土地建物を手放せば借金帳消しって正気?かぼちゃの馬車・スルガ銀行の不正融資問題

昨年世間を賑わせた、かぼちゃの馬車・スルガ銀行の不正融資問題ですが、ここに来て急展開を迎えました。

被害者??の投資家側が、スルガ銀行がかぼちゃの馬車の不正を認識していながら、融資審査を通して融資をしたから、俺達が損したんだと、弁護士を通じて交渉していたのですが、なんとスルガが折れる見込みが出てきました。

スルガ銀行が、不正融資したシェアハウスについて、物件オーナーの借金を帳消しにすることを検討していることが20日、分かった。土地と建物を手放すことを条件
www.jiji.com

いや、まさかスルガ側が折れることなど無いだろうと思っていたのでびっくりです!

別に裁判で負けたわけでもないのに、よく折れますね。

世間ではスルガ銀行が一方的な悪者にされていますが、この状況ってほんの少しだけ立場が違えば、融資を受けた投資家側が詐欺で逮捕されるような案件ですよ。

業績や資産状況を偽って融資を引き出すというのは詐欺ですからね。
融資を不正に引き出して逮捕されて実刑になった例など数多くあります。

それが、まさかの借金チャラの令和の徳政令で、不正に融資を引いた側の投資家が大勝利とは驚愕です。

投資家の資産状況の詳細調査や、購入する物件の担保評価を精査するのは当然であり、その結果により回収できなくなって経済的な責任を負うのは銀行です。

それに加えて、投資家側の無知やヘマで負った投資家側の損失まで銀行が補填させられるって、前代未聞の異常事態ではないでしょうか。

こうなってくると、不動産投資もとい不動産賃貸業に融資を行う金融機関が、今後激減する恐れすら出てきますよ。

不動産投資を目指す投資家にとっては、かなりのバッドニュースになる恐れすらありますよね。

スルガ銀行・かぼちゃの馬車の不正融資問題とは

そもそも、かぼちゃの馬車とスルガ銀行が起こした不正融資問題とはどういったものなのでしょうか?

これは昨年発覚した問題なのですが、世間一般に知られる前にも火種がくすぶっていて、爆発するのは時間の問題でした。

簡単に説明すると、どう考えても儲からない不動産投資用の詐欺物件を、投資家に超絶ボッタクリ価格で売りつけたのが、かぼちゃの馬車(スマートデイズ社)です。

シェアハウスという単なる大きめの一戸建てを、1軒1億円以上で投資家に売りつけていたのです。

しかも悪名高きサブリース契約で、案の定スマートデイズ社が不足家賃分を補えなくなり、破綻してしまいます。

1億超えなんて額を、サラリーマン投資家が一括で支払える訳ありませんので、フルローンといって全額を銀行融資でローンで買うのです。

そのローンを出していたのがスルガ銀行です。スルガ銀行は、通常は借りられない属性の人にも、アパートローンを出してくれることで有名な銀行でした。
そのぶん金利はバカ高ですが!

しかし、1億もの借り入れをする場合は、通常は借りる側の資産状況や属性などを精査してからということになります。

不動産への融資の場合は、購入する物件自体が担保になりますので、金融機関から見てもある程度は安全性が確保された融資ですが、ほとんどのケースで物件の担保価値では融資額を補いきれません。

そこで、借り手の現在の資産状況や就職先や年収や年齢などを審査して、借り手自身の信用で足りない担保分を補うのです。

かぼちゃの馬車の物件は超ボッタクリなので、1億円で売りに出している物件も実際は4000万円くらいの価値しかありません。

そうなると不足分の頭金を入れるか、借り手自身の信用力で埋め合わせないといけませんが、不足分6000万円も埋め合わせられるのは、年収1000万円をゆうに超えたエリートか、貯金を数千万円持っているお金持ちだけです。

