しい不動産投資家はゴロゴロいますが、そうそう良い物件があるわけではありません。
耳寄り情報が入ってきた時に、営業マンが誰に話を持ちかけようかなと思案した時に、過去に小遣いくれた投資家が一番に思い浮かぶのは当然でしょう。
前に取引まとめた時に10万小遣いくれたな、じゃあ今回もあの人に売ってまた小遣い貰おうとなるのは明らかです。
また、無理な指値を通そうとする際にもお小遣いを渡すことはあり得ます。値引き額の1割を担当者ボーナスとして渡すよと言えば、営業マンのやる気が変わります。
担当にお小遣いを渡すのは効果があるの?
明らかに不動産業界の闇である担当者ボーナスですが、これを支払うことで実際に効果があるのかどうかが問題です。
前述の私が10万円を支払った話では、もはや営業マンが毎回小遣いをもらうのがデフォルトになっていて、払わない人には売らないみたいな感じでした。
バレないようによく知っている人にしか物件を売らないという感じの営業スタイルでした。囲い込んでいる投資家に売るだけで十分成績が出せるので、あまり新規開拓はしていない感じでしたね。
もうこうなってくると皆が皆支払うので、担当者ボーナスとしての効果がなく、むしろ支払わないことで不利益になるので、買い手側からすると害にしかなっていません。
究極的には、担当者ボーナスのオークション状態になって、鬼のような裏金渡さないと良い物件回してもらえないような状態になりかねないので、あまり良い慣習とは言えませんね。
私もその後は、転売業者から物件を買うことはなくなり、普通に仲介で物件を取得することが多くなり、以降担当者ボーナスを支払った記憶はありません。
ただまあ、仲介の場合でも、担当者によっては小遣い渡したほうが良い情報を一番に伝えてくれるということは普通にあるかも知れません。
金を渡すまでいかなくても、会議がてらに食事に行ってごちそうしたり、軽い接待みたいな感じで営業マンと距離を近づけるのは結構有効だと思います。
これは何も不動産に限った話ではなく、一般的なビジネスコミュニケーション術として、仕事を進めていく上で重要なことですよね。