和室の洋室化リフォームは必要か?アパートだと家賃が上がるがボロ戸建ては変わらない?

ボロ戸建て投資ブームの昨今ですが、いざ物件を取得してリフォームだと思った際に、一番コストを掛けずに激変するのは表層リフォームですよね。

水回りや外壁塗装などはお金がかかりますが、壁紙やクッションフロアなどの張替えは、安価で劇的な美観改善が可能です。

もともと洋室のお部屋でしたら、クロスやCFの張替えは容易ですが、ボロ戸建てともなればこれが和室だったりするケースも多いわけで、そうなると話は別です。

和室の洋室化は非常にコストがかかるリノベになります。もともと洋室だった部屋の表層をリフォームするのとは訳が違います。

そうなると、そもそも洋室化する必要自体があるのかという疑問が湧いてきます。

ボロ戸建てのリフォームというと、和室の洋室化を連想する方も多いかと思いますが、バカの一つ覚えのように洋室化を選択する必要があるのでしょうか?

私は、全体的な間取りや、想定顧客の属性やライフスタイル等によって変わってくると思います。

必ずしも洋室化は必須ではありません。どのようなパターンでしたら洋室化したほうが良いのかを見極め、余計なコストを掛けること無くリフォームを行いましょう。

和室は賃貸には向かない

そもそも、なぜ賃貸用の物件の和室を洋室化しようという話が出てくるのかというと、和室は入居者に人気がないことと、そもそも和室は賃貸に向かないことが挙げられます。

人気が無いのはどうしようもありませんが、賃貸に向かないというのはどういうことなのでしょうか?

かつての日本の家屋が和室中心であったのには、それなりの理由があります。

日本は四季が色濃く、寒暖の差や湿度の違いなどが激しい気候風土です。そのため吸湿性に富んだ建築素材が伝統的に使われてきたものと思われます。

例えば建物の躯体となっている木材がそうです。コンクリートや石造りに比べると、遥かに吸湿性に富んでいるのが木材です。

また、和室の壁を構成する土壁などは、たくさんの穴が空いている多孔質の材料ですので、これまた湿気を吸ったり吐いたりしてくれるのです。

床の畳も同様で、湿度の高いときには湿気を吸って、湿度の低いときには湿気を吐き出してくれる、調湿機能があります。

このように、和室は床も壁も自然な調湿機能を備えているため、日本の気候に合うように進化してきた建築なのです。

なら素晴らしいではないかと思うかもしれませんが、あくまで賃貸には向かないのです。自宅用にマイホームを建てるなら、1室くらい和室でも全く問題ないでしょう。

多孔質で湿気を吸収するということは、同時にニオイも吸着してしまうということになります。備長炭などを冷蔵庫に入れておくとニオイを吸着してくれるのと同じ原理です。

生活臭やペット臭なども、床や壁が吸ってしまうため、長い年月が経つと臭う部屋になりかねません。

また、原状回復のやりにくさも賃貸に向かない理由です。入居者が退去して、次の入居者を募集する際には、当然ながら現状回復工事が必要になります。

この際に、洋室であればクロスやクッションフロアの張替えで済みますので、非常にローコストで劇的な美観の回復が可能です。

しかし、和室ですと、土壁や砂壁などは塗り直すのも大変ですし、クロスに変更する場合でも直接貼ることが出来ないため、下地処理にコストが掛かります。

また和室は真壁といって、柱が表から見えるむき出し状態の構造のため、長い年月が経って柱の表面が劣化している場合は、塗装などが必要になります。

さらに、床の畳も表替えが必要になりますので、クッションフロアを張り直すよりはコストがかかるでしょう。

洋室化はとてもコストが高い

賃貸物件としては和室が人気がなく、リフォームコストも高いので、いっそのこと洋室化してしまおうという話になりますが、それはそれでまたコストが高いのです。

和室は、床は畳敷きになっていますし、壁は多くの場合は真壁で、砂壁や土壁などの仕上げになっています。

こうなってくると、床の畳は表替えをするか、洋室化してフローリングなどの床に改装する必要があります。

また、壁は大壁に大規模にリノベするか、真壁のままでいくのであれば、砂壁を剥がしたり覆ったりすることで、クロスを貼れるように下地を整える必要があります。

これが高いのです!!