ところがそんな人はめったに居ないので、年収400万円くらいで貯金100万円というような”一般人”に売りつけないと、かぼちゃの馬車は儲かりません。

そこで、かぼちゃの馬車主導で不正を行って、借りる人が高属性であるかのごとく装うのです。

つまり、販売会社であるカボチャの馬車が、買い手である投資家の資産状況を改ざんして、銀行を騙して融資を出させるというスキームなのです。

そう、通常であれば、融資を行うスルガ銀行は完全な被害者で、かぼちゃの馬車と買い手が銀行を騙した加害者側なのです。

ただ、この問題を複雑化させたのは、なんとかぼちゃの馬車とスルガ銀行が裏で手を組んでいて、スルガ側が不正を知っていて融資を行っていたというのです。

それどころか逆に、本来は改ざんする側であるはずの借り手が知らなかったというのです。

通帳を偽装するなどの処理は、かぼちゃの馬車がこっそり勝手にやっていたというのが、投資家側の主張です。

このことが事態を複雑化させました。本来であれば、騙す側の投資家と販売業者が、銀行を騙して融資を引いた詐欺で逮捕されてもおかしくないのです。

しかし、買った投資家側は偽装には関わっていないと主張し、銀行と業者がタッグを組んで自分をハメたと主張していたのです。

クソボッタクリのゴミ物件を、超超高値で買ったわけですから、投資としては失敗してローン返済ができなくなった買い手は、かぼちゃスルガのタッグでハメられたから返せなくなったんだ、もう返さない知らんと言い出したわけです。

本来はそんなことは許されないのですが、弁護士を入れて交渉を続けてきて、今までも返済の猶予などが与えられるなどの特別待遇を受けていましたが、ついにチャラになるという信じがたい大勝利を収めそうです。

この銀行の対応は他の不正融資にも波及するかも

本来は銀行を騙して不正融資を引いた、物件の買い手である投資家が逮捕されてもおかしくない案件ですが、あくまでも買い手側は知らなかったと主張しています。

それが本当かどうかはさておき、実は似たようなケースはかぼちゃの馬車の件だけではないのです。

他の不動産業者が販売したり仲介したりした一般の投資物件においても、似たような不正融資は多数行われていたのです。

スルガ銀行は不動産融資に力を入れていて、その金利がべらぼうに高いことで、第二地銀としては異例の事業規模と収益性を誇ってきた地方銀行でした。

そのため、ガンガン不動産に融資を行うために、非常に厳しい営業ノルマを課しており、営業マンが不正承知でガンガン融資を行っていたのです。

つまり問題は、かぼちゃ案件にとどまらず、他の広く一般的な不動産投資への融資にも広がる恐れがあるのです。

スルガ銀行が認めたのは、カボチャとタッグを組んでいたことだけですから、他の不動産業者の不正には関知していないといって逃げ切る気かも知れませんが、今後調査が進んで証拠などが出てきたら、とんでもない広がりを見せる恐れがあります。

なにしろ、この手の不正融資を引き出すために、通帳改ざんを行っていた業者はごまんとあるのです。

ニュースで名前が出てきた有名な上場企業でも、TATERU(タテル)などがあります。こちらも不正融資問題でニュースになってピンチに陥っている企業です。

その他、上場していないような数人で営業しているような小さな不動産業者も、ボッタクリ価格の転売物件などを不正融資を引いて売りつけてきたのが、ここ数年の不動産業界の爆益スキームでした。

他のケースでも、かぼちゃ事案同様に証拠を押さえられて、返せなくなった買い手側が結束して世間に訴えれば、同様に徳政令にせざるを得ない可能性が濃厚です。

カボチャはチャラで、全く同じ構図の他の案件は特例無しです、なんていう差別は許されるわけがありませんからね。

ちなみにこの手の不正融資を行っていたのは、スルガ銀行に限った話ではありません。不動産融資に積極的だった多数の金融機関で、この手のスキームが組まれていたという話があります。

今回の徳政令で色めき立ったローン返済に苦しむ失敗投資家が、俺も俺もと声を上げ始めたら、不動産と金融業界を巻き込んだ大問題に発展する可能性があります。

今回の徳政令は、とんでもないパンドラの箱を開いてしまうような気がするのは、私だけでしょうか?

