放置された廃墟マンションの再活用は不可能?区分所有の限界で修繕も建て替えも無理

ちょっと気になるニュース記事を見かけたので、紹介したいと思います。地方では廃墟化したマンションが目につくようになってきたようですね。

「廃業した街中のホテルが20年も放置されている。景観を悪くし、放火される危険もあるのに、なぜそのままにしているのか」 仙台市の男性会社員(61)から
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ホテルという名の分譲マンションが空き家だらけで放置されているようですね。建物が今すぐ危険な状態ではないものの、将来的には老朽化してまずいことになるでしょうね。

今でも、一戸建てですと既に空き家がゴロゴロ転がっている状態ですが、今後は区分所有マンションの空き家もどんどん増えていくでしょう。
むしろ気が付かいないだけで既にゴロゴロかも。

分譲マンション内の一定以上が放置された空き家になってしまうと、修繕積立金もろくに集めることが出来ずに、マンション全体が終わってしまうことになります。

首都圏ですと流石にまだ空き家もポツリポツリで、マンションともなればなかなか廃墟とまで呼べるような物件は珍しいですが、多分時間の問題でしょうね。

このマンション廃墟問題は本当に深刻ですよ。建て替えなんてまず出来ませんし、あまりに所有者が多いので修繕すらままなりません。放置しか無いのです。

戸建てはいいけど区分所有マンションの廃墟は救いようがない

戸建てでしたら立地さえ良ければ買い取り手はいくらでもいますし、活用できない立地で持ち主が放置している場合でも、行政が強制的に潰して解体費用を持ち主に請求できるようになりました。

空き家問題は深刻ですが、戸建てであればその解消は行政が本気になれば比較的簡単に進むでしょう。

しかし、マンションともなれば問題はさらに複雑です。分譲された各部屋が歯抜けのように次々に放置空き家になってしまったら、手の施しようがありません。

そもそも区分所有というのが無理がある発想なのです。区分所有法がない国もあると聞いたことがあります。

ライフサイクルが長く、維持修繕に多額の費用がかかるコンクリートの塊を、数十世帯から数百世帯で共有するなど、まともな発想ではありません。

維持管理に多額の費用がかかるのに、その修繕計画や建て替えにおいて、所有者全員のコンセンサスが得られるわけがありません。

法改正で全体の4/5の議決権で建て替えができるようになりましたが、それでも大変困難です。建て替えはまず出来ないと思ったほうが良いでしょう。

修繕計画においても合意は困難で、大きな費用負担などが伴う管理組合の総会では、住民同士で怒号が飛び交うようなことも珍しくありません。

とにかく、年齢も社会的地位も、年収も資産も、考え方も何もかもが違う数百世帯が、マンションの運用について合意することなど端から無理な話なのです。

分譲マンションの修繕積立金というのは必ず値上がりしますからね。ディベロッパーが新築の時に売れやすいようにわざと安く設定しているから、年々値上げしないと成り立たないシステムになっているのです。

値上げすると払えなくなる世帯が出るんですね。住んでもいない、管理費や修繕積立金を払わない払えない所有者が増えると、マンション全体の廃墟化がすすみます。

自分だけは年々値上がりする修繕積立金をしっかり払っていても、他の世帯が放置状態で支払ってくれなかったら、結局マンション全体が駄目になってしまいます。

戸建て同様に、便利な立地であれば、使わないのであれば賃貸に出して家賃収入を得られますので、修繕積立金の支払いが滞ることはないでしょう。

しかし、田舎の立地や、首都圏郊外でも駅から遠い立地など、賃貸付が困難なマンションであれば、人に貸すことが出来ず自分も住まない放置部屋になってしまいます。

こうした部屋の持ち主が、自分の生活が苦しくギリギリの状態ですと、管理費や修繕積立金を支払わなくなります。こうした放置部屋が増えたら、マンションは死に向かうだけです。

所有者が行方不明で連絡がつかない場合も結構あるそうで、もはやどうすることも出来ません。

たった6世帯のミニマンションでも問題発生

多人数で共有する区分所有のマンションの運用の難しさは、私は身にしみて思い知らされています。

私は所有する相模原市の区分所有マンションがあるのですが、全6世帯という3階建ての非常に小さな重量鉄骨造のマンションです。

その中の1世帯の老人が修繕積立金を全然支払わないのです。自主管理方式なので管理費はないのですが、修繕積立は絶対に必要です。

これがどれだけ言っても全然支払わないそうで、管理組合もないため誰かが主体となって裁判を起こすことも出来ません。

じゃあ私がやるかといえば、1/6の所有権しか持っていない500万円程度の区分のために、自分が矢面にたって裁判まで起こす気にはなりませんね。

他の区分所有者も同じような考えでしょうから、結局放置状態で、支払わない人の勝ち状態になってしまっています。

こういう状態になると、いずれ他の人も支払うのがバカバカしくなり、誰も支払わなくなってマンション全体が廃墟になってしまいます。

これが大規模マンションともなれば、未払い世帯は数軒から数十軒にもなり、中には住んでもいない連絡もつかない空き家状態の部屋もあるので、悲惨です。

分譲マンションを買うなら立地には絶対にこだわれ

マンションの区分所有がいかに危険かということは私も繰り返し述べてきていますが、それでも最近のマイホーム取得世代はマンション派が多いようです。

正確には立地の良いマンション派です。マンション並みの立地に一戸建てが持てるのでしたら一戸建てもありだけど、コスト的に難しいから立地重視でマンションを選ぶということのようです。

一国一城の主よりも、共有でも良いから立地重視ということです。これは非常に合理的で正しい選択だと思います。

これからは勝ち組不動産と負け組不動産が残酷なまでに分かれる時代になります。だから何よりも立地を重視しなくてはいけません。

分譲マンションを区分所有で買うのは危険だと言っていますが、立地が良ければ何ら問題はありません。

使わなくなっても貸せる立地であれば貸家として活用できます。店子が入れば家賃が入るので、管理費・修繕積立金も支払えます。

または、すぐに売却することもできるでしょう。立地の良いマンションの流動性は不動産の中では最強です。都心であれば相場もある程度決まっているので、まるで金融商品のように現金化できます。

こうした好立地マンションであれば、空き家が増えてマンション全体が廃墟化する恐れはないでしょう。

しかし、急激な人口減少が避けられない地方や、首都圏郊外でも駅遠やバス便地域など、立地の悪いマンションは戸建て以上に悲惨な空き家地獄になります。

地方であれば県庁所在地の極めて中心街、東京などの大都市圏の郊外であれば駅から徒歩10分以内など、厳しい立地条件を満たしたマンションでないと危険です。

最近は駅徒歩10分どころか、7分が限界という説も出てきていて、人気で引く手あまたなのは徒歩5分以内という人もいます。

どんどん立地に対する要求水準は高まっているのです。人口が減ってどんどん買い手有利になるのですから当然ですよね。

とにかくこれから区分所有のマンションを購入するというのでしたら、立地には厳しい目を向けないと、将来悲惨なことになります。

投資目的で買うのでしたら、そもそも区分所有には手を出さないというのも一つの手です。というか、それが奨励されます。

東京23区や川崎市・横浜市あたりの駅近や千葉埼玉の超々好立地でない限り、投資用に区分所有を買うのはおすすめしません。

1棟マンションやアパートに手が出ないなら、戸建て投資からはじめましょう。区分は経験する必要ないと思います。

私は最初の2軒は区分を買って不動産投資をはじめましたが、明らかに必要のない投資でした。戸建てからの方がおすすめです。

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