普通のクロス張替えでしたら、メーター単価1000円もあれば職人がやってくれますが、土壁でしたら大工工事も入るため3倍くらい単価がかかるとされています。

床に関しても、畳を上げて、新たに床板を張って洋室化するとなると、6畳間で10万円くらいかかると思います。

リフォーム会社や工務店におまかせで、床壁すべてを洋室化するとなると、6畳間で20万円近くかかるかもしれません。

和室が2室くらいあったら、えらいコストになってしまいます。

洋室化は必須なの?

私もボロ戸建てなどを買って和室があると、ついつい洋室化しなくてはと考えてしまいますが、別にそれって必須ではなんですよね。

実際、コストや私のスケジュールの関係で和室のままリフォームして賃貸募集を行った物件も多数ありますが、何の問題もなく入居者が決まっています。

和室だから全然店子がつかないなんてことはありません。

もちろん、洋室にすればもっと家賃を取れたかもしれませんし、もっと早く入居者が決まったかもしれません。

しかし、和室だからといって、絶対に賃貸に出せないわけではありませんので、何が何でも洋室化という必要はないのです。

洋室化にかかるコストや、将来の退去時の原状回復コスト、洋室化することによる家賃アップや、地域の賃貸需要とニーズなどを、細かく総合的に考えて、洋室化するべきなのか否か判断しましょう。

複数の部屋の内一つが和室なら洋室化の必要なし?

ボロ戸建の場合ですと、40平米台の小さな狭小住宅でも2DK、一般的な60平米台くらいで2LDKや3DK、賃貸住宅としては大きめな80平米超くらいで3LDKや4LDKくらいでしょうか。

少なくても2,3の部屋があるものがほとんどだと思いますが、そうなるとその内の1部屋が和室であったとしても、それほど大きな問題にはなりません。

ただ、私の持っている戸建てにも、3DKで3室ともに和室や、2LDKでリビングは洋室なものの2階の2室は両方とも和室というような物件もあります。

これは流石に洋室化を検討したほうが良いと思います。全部和室、あるいは過半数の部屋が和室というのは、洋室化の検討をする必要があります。

全部和室でも絶対に入居者が見つからないかと言うとそうでもありませんが、明らかに取れる家賃は下がりますし、入居付までの期間も伸びるでしょう。

あと、居室は洋室が多いのに、なぜかリビングが和室という異様な間取りのものもあります。私この異様な間取りの物件を複数持っているんですよね。

リビングを和室にする意味がわかりませんが、昔の家だと結構あるんですよね。これは洋室化で決定でしょう。さすがにリビング・ダイニングは洋室じゃないと。

古いアパートは洋室化の意味が大きい

古いボロアパートや、鉄筋コンクリートのマンションでも古い公団の物件などですと、全室和室という物件もあります。

1Kから2DKくらいの間取りにありがちですが、ボロい共同住宅で居室が全部和室というのは印象がよくありません。

ワンルームや1Kで居室が和室というのは、普通の洋室のワンルームに対して全く競争力がありません。絶対に洋室化すべき案件です。

また、小さなファミリー向けの2DKのアパートで、居室2つともに和室というのも、洋室物件に比べて競争力に劣ります。せめて1室だけでも洋室化することが必要でしょう。

ただ、これらも家賃とのすり合わせになりますので、地域の需要やライバルとの家賃相場の差などで総合的に考える必要があります。

まとめ

以上、ボロ物件の和室をどうするのか問題について語ってみました。

バカの一つ覚えのように、和室を見かけたら即洋室化リノベを行うのではなく、かけるコストと効果を照らし合わせて、効率の良い投資を行ってください。

物件の取得と違って、あまり意識する人が多くないのですが、大規模リフォームやリノベも立派な投資であり、本来は利回りで考える必要があるのです。

元々あまり家賃の取れない地域で、全室和室でもライバルよりもわずかに家賃を下げれば入居が決まるなら、洋室化の必要はないかもしれません。

逆に、都心など立地が良く、洋室化することによって大幅に家賃アップが見込める場合などは、積極的に検討するべきでしょう。

大家が和室を洋室にしたいという勝手な欲求ではなく、地域のニーズや物件の競争力を総合的に勘案して、そのままいくのか大規模リノベをするのかを判断する必要があります。

まあ、和室のままにするにしても洋室にするにしても、床はともかく、壁はクロスに変えることをおすすめしますがね。次回や次次回のリフォーム時に圧倒的に楽になりますからね。

この記事が役に立ったら「いいね」をポチッとな!

リフォームカテゴリの人気記事

まだデータがありません。

コメントを残す