投資家は保護されるべき消費者じゃなくて責任ある事業者です

今回、物件を購入した投資家側、つまりはローンの借り手側は、スルガ銀行が業者の不正を見逃して融資をしたから、返済が困難になったと主張しています。

しかし、スルガカボチャのタッグによる不正融資はともかくとして、そもそも物件の収益性を見極めて投資判断を行うのは、他でもない投資家自身なのです。

今回はたまたま業者と銀行のタッグがバレてしまったので、結果的にこのような形になりましたが、本来一番責められるべきは碌に調べもしないでゴミを高値で買った投資家です。

自分達は詐欺の被害者だとでも言いたげに、お客様気分でクレームを付けていますが、非常に違和感を覚えます。

中には騙されたと消費者センターに相談の電話を入れた人もいるそうですが、勘違いも甚だしいのではないでしょうか。それで相手にされると思いますか?

いやね、消費材を買って不良品に文句つける消費者じゃないんですから。不動産に投資を行っているのですから、消費者じゃなくて事業者であるという意識が必要です。

リスクテイクして投資を行って、そのリターンを得ようと意図している事業者なんですよ投資家は。

それで自分が見極められなくて、投資に失敗して借金を背負って、変なものを売りつけた業者と、碌に審査せずに融資を行った銀行が悪いって・・・

責任転嫁とはまさにこのことです。保護されるべき消費者ではなく、自分でリスクをとってリターンを目論む事業者なのですから、責任は自分で取らないと。

あくまでも今回は、たまたま業者と銀行のタッグが明らかになってしまい社会問題化したから、特例中の特例で救済されるということは忘れるべきではありません。

今後は不動産投資への融資がますます厳しくなるかもね

今回は、最終的にスルガ銀行とかぼちゃの馬車がはじめから組んで投資家をハメていたということがバレたので、特例の救済措置となりました。

しかし、タッグがバレる前にも、破綻した投資家が「銀行がしっかり審査をして、業者側の改ざんを見抜けなかったから、こんなクソ物件を買わされてしまった。」という主張をしていたのを忘れてはいけません。

もうね、責任転嫁の代表例として広辞苑に乗せてもいいくらいの、とんでもない妄言ですよ。

銀行が審査するのは、貸した金が返ってくるかどうかということだけです。物件の収益性が悪くても、本人に担保を埋め合わせるだけの属性があれば貸すでしょうそりゃ。

それを、この投資がうまくいくかどうかまで判断しろ、自分の属性を証明する資料が改ざんされていないかどうかまで業者を洗い出せというのは、異常な要求です。

通帳のコピーだけで判断して原本の提出を求めなかったりと銀行側にも落ち度はありましたが、そもそも見せ金を入金して通帳を見せられたら見破れないわけであり、根本的に不正を見抜く手段はありません。

銀行が全てを見抜くのは至難の業であり、自分に売ってくる業者が信頼できるか、自分が買う物件は不動産賃貸業として黒字経営ができるのかという判断は、投資家自身が行うしかありません。

あまり多くのことを銀行に求めるような社会的風潮になると、銀行は不動産への融資に積極的になれないようになるかも知れません。

下手打ったら徳政令なんていう社会的コンセンサスが出来てしまえば、銀行のリスクが増え、貸し出し金利が爆上がりする恐れもあるかも知れません。

ただでさえ融資が絞られて厳しい2019年末の今、銀行が融資に消極的になるような流れになるのは勘弁してほしいです。

この記事が役に立ったら「いいね」をポチッとな!

融資カテゴリの人気記事

まだデータがありません。

コメントを残す